解説 · 2026年8月時点
アゼリシグ(Azərişıq)は、アゼルバイジャンの配電と電力小売を担う国有企業である。2015年2月10日、大統領令によりバクー配電網を運営していたバクエレクトリクシェベケ開放型株式会社が改称され、全土(ナヒチェヴァン自治共和国を除く)の配電を一つの事業者に統合する形で発足した。発電と送電を担うアゼルエネルジと役割が分かれている。
同社は需要家に対する接続、計量、請求、集金といった顧客業務を一手に引き受けており、電気料金の徴収と配電網の損失削減が経営の中心的な課題になっている。2025年12月末の連結総資産は38億6,085万マナト、自己資本は29億7,632万マナトである。
| 正式名 | “Azərişıq” Açıq Səhmdar Cəmiyyəti(アゼリシグ開放型株式会社) |
|---|---|
| 設立 | 2015年2月10日付の大統領令により、バクエレクトリクシェベケ(バクー配電網)開放型株式会社を改称して発足 |
| 所有 | アゼルバイジャン政府(100%) |
| 事業 | ナヒチェヴァン自治共和国を除く全土での配電、電力小売、系統への接続、計量、料金請求 |
| 総資産 | 38億6,085万マナト(2025年12月末、連結) |
| 自己資本 | 29億7,632万マナト(2025年12月末、連結) |
| 当期純利益 | 837万マナト(2025年通期、連結)。前年は1,555万マナト |
| 税引前利益 | 1,686万マナト(2025年通期) |
| 監査法人 | KPMGアゼルバイジャン |
| 経営 | 理事長ヴガル・アフメドフ(2020年1月7日就任) |
沿革と組織
バクー配電網の運営組織は1944年までさかのぼる。1998年から2000年にかけてはバクエレクトリクシェベケ生産合同として、2000年以降は同名の開放型株式会社として運営された。2006年から2015年までバクエレクトリクシェベケ理事会議長を務めたババ・ルザエフ氏は、2015年から2018年までアゼリシグの理事長となり、現在はアゼルエネルジの社長である。2020年1月7日、大統領令によりヴガル・アフメドフ氏が理事長に任命された。
同社は、公式サイトで開放データ、電子データベース、計画停電、SCADAシステム、関税評議会の決定、品質指標、供給中断の指標(SAIDI/SAIFI)、監査済み財務諸表などを公開している。国有インフラ企業としては開示の範囲が広い。
財務
同社が公表する2025年12月期の連結財務諸表(KPMGアゼルバイジャン監査)によれば、総資産は38億6,085万マナト(前年36億2,069万マナト)で、そのうち有形固定資産が35億7,515万マナトを占める。資本は授権資本16億7,871万マナト、追加払込資本15億7,230万マナト、累積損失2億7,468万マナトで、自己資本の合計は29億7,632万マナトである。
負債は、長期の借入金3億3,699万マナト、繰延税金負債1億530万マナト、短期の借入金1億8,683万マナト、仕入債務等1億1,415万マナト、前受金1億361万マナトなどで、合計8億8,453万マナトだった。
損益では、2025年通期の税引前利益が1,686万マナト(前年3,125万マナト)、当期純利益が837万マナト(前年1,555万マナト)である。減価償却費は1億3,269万マナトで、営業活動によるキャッシュフローは1億9,863万マナトだった。総資産の規模に対して利益はきわめて薄く、設備投資の原資は国からの資金に依存している。2025年には国から1億6,825万マナト、2024年には2億9,367万マナトが追加払込資本として拠出された。
事業の課題
配電事業の要は、送配電の途中で失われる電力(技術的損失と非技術的損失)をどこまで抑えられるかにある。同社はスマートメーターの導入とSCADAによる遠隔監視を進め、供給中断の頻度と時間を示すSAIDI・SAIFIの指標を公表するようになった。
近年は、第2次カラバフ紛争後に返還された地域の電力網の再建も担っている。ホジャリやホジャヴェンドなど、住民の帰還が進む地域で配電設備の更新を行っていることを同社は公表している。
参考資料
- “Azərişıq” ASC — Maliyyə hesabatları(公式サイト、監査済み財務諸表の一覧) ↗
- 31 dekabr 2025-ci il tarixində tamamlanan il üzrə Maliyyə Hesabatları və Müstəqil Auditorların Hesabatı(アゼリシグ2025年12月期 連結財務諸表) ↗
- Tariximiz(アゼリシグ 公式サイト、沿革) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。