解説 · 2026年8月時点
アルテル・エレクトロニクス(Artel Electronics)は、中央アジア最大の家電メーカーである。2011年にタシケントでガスコンロの生産から始まり、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンへと製品を広げた。ロシアや中国のメーカーが市場を押さえていた地域で、国産ブランドとして地歩を築いた点が特徴である。ウズベキスタンの民間企業として初めて国際的な信用格付けを取得した企業でもある。
| 正式名 | Artel Electronics LLC |
|---|---|
| 創業 | 2011年(商標登録の出願は同年1月31日、ガスコンロの生産開始は同年8月) |
| 本社 | ウズベキスタン・タシケント |
| 事業 | 家庭用電化製品と電子機器の製造・販売 |
| 製品 | 33のカテゴリー、約1,020品目。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、調理機器など |
| 工場 | 15か所 |
| 取扱ブランド | 自社ブランドのほかShivaki、Avalon、Vesta、Royal。ウズベキスタンにおけるサムスン電子の公式地域パートナー |
| 格付 | 2021年にウズベキスタンの民間企業として初めてフィッチ・レーティングスの格付けを取得(長期発行体格付けB、見通し安定) |
| 所有形態 | 非上場の民間企業 |
沿革
創業者はジャホンギル・アルティクホジャエフ(建材大手AKFAグループの創業者と同一人物で、2018年からタシケント市長を務める)。ガス部門で長く働いた父の仕事にちなみ、最初の工場としてガスコンロの生産設備をタシケントに建てた。社名は「Art(芸術)」と「el(エレクトロニクス)」を組み合わせた造語である。
その後、掃除機、テレビ、エアコン、全自動洗濯機、冷蔵庫と電気オーブンへ順に生産品目を広げ、電子機器の心臓部にあたるSMT(表面実装)基板の内製にも進んだ。輸出はガスコンロのキルギス、トルクメニスタン、カザフスタン向け出荷から始まり、現在は20か国を超える。サムスン電子との提携により、ウズベキスタンにおける同社の公式地域パートナーの地位も持つ。
資本市場との関わり
2021年、ウズベキスタンの民間企業として初めてフィッチ・レーティングスから長期発行体格付け(B、見通し安定)を取得した。同年にはIFRSに基づく3年分の財務諸表を作成してデロイトの監査意見を得ており、ユーロ債発行の準備が進められた。
フィッチの評価では、国内市場での首位という強みと、事業規模の小ささ、地域的な多角化の限界、外貨建て債務の負担、フリーキャッシュフローのマイナスが相殺し合う構図になっている。国内需要に依存する家電メーカーが、通貨の変動を抱えながら設備投資を続ける難しさが、そのまま格付けに表れている。
参考資料
- About Artel Electronics(公式サイト) ↗
- Artel Electronics(公式サイト) ↗
- Fitch affirms Artel Electronics at 'B'; Outlook Stable — UzDaily ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。