解説 · 2026年8月時点
ファイナンスクレジット銀行(ОАО «ФинансКредитБанк»、FCB)は、2005年に設立されたキルギスの商業銀行である。ビシケクの本店に加えて、カラコル、オシュ、ナリン、カラバルタ、ジャララバードに支店を持ち、地方に薄く広がる拠点配置をとる。従業員は224人(2026年6月末時点)で、規模としては中位から下位にあたる。
2026年上半期の純利益は前年同期比94.6%増で、キルギスの23行のうち伸び率2位となった。同じ時期に増資を重ねており、2026年8月17日の臨時株主総会では第9回追加発行の結果が承認され、授権資本は10億2,481万5,700ソムに改められた。
| 正式名 | ОАО «ФинансКредитБанк»(FinanceCreditBank OJSC、略称ФКБ/FCB) |
|---|---|
| 法人登記 | 2005年12月8日。直近の再登記は2025年6月25日 |
| 免許 | キルギス国立銀行の免許第047号(2022年8月10日付)。免許登録簿への記載は2005年12月30日 |
| 本店 | キルギス・ビシケク市アブドラフマノフ通り105 |
| 支店 | 5(カラコル、オシュ、ナリン、カラバルタ、ジャララバード) |
| 従業員 | 224人(2026年6月30日時点) |
| 主要株主 | ЗАО СК «А Плюс»が88.288%、タシテミル・ウール・エルキン氏が11.709%(2026年6月末時点) |
| 株主数 | 15(法人4社が88.289%、個人11人が11.71%) |
| 授権資本 | 10億2,481万5,700ソム(2026年8月17日の臨時株主総会の決議) |
| 純利益 | 2026年上半期は前年同期比94.6%増(Economist.kgの集計) |
| 上場 | キルギス証券取引所(KFB)のカテゴリーC。時価総額8億4,746万ソム(2026年8月21日時点) |
沿革と資本
同行は2005年12月8日に法人登記され、同月30日にキルギス国立銀行の免許登録簿に記載された。現行の免許第047号は2022年8月10日付で、国内通貨および外貨での銀行業務を行う権利を定めている。直近の法人再登記は2025年6月25日である。
上場目論見書によれば、2026年6月末時点の株主は15で、法人4社が資本の88.289%、個人11人が11.71%を保有する。5%を超える株主は、ЗАО СК «А Плюс»が88.288%(8億6,101万9,696株)、タシテミル・ウール・エルキン氏が11.709%(1億2,000万株)である。
増資は続いている。2026年5月21日の臨時株主総会では、額面1ソムの普通記名株式1億6,000万株を追加発行して授権資本を10億6,000万ソムへ引き上げる案が承認された。その時点の授権資本は9億480万ソムだった。2026年8月17日の臨時株主総会(議決権株式の88.28%を保有する株主が出席)では、第9回追加発行として額面1ソムの株式1億2,000万株、総額1億2,000万ソムの発行結果が承認され、定款上の授権資本は10億2,481万5,700ソムに改められた。
業務範囲
免許に列挙された業務は幅広い。預金の受入、自己名義での資金の運用、口座の開設と管理、顧客とコルレス銀行の依頼による決済と現金業務、小切手・信用状・手形などの支払書類とクレジットカード・決済カードの発行と取扱い、ファクタリング、フォーフェイティング、債務証券の発行と募集、銀行保証の供与、口座を開かない送金、非居住銀行のためのコルレス口座の開設と管理、外貨口座の業務と外貨の売買、デリバティブ取引が含まれる。
貴金属業務も認められている。国立銀行が発行する精錬済み計量地金を現金・非現金の双方で扱えるほか、他の発行体の精錬済み標準・計量地金についても、金属口座の管理、他行や法人・個人からの受入、他行の金属口座での運用、貴金属建ての銀行間与信、顧客勘定および自己勘定での売買、貴金属を用いたデリバティブ取引が認められている。対象は銀行用の銀、金、白金および高純度のこれらの貨幣に限られる。
このほか、自らの活動の成果ではない商品・役務について、第三者のために決済システムを通じて支払と決済を受け入れて実行する業務も免許の対象である。
財務と健全性
上場目論見書に示された健全性の指標では、流動性比率K3.1が期首106.0%から期末116.9%へ、資本の追加バッファー(資本バッファー指数)が23.5%から28.00%へ改善した。基準値はそれぞれ45%以上、18%以上である。外貨のロング・ショートの合計持高に関する違反日数は期首・期末ともにゼロだった。
経済専門紙エコノミストの集計によれば、2026年上半期の純利益は前年同期比94.6%増で、23行のうち伸び率2位である。ただし絶対額は2億ソム未満の階層に入る。同紙は「規模の異なる銀行が伸びを支えた。オプティマ銀行とバカイ銀行は利益額で上位だが、ファイナンスクレジット銀行とKSB商業銀行は低い基準から高い伸び率を示した」と注記している。
普通株はキルギス証券取引所のカテゴリーCに上場されている。2026年8月21日時点の直近約定価格は1.00ソム、上場証券数は8億4,746万1,282株、時価総額は8億4,746万ソムと表示されている。額面と同じ価格で計算された数字であり、企業価値の指標としては扱えない。
読み方の注意
同行の株主構成は集中している。ЗАО СК «А Плюс»という一社が資本の88.288%を保有し、残りを個人株主が分け合う形である。増資は繰り返されているが、株主の顔ぶれが大きく変わる動きは開示されていない。上場企業ではあるが、実際に市場で売買される株式はごく限られる。
2026年8月17日の臨時株主総会の決議は読み取りに注意がいる。第9回追加発行として1億2,000万株・総額1億2,000万ソムが発行された一方、定款上の授権資本は10億6,481万5,700ソムから10億2,481万5,700ソムへ改められた。追加発行と定款上の記載額の変更が同じ議案のなかで扱われており、授権資本の減額をそのまま損失と読むことはできない。決議の文書にはそうした説明は含まれていない。
また、キルギスの銀行の免許に列挙された業務は「行える業務の範囲」であって、実際にすべてを行っているという意味ではない。デリバティブや貴金属建ての銀行間与信までが免許に含まれるが、これらの取引の実績は公表されていない。
参考資料
- Листинговый проспект ОАО «ФинансКредитБанк»(開示期間2026年4月1日〜6月30日、作成日2026年7月20日。キルギス証券取引所) ↗
- «ФинансКредитБанк» изменил размер уставного капитала после допэмиссии — Economist.kg(2026年8月21日) ↗
- Рейтинг банков КР за I полугодие 2026 года: 74% прибыли — у пяти крупнейших — Economist.kg(2026年8月15日) ↗
- Список коммерческих банков Кыргызской Республики — キルギス国立銀行(2026年8月14日時点) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。