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アリャンス・アルティン

ジェロイ(Джеруй)金鉱床の採掘と製錬。タラス金製錬工場を運営

Alliance Altyn LLC
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

アリャンス・アルティン(Alliance Altyn)は、キルギス北西部タラス州のジェロイ金鉱床を開発・操業するロシア資本の会社である。ジェロイはクムトールに次ぐ同国2番目の金鉱床とされ、賦存埋蔵量は88.2トンである。

2021年3月に選鉱・製錬工場が稼働し、年産4〜5トン規模の金を生産している。国庫への納付額は2025年に156億ソムを超え、事業開始からの累計は約400億ソムに達した。クムトールに続く規模の金鉱山として、キルギスの鉱業収入の第二の柱になりつつある。

正式名Alliance Altyn LLC(ОсОО «Альянс Алтын»)
設立2015年6月2日、キルギス法務省に登記。設立者は開放型株式会社ヴォストク・ゲオロドブィチャ
所在キルギス・タラス州タラス地区サスィクブラク村
事業ジェロイ(Джеруй)金鉱床の採掘と製錬。タラス金製錬工場を運営
埋蔵量賦存埋蔵量88.2トン。国内2位の金鉱床とされる
採掘計画2019〜2028年は露天掘り、2028〜2045年は坑内採掘。2045年までの生産サイクルを計画
処理量鉱石で年間最大150万トン(露天段階)。工場の金生産能力は年間最大5トン
生産量2022年4トン、2023年4.4トン、2024年4.5トン、2025年4.8トン。2021〜2025年の累計は20,876.5キロ
投資額プロジェクトとインフラを合わせて6億ドル超
従業員2,000人超
国庫納付2024年に93億ソム、2025年に156億ソム超。事業開始からの累計は約400億ソム(2025年末時点)
経営総支配人はサビル・ラフマトフ(2021年から)

鉱床と開発計画

ジェロイ鉱床はタラス州タラス地区のサスィクブラク村にあり、標高が高く条件の厳しい高山の現場である。開発のためにタラス金製錬工場が建設された。

採掘は露天掘りと坑内採掘を組み合わせ、三段階に分けて進める計画である。第一段階の2019〜2028年は露天掘りで、この段階の可採埋蔵量は67トン、採掘場の最大法面高は620メートル、年間の鉱石処理量は最大150万トン、坑底の標高は3,250メートル、入口からの深さは250メートルとされる。地質条件が深部で難しくなるのに合わせて2028年から坑内採掘へ移り、2045年まで続ける。坑内段階の可採埋蔵量は55.9トン、年間の鉱石処理量は最大42万トンである。同社は全体の可採埋蔵量を93トンと表示している。

選鉱・製錬工場の金生産能力は年間最大5トンである。2024年には坑内採掘に向けた準備作業が始まり、2025年には露天掘りに坑内採掘が加わった。

沿革

ジェロイの開発権はキルギスで長く懸案だった。同社の説明によれば、有限責任会社アリャンス・アルティンは開放型株式会社ヴォストク・ゲオロドブィチャによって設立され、2015年6月2日にキルギス法務省へ登記された。同年、鉱床では地質・地形調査、環境技術調査、鉱石処理の技術規程の作成が始まった。

2017年には現場で道路の敷設、生産・社会インフラの建設、選鉱場の基礎工事が進んだ。2019年11月11日に最初の発破が行われて露天採掘が始まり、最初の5トンの鉱石が積み上げられ、同月末には金製錬工場の試運転に入った。

2021年3月17日、両国首脳が出席して金製錬工場の落成式が行われ、商業生産が始まった。この時点の確認埋蔵量は88.2トン、想定される年産量は3〜5トン以上とされていた。

その後、2022年に4トン(前年比30%増)、2023年に4.4トン(同5.7%増)、2024年に4.5トンと生産を積み上げた。2024年には尾鉱堆積場の第二期工事が完了し、坑内採掘の準備が始まっている。2025年は選鉱工場の近代化により4.8トンまで増産し、年間計画を前倒しで達成した。2021年から2025年までにジェロイで鋳造された金は累計20,876.5キロである。

技術と環境対策

同社は、水を張る従来型の尾鉱堆積場を採用せず、選鉱後の残渣をろ過して含水率20%の半乾燥状態で保管する方式をとっている。堆積場の決壊などの危険を抑え、作業終了後すぐに土地を復元して農業利用に戻せることを利点として挙げている。

シアン化物はINCO法で無害化し、水は閉回路で循環させて工程用水を環境へ放出しない設計である。直接浸出による金の回収率は最大93%、シアン化物の消費量は鉱石1トンあたり100グラムとしている。

2019年11月から2026年5月1日までに復元作業へ9,370万ソムを充て、2021年11月から同じ時点までに地表水の利用料として1億7,010万ソムを納めたとしている。レッドリスト掲載種の繁殖・保護活動も支援している。

地域振興と関連事業

2016年に設立した「アリャンス・アルティン発展基金」を通じてタラス州で社会経済事業を行っている。同基金の10年間の実績は768件の事業、総額13億ソムの資金拠出である。内訳には、学校の支援と数か村への飲料水の供給、コクタシュ村とカラオイ村の幼稚園の建設・大規模改修、タラス市の幼稚園「Nur & Datka」の開設、27か所の医療所・診療所の支援と56件を超える医療事業、無利子融資(4,968人を超える借り手)による製材・縫製・製パンや燃料基地7か所の立ち上げ、農業機械の購入と乳製品・牧羊・種子生産の事業が含まれる。同基金は、これらを通じてタラス州に467人分を超える常用雇用が生まれたとしている。

2026年時点では、子会社のアリャンス・ギドロがタラス州のチョンチチカン川とトゥズアシュー川に小水力発電所3基からなる「ジェロイ」小水力群を建設している。ロシア・キルギス開発基金、アリャンス・アルティン、国家金融ホールディングが参加する事業で、発電した電力は6キロの送電線で選鉱工場の変電所へ送られ、そこからキルギスの国家送電網へ入る。建設は2028年までを予定している。

読むときの注意

同社は有限責任会社であり、財務諸表を公表していない。生産量、投資額、納税額はいずれも同社の発表に基づくもので、独立に検証できる資料はない。

埋蔵量の表示にも整合しない点がある。同社は賦存埋蔵量を88.2トン、可採埋蔵量を93トンとしながら、露天段階67トンと坑内段階55.9トンという段階別の数字も併記しており、段階別の合計は93トンにならない。国際的な分類(JORCやNI 43-101)による報告は公表されていない。

最終的な所有者について、同社のサイトは設立者をヴォストク・ゲオロドブィチャとしか記していない。ロシアの企業グループとの関係は同社の資料からは確認できないため、資本関係を書くときは根拠となる資料を確かめる必要がある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。