解説 · 2026年8月時点
ベレケト銀行(ЗАО «Берекет Банк»)は、2025年に設立されたキルギスの新しい商業銀行である。2025年12月3日にキルギス国立銀行の免許登録簿に第054号として記載された。「ベレケト」はキルギス語で豊穣・恵みを意味する。
同行は支店を持たず、モバイルバンキングを軸にした非対面型の営業を掲げている。重点分野として個人向けサービス、中小企業向け金融、公共サービスの決済統合、そしてイスラム金融の四つを挙げ、2030年までにキルギスの主要なデジタル銀行の一つに入ることを目標としている。2026年上半期は損失を計上した。
| 正式名 | ЗАО «Берекет Банк»(Bereket Bank CJSC) |
|---|---|
| 設立 | 2025年 |
| 免許 | キルギス国立銀行の免許第054号。免許登録簿への記載は2025年12月3日 |
| 本店 | キルギス・ビシケク市ジュケエフ=プドフキン通り44/1 |
| 支店 | 0(2026年8月14日時点、キルギス国立銀行の登録簿) |
| 重点分野 | 個人(モバイルバンキング、オンライン融資、カード、送金)、中小企業、公共サービスの決済統合、イスラム金融 |
| 業績 | 2026年上半期は損失(Economist.kgの集計) |
| 財務 | 総資産・自己資本は公表資料からは確認できない |
設立と位置づけ
同行は自らを「2025年に設立された、住民と事業者に手頃で技術的な銀行サービスを届けることを目指す現代的な金融機関」と説明している。キルギス国立銀行の免許登録簿には2025年12月3日付で第054号として記載され、電子マネーの発行許可や貴金属業務の許可は取得していない。
2025年末から2026年前半にかけて、キルギスでは新しい銀行の免許交付が相次いだ。同行を皮切りに、アルマ・ファイナンス銀行(2026年1月14日)、アスマン銀行(2026年2月4日)、クルム銀行とムラス銀行(いずれも2026年5月13日)が続き、免許登録簿に載る銀行は26に増えた。同行はこの一群の先頭にあたる。
本店はビシケク市ジュケエフ=プドフキン通り44/1に置かれている。国立銀行の登録簿によれば、2026年8月14日時点で支店はゼロである。
2025〜2026年の新規免許の波
キルギス国立銀行の免許登録簿を見ると、2016年1月のコンパニオン銀行を最後に、新規の銀行免許は約10年間交付されていなかった。それが2025年12月から2026年5月にかけて、半年足らずのあいだに5行へ交付された。ベレケト銀行(2025年12月3日、免許第054号)、アルマ・ファイナンス銀行(2026年1月14日、第055号)、アスマン銀行(2026年2月4日、第056号)、クルム銀行とムラス銀行(いずれも2026年5月13日、第057号と第058号)である。
5行の性格はそれぞれ異なる。クルム銀行とムラス銀行は国有で、政策目的のために設けられた。アルマ・ファイナンス銀行は中国の民間資本が参加すると公表している。ベレケト銀行はイスラム金融とデジタル決済を掲げ、アスマン銀行は株主構成を明らかにしていない。共通するのは、5行とも2026年8月14日時点で支店を持たないことである。
この時期のキルギスの銀行部門は急拡大していた。国立銀行の集計では、2026年6月末の26行の総資産は1兆5,773億ソムで、年初から30.2%増えている。貸出は6,026億ソム(18.9%増)、預金は9,247億ソム(6.8%増)である。一方で上位3行が資産の51%、上位10行が91.2%を占める集中も進んでおり、新規参入行が既存の序列に食い込めるかどうかは、まだ見えていない。
掲げる方針
同行は事業の重点を四つの領域に置くとしている。第一は個人向けで、モバイルバンキング、オンライン融資、カード、送金である。第二は中小企業向けで、融資、加盟店決済、給与振込、事業者向けの金融サービスを扱う。第三は公共サービスで、決済と行政サービスをデジタル基盤の上で統合する。第四はイスラム金融で、シャリーアに適合する金融商品を育てるとしている。
同行の説明では、活動の狙いはキルギス共和国の金融包摂とデジタル経済の発展にあり、住民の銀行サービスへの接近の拡大、中小企業の発展、非現金決済の増加、銀行サービスと行政サービスの統合、イスラム金融の発展に寄与するとしている。
2030年までに、金融サービス、行政サービス、決済ソリューションを単一のモバイル空間に統合し、キルギスの主要なデジタル銀行の一つに入ることを目標に掲げている。信頼性、透明性、革新性を運営の原則とし、公正で透明な料金と、資金・データの保護を約束するとしている。
免許に付随する許可
キルギスの銀行免許は、国内通貨・外貨での銀行業務を行う基本の免許に加えて、四つの追加の許可が別立てになっている。貴金属を扱う許可、電子マネーを発行する許可、金融情報の受領・処理・提供に関する取引を行う許可、そしてイスラム金融を通常業務の一部として扱う「イスラム・ウィンドウ」の許可である。
国立銀行の免許登録簿によれば、2026年8月14日時点で同行はこれらの追加の許可をいずれも取得していない。同行はイスラム金融を四つの重点分野の一つに挙げているが、イスラム・ウィンドウの許可はまだ登録簿に記載されていない。この分野に踏み出すには、国立銀行への追加の申請と、シャリーア適合性を審査する体制の整備が必要になる。
先行する事例では、イスラム・ウィンドウの許可はМバンクが2021年10月13日、エルディク銀行が2022年8月10日、Aバンクが2022年10月26日、バカイ銀行が2017年11月16日、オプティマ銀行が2025年8月25日に得ている。許可は契約の型ごとに与えられ、ムダーラバ、ムラーバハ、カルドから始めて、イジャーラやイスティスナーへ段階的に広げる形をとる例が多い。
財務と読み方の注意
経済専門紙エコノミストが2026年上半期についてまとめた23行の利益の順位表によれば、同行はアルマ・ファイナンス銀行、アスマン銀行とともに、上半期を損失で終えた三行のうちの一つである。新設の銀行が立ち上げ期に損失を出すことは珍しくないが、損失の額は同紙の記事には示されていない。
総資産、自己資本、授権資本、従業員数はいずれも公表資料からは確認できない。公式サイトには「Финансовая отчетность(財務報告)」の欄があるが、2026年8月時点で内容は掲示されていない。
同行についてここに書けるのは、免許の登録日、本店所在地、支店がないこと、掲げている方針、そして上半期が損失だったことに限られる。掲げた目標が実現するかどうかを判断する材料は、現時点ではない。
参考資料
- О Банке — ЗАО «Берекет Банк»(公式サイト) ↗
- Список коммерческих банков Кыргызской Республики — キルギス国立銀行(2026年8月14日時点) ↗
- Рейтинг банков КР за I полугодие 2026 года: 74% прибыли — у пяти крупнейших — Economist.kg(2026年8月15日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。