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エルディク銀行

Eldik Bank OJSC
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解説 · 2026年8月時点

エルディク銀行(ОАО «Элдик Банк»)は、キルギス共和国内閣が全株式を保有する国有の商業銀行である。総資産では国内最大で、支店数でも55と最も多い。1996年に国立銀行の決定で設立された「決済貯蓄会社」を起源とし、2008年にRSK銀行、2024年にエルディク銀行と名を変えてきた。

2025年は同行にとって転換の年だった。国が641億ソムの増資を引き受けたことで授権資本は763億ソムへ膨らみ、総資産は1年で2.7倍になった。同じ年には携帯通信事業者スカイ・モバイル(ビーライン・キルギスタン)の全持ち分を4,500万ドルで取得しており、国有銀行が通信会社を傘下に持つ構造ができている。

正式名ОАО «Элдик Банк»(Eldik Bank OJSC)。2008年から2024年までの名称は ОАО «РСК Банк»
設立1996年7月22日のキルギス国立銀行理事会決定第24号により「決済貯蓄会社(РСК)」として設立。設立時の授権資本は100万ソム
免許キルギス国立銀行の免許第033号(1996年7月25日)、第033/1号(2008年10月3日)
改称2008年8月13日にRSK銀行へ(登記は同年9月24日)、2024年5月31日にエルディク銀行へ
本店キルギス・ビシケク市キエフ通り76
支店55(2026年8月14日時点、キルギス国立銀行の登録簿)。同行の説明では本店のほか52の支店、41の貯蓄窓口、32の出張窓口、21の延長営業拠点
所有形態キルギス共和国内閣(内閣付属国有財産管理国家庁が代表)が100%
総資産2,672億2,267万ソム(2025年12月31日、連結IFRS)/2,950億ソム(2026年6月30日、Economist.kgの集計)
自己資本883億6,765万ソム(2025年12月31日、連結IFRS)
純利益59億9,864万ソム(2025年通期、連結IFRS)
授権資本763億2,808万ソム(2025年12月31日)。額面500ソムの普通株式1億5,265万6,150株
配当51億4,177万ソム(2025年に宣言、1株当たり210.70ソム)
イスラム窓口免許第033/1号(2022年8月10日)
頭取ウランベク・ノガエフ氏(キルギス国立銀行の登録簿)

沿革

同行の説明によれば、その起源は1996年7月22日付のキルギス国立銀行理事会決定第24号にもとづいて設立された「決済貯蓄会社(Расчетно-сберегательная компания、РСК)」である。設立時の授権資本は100万ソムだった。国立銀行の免許は1996年7月25日付の第033号、追加の第033/1号は2008年10月3日付である。

2007年12月に銀行業務の免許を取得し、2008年8月13日の株主総会で「RSK銀行(ОАО «РСК Банк»)」への改称を決議、同年9月24日に法務省での登記が完了した。決済と貯蓄を担う準公的な機関から、預金・与信・決済を扱う汎用銀行へ移行した経緯がここにある。

2024年5月31日、RSK銀行は正式に「エルディク銀行(ОАО «Элдик Банк»)」へ改称した。エルディクはキルギス語で「人民の」を意味する語に由来する。

国有銀行としての位置

同行は、発行済株式の100%をキルギス共和国内閣が保有する。連結財務諸表の記載では、内閣付属の国有財産管理国家庁が国を代表して株式を保有している。同行は自らを「国家プログラムを実施する主要な銀行代理人になる」ことを掲げており、年金・給付の支払い、政府の融資プログラムの窓口といった役割を担う。

国立銀行の登録簿によれば支店は55で、国内で最も多い。同行の説明では、本店に加えて52の完全な支店、41の貯蓄窓口、32の出張窓口、21の延長営業拠点(夜間・休日も営業)を持つ。支店数の差は、支店とより小規模な拠点の数え方の違いによる。

2018年8月15日付で金の計量地金の取り扱い許可を得ており、2024年9月10日付でキルギスアルティンが発行する精錬済み地金に限った取り扱いが追加された。電子マネーの発行許可は2022年3月9日付、イスラム窓口の免許(第033/1号)は2022年8月10日付である。

