解説 · 2026年8月時点
イーストコムトランス(Исткомтранс、Eastcomtrans)は、カザフスタン最大の民間貨車オペレーターである。自社で1万1,000両を超える貨車を保有し、これを荷主に貸し出すとともに、鉄道輸送の手配(フォワーディング)、カスピ海のアクタウ港と中国国境のドストゥク駅での積み替え、貨車の検修までを手がける。
カザフスタンの鉄道網そのものは国営のカザフスタン鉄道(KTZ)が持つが、貨車は民間事業者も保有できる。イーストコムトランスはこの民間貨車市場の最大手であり、石油化学品、硫黄、鉱石・金属、建材、穀物といった重量物の輸送に使われる車両を供給している。中国と欧州を結ぶ輸送量の伸びに合わせて、コンテナ輸送と多式連運へ事業を広げつつある。
| 正式名 | ТОО «Исткомтранс»(Eastcomtrans LLP) |
|---|---|
| 本社 | カザフスタン・アルマトイ(アル・ファラビ大通り77/7) |
| 事業 | 貨車の保有・賃貸、鉄道貨物の輸送・フォワーディング、アクタウ港とドストゥク駅での積み替え、貨車の検修 |
| 保有車両 | 1万1,000両超(うち約半分がオープンワゴン、2025年12月時点) |
| 売上高 | 871億テンゲ(2024年通期、フォーブス推計) |
| 従業員 | 193人(2025年12月時点) |
| 拠点 | 国内とロシア・中国・ウズベキスタンに計11の駐在事務所 |
| 所有者 | マラト・サルセノフ、Steinhardt Holding N.V. |
| 順位 | 第45位(フォーブス・カザフスタン「75大私企業」2025年版) |
事業
収入の柱は貨車の運用リースである。荷主は自前で貨車を持たずに車両を確保でき、オペレーター側は稼働率と回転で稼ぐ。オープンワゴンが車両の約半分を占め、残りは石油タンク車、ホッパー車、プラットフォーム車などである。
貨車の保有に加えて、アクタウ港(カスピ海)とドストゥク駅(中国国境)という二つの結節点で貨物の積み替えを行う。カザフスタン西部で産出する硫黄や石油化学品をカスピ海経由でコーカサス方面へ、あるいは中国向けの貨物を国境で軌間の違いを越えて渡す作業がここに集まる。コスタナイには貨車修理事業所(ВРП-Костанай)を持ち、石油・ガス用タンク車の大規模修理の資格を取得している。
沿革と近年の動き
2006年から事業を積み上げ、2010年代には社債の発行体としてカザフスタン証券取引所(KASE)に登録し、国際的な信用格付けも取得した。KASEの発行体一覧には現在も登録が残るが、2026年8月時点で同取引所に上場している証券はない。
2021年には、モスクワからアルマトイまでのコンテナ列車で6日以内の速達サービスを開始し、韓国からアラシャンコウ経由で現代自動車カザフスタン工場向けの部品コンテナを運ぶ契約も獲得した。アルマトイ州では輸送物流センター「ジェティゲン」を整備しており、ここでコンテナを2段積みするプラットフォームの試験にカザフスタンで初めて成功したとしている。
2025年2月には中国・青島に現地拠点「ECT China」の本部を開設し、翌3月には中国鉄路の多式連運会社China Railway International Multimodal Transport(CRIMT)と協定を結んだ。中国発着の貨物を取り込む姿勢が、近年の同社の方向を示している。
参考資料
- 75 крупнейших частных компаний Казахстана — 2025 — Forbes Kazakhstan(2025年12月8日) ↗
- Исткомтранс — 公式サイト(会社の歴史) ↗
- Eastcomtrans LLP — Kazakhstan Stock Exchange(発行体情報) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。