解説 · 2026年8月時点
アゼルゴールド(AzerGold)は、アゼルバイジャンの国営鉱山会社である。石油とガスに偏った同国の資源産業を金属側へ広げるために2015年に設立され、いまでは国内の金生産の約6割を占める最大の生産者になった。金と銀に加えて鉄鉱石やベースメタルにも手を広げており、非石油部門の輸出を増やすという国家的な課題を、鉱業の側から担う存在といえる。
| 正式名 | AzerGold CJSC |
|---|---|
| 設立 | 2015年2月 |
| 本社 | アゼルバイジャン・バクー |
| 事業 | 金・銀・鉄鉱石など貴金属・非鉄金属鉱床の探査、開発、操業 |
| 売上高 | 1億8,300万ドル(2024年。うち金1億7,800万ドル) |
| 金生産量 | 7万1,000オンス(2024年)。販売7万オンス、平均販売価格1オンス2,351ドル |
| 総資産 | 4億8,800万ドル、自己資本3億9,400万ドル(2024年) |
| 全維持コスト(AISC) | 1オンス1,394ドル(2024年) |
| 従業員 | 1,000人超 |
| 主な鉱床 | チョウダル、トゥラッラル、マラフ(金)、ダシュケサン(鉄鉱石) |
| 所有形態 | アゼルバイジャン政府100%(AIH管理下) |
設立と体制
2015年2月に設立され、政府が全株式を保有する。2020年にアゼルバイジャン投資持株会社(AIH)の管理下に入り、企業統治の改革が進められた。子会社にはダシュケサン鉄鉱石会社と、産業用爆薬を製造するアゼルブラストがある。従業員は1,000人を超える。
資金調達では債券も発行しており、公式サイトに専用の開示欄を設けている。国有企業でありながら財務と生産の数字を継続的に公表する会社であり、アゼルバイジャンの鉱業を定量的に追える数少ない窓口になっている。
鉱山と生産
主力はダシュケサン地区にあるチョウダル金鉱床で、2017年に採掘を始めた。当初は地表近くの酸化鉱を対象としており、2017年から2021年までに24万3,355オンスの金を産出した。その後、炭素浸出(CIL)方式の選鉱プラントを整備し、より深部の硫化鉱の処理に対応できる体制へ移行している。このほかトゥラッラル、マラフの金鉱床を操業し、アグヨフシュなど複数の鉱床で探査を続けている。
生産量は2022年の6万2,000オンスから2023年6万4,000オンス、2024年7万1,000オンスへと着実に伸びた。売上高は2022年1億2,400万ドル、2023年1億3,500万ドルを経て、2024年は1億8,300万ドルに達した。金価格の上昇が寄与しており、2024年の平均販売価格は1オンス2,351ドルだった。全維持コスト(AISC)は1オンス1,394ドルで、価格との差が利益の源泉になっている。
多角化の方向
同社が描く成長の絵は金だけではない。ダシュケサンの鉄鉱石では、精鉱から熱間ブリケット鉄(HBI)までの一貫生産を輸出向けに開発している。フィリズチャイ(亜鉛・銅・鉛)、マズィムチャイ(銅)、ゴイダグ(銅)といったベースメタル鉱床も事業化調査の段階にある。金以外の金属に広げることは、金価格の変動に業績を左右されにくくする意味を持つ。
2020年代後半には、旧紛争地域(カラバフ、東ザンゲズル)の鉱床開発が政策上の重点に挙げられている。中央アジアでの探鉱・採掘への関心も表明されており、国内の一鉱山会社から域内の資源会社へ広がるかどうかが今後の焦点になる。
参考資料
- AzerGold CJSC(公式サイト) ↗
- 「AzerGold」CJSC — 会社概要 ↗
- Azerbaijan Investment Holding Overview Presentation(2025年9月、AzerGold の財務・生産データ) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。