解説 · 2026年8月時点
バクー国際海上貿易港は、カスピ海西岸に位置するアゼルバイジャンの主要港である。2018年に首都バクーの南方約65キロのアラトで新港が開業し、旧市街地の港湾機能を引き継いだ。中間回廊(カスピ海横断輸送ルート)でカスピ海を渡ってきた貨物が陸に上がる地点であり、この回廊の処理能力を決める要所の一つになっている。2025年2月にアゼルバイジャン鉄道へ統合され、鉄道と一体で運営されている。
| 正式名 | Baku International Sea Trade Port CJSC |
|---|---|
| 所在 | アゼルバイジャン・アラト(バクー南方約65キロ) |
| 開業 | 2018年(アラトの新港) |
| 事業 | カスピ海の貨物港。コンテナ、フェリー(ロールオン・ロールオフ)、一般貨物 |
| 取扱量 | 貨物820万トン超、コンテナ10万7,000TEU(2025年) |
| コンテナ取扱の推移 | 7万6,775TEU(2024年)から2025年は37%増 |
| 設計能力 | 年間1,500万トン、コンテナ10万TEU(開業時)。コンテナは現在15万TEU相当まで対応 |
| 拡張構想 | 年間2,500万トン、コンテナ50万TEUへ |
| 所有形態 | 2025年2月にアゼルバイジャン鉄道(ADY)へ統合 |
アラトへの移転と自由経済地区
旧来の港はバクーの市街地にあったが、都市の再開発と処理能力の限界から、南方のアラトに新しい港を建設して2018年に開業した。開業時の設計能力は年間1,500万トン、コンテナ10万TEUである。周辺にはアラト自由経済地区が設けられ、港を核とした物流・製造の集積が図られている。
港はカスピ海に面しているため、外洋とは直接つながらない。貨物は必ずカスピ海を船で渡り、対岸のカザフスタン(アクタウ港、クリク港)またはトルクメニスタン(トルクメンバシ港)との間を往復する。この閉じた海の性格が、港の役割を「中継点」として規定している。
取扱量の伸び
2025年の取扱量は貨物820万トン超、コンテナ10万7,000TEUだった。コンテナは2024年の7万6,775TEUから37%増え、年間10万TEUの大台を初めて超えている。取扱貨物のおよそ4割は中国発の輸入・通過貨物が占めるとされる。
コンテナの実質的な処理能力は現在15万TEU相当まで引き上げられている。さらに次の建設段階の計画が進められており、実現すれば年間2,500万トン、コンテナ50万TEUの体制になる。2026年1〜7月のコンテナ取扱量は前年同期比20%増の7万2,370TEU、乾貨物は82%増の140万トンと伸びが続いている。
鉄道との統合
2025年2月25日の大統領令で、同港はアゼルバイジャン鉄道(ADY)に統合された。港と鉄道の運行を同期させることで、大きな追加投資をせずに貨物処理が速くなったと港湾側は説明している。中間回廊の所要日数を縮める取り組みとして、施設の増強と並んで運営の一体化が選ばれた形である。
対岸のカザフスタン側ではアクタウ港とクリク港の増強が進んでおり、カスピ海を挟んだ両岸の能力がそろって初めて回廊全体の輸送力が上がる。バクー港の取扱量は、その進み具合を測る指標として読める。
参考資料
- Baku Port Handles 37% More Containers in 2025 — Maritime Professional ↗
- Azerbaijan Railways — AZCON Holding(港湾統合と2025年実績) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。