2025年の資本増強

2025年、同行の株主総会は641億2,659万ソムの増資を決議した。額面500ソムの株式1億2,825万3,183株を株主(すなわち国)の資金で発行するもので、これにより登記・払込済の授権資本は2024年末の122億148万ソムから763億2,808万ソムへ6倍以上になった。発行済株式数は2,440万2,967株から1億5,265万6,150株へ増えている。

この結果、自己資本は2024年末の185億3,038万ソムから2025年末に883億6,765万ソムへ、総資産は992億5,654万ソムから2,672億2,267万ソムへ拡大した。1年で資産が2.7倍になった計算である。負債側では法人の当座預金・預金が457億2,804万ソムから1,354億6,305万ソムへ急増しており、国有企業や政府関連の資金が集まったことがうかがえる。

国立銀行が2025年12月29日に定めた日程では、システム上重要と判定された銀行の最低授権資本は2027年7月1日から80億ソムである。同行の授権資本はその9倍を超える水準にあり、資本規制の観点からは余裕がある。ただし、これは市場から集めた資本ではなく国の出資であり、公的資金がどのように使われるかという観点からの評価は別に必要になる。

子会社とスカイ・モバイルの買収

同行は複数の子会社を持ち、連結ベースで財務諸表を作成している。子会社はОсОО «ЭлТех»、ОсОО «Элдик Лизинг»、ОсОО «Элдик Инвестмент»、ООО «Скай Мобайл»で、孫会社としてОсОО «Инкер»、ОсОО «Баланс KG»、ОсОО «Терра Компани»がある。ЭлТехは国民的な電子商取引の場「ElPost」の技術基盤を開発・運営する会社である。

2025年8月1日、同行はスカイ・モバイル(ООО «Скай Мобайл»)の持ち分100%を、メナクレスト社(«Менакрест Лтд»)から取得する売買契約に署名した。取引額は4,500万ドルで、ソム換算では39億3,427万ソムにあたる。同社は同年8月13日にキルギス共和国法務省で再登記された。

スカイ・モバイルは2006年7月5日に設立された会社で、キルギス国内でGSMおよびUMTS/3G/4G方式の移動体通信を「Beeline」の商標で提供している。取締役会の2025年11月14日付決定により、同社の授権資本は15億5,222万ソムと定められた。孫会社のБаланс KGは決済システムの運営者・決済機関、Терра Компаниは不動産管理を業とするが、後者は2025年に清算の手続きに入っている。

同行はこの買収について、支払対価と取得した純資産の差額を「有利な購入益」として6億2,483万ソム計上した。国有銀行が国内第3の携帯通信事業者を傘下に収めたことになり、金融と通信の垣根をまたぐ国家資本の再編として読める取引である。

財務

2025年12月31日時点の連結IFRS財務諸表によれば、総資産は2,672億2,267万ソムである。内訳は現金および現金同等物が853億6,718万ソム、投資有価証券が784億3,190万ソム、銀行預け金が210億3,258万ソム、顧客向け貸出が618億9,729万ソム(うち法人197億244万ソム、中小企業242億9,833万ソム、個人178億9,653万ソム)、イスラム原則による資金供与が32億2,717万ソムである。

負債合計は1,788億5,501万ソムで、うち顧客の当座預金・預金が1,602億7,676万ソム(法人1,354億6,305万ソム、個人248億1,370万ソム)を占める。2025年通期の純利益は59億9,864万ソム(2024年は58億7,278万ソム)、純受取利息は64億2,069万ソム(同51億3,808万ソム)だった。

配当は2025年に51億4,177万ソム(1株210.70ソム)が宣言された。前年は24億7,262万ソム(1株129.54ソム)である。国立銀行の規則により、銀行が配当を決議するには資本バッファー指数が定められた水準(20%以上)を保つことと、国立銀行の許可を得ることが必要とされる。同行は2025年にこの要件を満たしたうえで、2024年分の配当を株主である国へ支払っている。

経済専門紙エコノミストの集計によれば、2026年6月30日時点の総資産は2,950億ソムで国内首位、1年間で約1,460億ソム(98%)増えた。同紙が示すキルギスの銀行部門全体の総資産1兆4,900億ソムのうち、同行だけで約20%を占める計算になる。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。