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電力ステーションズ

水力発電、卸売への電力販売、電力の輸出入、系統周波数の調整

Electric Power Plants OJSC
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

電力ステーションズ(Electric Power Plants、ロシア語でЭлектрические станции)は、キルギス最大の発電会社である。ナルイン川に連なる水力発電所群を保有し、同国の国内電力消費の86%を賄うと自ら説明している。国有で、株式はエネルギー省と財務省が合わせて約98%を持つ。

水が主力の電源であることは、この国の電力事情そのものである。トクトグル貯水池の水位が下がれば冬の供給が細り、隣国からの輸入と輪番停電が話題になる。発電量と貯水量を握るこの一社の動向は、キルギスの冬の暮らしと、周辺国との電力融通の議論に直結する。

正式名Electric Power Plants OJSC(ОАО «Электрические станции»)
設立2001年、キルギスエネルゴの再編により発足。2001年10月18日に法人登記
本社キルギス・ジャララバード州カラクル市レーニン通り48番
事業水力発電、卸売への電力販売、電力の輸出入、系統周波数の調整
発電所水力発電所7か所。合計設備出力3,155.6メガワット
年間発電量120億〜140億キロワット時(同社の説明)。国内消費の86%を供給
株主エネルギー省57.57%、財務省40.24%、法人・個人が約2.2%(2024年12月31日時点)
従業員2,454人(同社サイト、2026年8月時点)。連結ベースでは5,041人(2024年12月31日)
売上高112億5,423万ソム(2024年通期、継続事業。前期159億3,213万ソム)
当期損失162億1,083万ソム(2024年通期)。前期は147億509万ソムの損失
総資産462億5,813万ソム(2024年12月31日、継続事業)
会計監査リベルタス・グループ(2024年12月期連結財務諸表、2025年3月20日)

成り立ち

2001年、旧国営統合企業キルギスエネルゴの再編にあたり、トクトグル水力発電所群、タシュクムイル水力発電所群、ビシケク熱電併給所、オシ熱電併給所、アトバシ水力発電所、資材技術供給部門(ПМТС)の資産複合体を切り出して設立された。分割貸借対照表に基づいてキルギスエネルゴの権利義務を承継しており、法人としては2001年10月18日にキルギス法務省へ登記され、2008年1月17日に再登記されている。

2008年1月にカンバラタ水力発電所支店が設けられたが、2009年11月1日に廃止され、その資産を基礎に独立した株式会社カンバラタ水力発電所2が作られた。2010年、暫定政府決定第43号とジャララバード地区裁判所の判決により同社の国家登記が無効とされ、資産と債務は電力ステーションズに戻されて「カンバラタ水力発電所2」支店となった。

2022年2月8日の内閣命令第51-r号により、ビシケクの地域熱供給会社ビシケクテプロセチが同社に吸収合併された。ただしこの体制は長くは続かず、2024年6月7日の内閣決定第303号でビシケク熱電併給所とビシケクテプロセチの両支店が財務省へ移管され、同年7月23日の内閣決定第402号でオシ熱電併給所の資産複合体がオシ市の市有財産へ移された。この結果、同社は火力・熱供給の部門を手放し、水力発電に専念する構成になった。2024年12月期の連結財務諸表では、これらが非継続事業として区分されている。

発電設備

同社が保有するのは水力発電所7か所で、合計設備出力は3,155.6メガワットである。中核はナルイン川下流のトクトグル発電所群で、支店としてはトクトグル発電所群、タシュクムイル発電所群、カンバラタ2、アトバシ発電所の4つに整理されている。

トクトグル水力発電所は1962年に着工し1975年に運転を開始した同国最大の発電所で、設備出力は1,320メガワット(近代化後の値として1,440メガワットも示されている)、平年の年間発電量は55億〜60億キロワット時である。貯水池の総容量は195億立方メートル、有効容量は140億立方メートル、堤高215メートル、耐震設計は9度に対応する。2017年から改修と近代化が続き、主変圧器4台、500キロボルト開閉所の高圧機器、発電機遮断器、水車発電機のうち3台(4号機、2号機、1号機)が更新された。

同じ流域には、1976年着工・1981年運転開始のクルプサイ発電所(80万キロワット、平年26億3,000万キロワット時)、1985〜1987年に運転を始めたタシュクムイル発電所(45万キロワット、平年16億キロワット時)、1992〜1995年に運転を始めたシャマルディサイ発電所(24万キロワット、平年9億キロワット時)、1956〜1963年に建設された最下段のウチクルガン発電所(18万キロワット、4台×4万5,000キロワット)が並ぶ。ナルイン川の支流にあるアトバシ発電所は1964年着工・1970年運転開始で、標高2,000メートルに位置する。2020年12月から2022年6月にかけて4台の水車発電機がすべて更新され、設備出力は1台あたり1万1,440キロワット、合計4万5,600キロワットになった。

カンバラタ水力発電所2は中ナルイン発電所群の一段で、1986年に着工したがソ連崩壊で中断し、2008年から共和国の自己資金で本格的な建設が再開された。設計出力は12万キロワットの水車発電機3台で36万キロワットだが、稼働しているのは2010年11月27日に運転を始めた1号機のみである。2号機の運転開始事業はユーラシア安定化開発基金(EFSD)の投資融資(2019年2月28日の協定)で進められており、この事業単独の財務諸表と監査報告も公表されている。

上流のカンバラタ水力発電所1は、2009年2月3日にモスクワで署名されたロシア・キルギス政府間協定(キルギス側は2009年2月10日の法律第44号で批准)に基づき、2009年5月7日に子会社の閉鎖型株式会社として設立された。授権資本は1億568万ソムである。

財務

2024年12月期の連結財務諸表(国際会計基準、監査人はリベルタス・グループ、2025年3月20日承認)によると、継続事業の収入は112億5,423万ソム(前期159億3,213万ソム)、売上原価は122億6,469万ソムで、10億1,046万ソムの売上総損失を計上した。財務費用117億322万ソムなどが重なり、税引前損失は179億3,906万ソム、法人所得税の便益15億2,117万ソムを差し引いた継続事業の当期損失は164億1,789万ソム、非継続事業の利益2億706万ソムを加えた当期損失合計は162億1,083万ソムだった。前期の損失合計は147億509万ソムである。

2024年12月31日時点の総資産は462億5,813万ソム、負債合計は229億4,705万ソム、自己資本は233億1,107万ソムである。前年末の自己資本は280億6,838万ソムのマイナスで、2024年に315億1,033万ソムの新株発行が行われて債務超過が解消された。累積損失は598億482万ソムに達しており、増資による資本の積み増しで維持されている構造である。

損失が続く理由は、規制された販売価格が発電と設備更新の費用を賄えないことにある。同社は自社サイトで「輸出能力を高め、会社を利益の出る生産体へ導くこと」を対外経済活動の優先課題に挙げており、カンバラタ水力発電所1の完成を含む新規建設によって大規模な電力輸出を将来の可能性として位置づけている。

読むときの注意

同社の発電量は水の量に左右される。トクトグル貯水池は灌漑と発電の両方に使われ、冬に発電のために放流すると春以降の農業用水が減るという構造的な緊張を抱えている。発電量が落ちる渇水年には、輸入や輪番停電の話題が必ず出る。年ごとの数字を比べるときは、設備の能力ではなく水文条件を見る必要がある。

また、2024年に熱電併給所と熱供給網が切り離されたため、2023年以前と2024年以降では売上高も従業員数も比較できない。同社の財務諸表でも、2023年の数値は「継続事業」と「非継続事業」に分けて示されている。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。