解説 · 2026年8月時点
CPSエナジー・グループ(City Petrol Service)は、アルメニアの石油製品の輸入・販売会社である。1992年の創業以来、ガソリンと軽油を輸入して卸売と小売を行い、同国最大級の給油所網を運営してきた。2025年には248億1,000万ドラムを納め、国内9位の納税者だった。
アルメニアは石油を産出せず、燃料はすべて輸入に頼る。加えて、隣国トルコとアゼルバイジャンとの国境が閉ざされているため、輸送経路はジョージア経由の黒海ルートとイラン経由に限られる。燃料の輸入業者は、この制約の中で調達先を組み替えてきた。CPSの調達先の推移は、その事情をそのまま映している。
| 正式名 | CPS Energy Group(City Petrol Service) |
|---|---|
| 創業 | 1992年 |
| 本拠 | アルメニア・エレバン |
| 事業 | ガソリン・軽油の輸入と卸売、給油所の運営 |
| 給油所 | 101か所(自社サイト、2020年ごろの記述) |
| 油槽所 | 8か所(エレバン、ヴァナゾル、アルマヴィル、ギュムリ、セヴァン、アルティク、アボヴィヤン) |
| 調達先 | ロシア、ブルガリア、ルーマニア。軽油は1994年からトルクメニスタンからも |
| 納税額 | 248億1,000万ドラム(2025年、アルメニアの納税者9位) |
創業と市場の整備
1992年の創業当時、アルメニアの燃料市場は危機にあった。アルメニア原子力発電所が停止して電力が不足し、鉄道が封鎖されて代替エネルギーの搬入路も断たれていた。市場には品質の悪い燃料が出回り、供給は途切れがちで、設備の整った給油所はほとんど存在せず、ガソリンや軽油を容器に入れて路上で売る商いが広がっていた。
同社はまず継続的な輸入経路の確保に取り組み、1992年からロシア、ブルガリア、ルーマニアの供給元と契約を結んだ。1994年にはトルクメニスタンからの軽油の年間供給契約を締結している。トルクメニスタン産の軽油は、ロシア一辺倒を避ける代替供給として位置づけられてきた。
1994年からは給油所網の建設を始め、自社サイトによれば給油所は101か所に達した。国の南北の国境道路と中央・西部の幹線道路の要衝には8か所の油槽所を置き、燃料の在庫(マージン)を国内に確保する体制を整えた。アルメニアで初めて、給油所と油槽所で使えるクーポン方式の販売制度を導入したのも同社である。
事業の形と位置づけ
同社は、エレバンのほかヴァナゾル、アルマヴィル、ギュムリ、セヴァン、アルティク、アボヴィヤンといった地方の拠点ごとに企業群を置き、法人としては独立していないものの、それぞれに大きな裁量を与える分権的な運営をとると説明している。
市場での位置づけを示す公表数値は限られる。売上高や販売数量は公表されておらず、シェアについても年次の裏づけのある公表資料は見当たらない。確認できるのは納税額で、2025年には248億1,000万ドラムを納めて国内9位に入った。上位10者にはザンゲズル銅モリブデン・コンビナート、グランド・タバコ、ガスプロム・アルメニア、アルドシンバンク、アメリアバンクが並び、CPSは資源・たばこ・銀行と並ぶ規模の納税者ということになる。
なお、公式サイトの記述は2020年前後の内容が残ったままであり、給油所数や油槽所数は最新の数値でない可能性がある。
参考資料
- CPS — Company profile(公式) ↗
- CPS OIL(公式サイト) ↗
- Armenia's 1,000 largest taxpayers paid 1.95 trillion drams to the state budget in 2025 — ARKA(2026年1月26日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。