解説 · 2026年8月時点
アート・ワイン(Art Wine CJSC)は、アルメニアの酒類卸売会社である。2006年11月にエレバンで閉鎖型株式会社として登記され、法人登記上の主たる事業は「アルコール飲料の卸売」に分類される。社名から酒造会社と受け取られやすいが、公開されている登記情報では製造ではなく輸入・流通を担う事業者である。
アルメニアの大口納税者を管轄する専門の税務署(大口納税者税務署)に属しており、国家歳入委員会が公表する納税額上位1000社のリストでも上位に入る。非上場のため財務諸表は公表されておらず、規模を推し量る手がかりは納税額に限られる。
| 正式名 | Art Wine CJSC(ԱՐԹ ՎԱՅՆ ՓԲԸ) |
|---|---|
| 納税者番号 | 01224623 |
| 登記 | 2006年11月29日 |
| 本拠 | エレバン市アラブキル地区オルベリ通り31 |
| 事業 | アルコール飲料の卸売(活動分類 NACE G46.34.1) |
| 税務管轄 | 大口納税者税務署 |
| 大口納税者順位 | 第41位(公開データの集計、2026年8月16日更新時点) |
会社の位置づけ
アルメニアの酒類市場は、ブランデー(コニャック)とワインの国内生産が長い伝統を持つ一方で、ウイスキー、ウォッカ、ビール、輸入ワインといった商品は輸入業者と卸売業者が流通を担う。アート・ワインはこの卸売の側に位置する会社で、公開登記の活動分類でも「アルコール飲料の卸売」が主たる事業とされている。同じ分類には、ペルノ・リカール・アルメニアやスピリット・マーケットなど、国際的な酒類ブランドの現地流通を担う会社が並ぶ。
会社は非上場で、株主構成、取扱ブランド、従業員数はいずれも公表されていない。公式サイトも確認できない。したがって同社について公開情報から言えるのは、登記の内容と、国家歳入委員会が出す納税額の推移までである。
納税額の推移
アルメニア国家歳入委員会は四半期ごとに大口納税者1000社のリストを公表しており、アート・ワインは継続してこのリストに載っている。2026年上半期のデータでは、同社の納税額が前年同期に比べて41億ドラム減少した。同じ時期には、電子機器の輸入・販売を手がけるプリティ・ウェイ(納税額が約85%減)、石油製品輸入のフラッシュ(30億ドラム減)、ユニバンク(27億ドラム減)でも大きな減少が記録されている。
この時期のアルメニアでは、2022年以降に膨らんだロシア向けの再輸出取引が縮小に向かっており、輸入・卸売を主業とする企業の納税額が振れやすい局面にあった。プリティ・ウェイについては「最近まで電子機器をロシアへ再輸出していた」と報じられている。アート・ワインの減少要因は公表されていないが、同社が属する輸入・卸売の分野全体が、この期間に大きな数字の変動を経験している点は押さえておく必要がある。
アルメニアの酒類流通の背景
アルメニアはユーラシア経済連合(EAEU)の加盟国で、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンなどとの間で関税同盟を組む一方、欧州連合とは包括的・拡大パートナーシップ協定(CEPA)を結んでいる。輸入酒類の流通は、この二つの経済圏の間に立つ位置取りの影響を受けやすい。
また酒類は物品税(消費税)の対象であり、輸入と卸売の段階で課される税が納税額に直結する。大口納税者リストで卸売会社が上位に並ぶのは、この税構造による面が大きい。納税額の大小がそのまま企業の利益規模を示すわけではない点には注意が要る。
参考資料
- ԱՐԹ ՎԱՅՆ(ՀՎՀՀ 01224623)企業カード(karg.am、出典は法務省法人登記および国家歳入委員会の公開データ、2026年8月16日更新) ↗
- ZCMC Reclaims Top Taxpayer Position as Gaming Sector Continues to Grow(Massis Post、2026年7月/アルメニア国家歳入委員会データ) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。