解説 · 2026年8月時点
ジョージア国営送電会社(GSE)は、ジョージアの送電網を保有・運用する国有の系統運用者である。全国3,550キロの送電線と93の変電所を持ち、給電指令もこの会社が行う。周辺4か国と連系線でつながっているため、コーカサスの電力融通の結節点でもあり、近年は黒海の海底ケーブルでEUの電力網と直結する構想の当事者として注目されている。
| 正式名 | JSC Georgian State Electrosystem(GSE) |
|---|---|
| 本社 | ジョージア・トビリシ |
| 株主 | パートナーシップ基金(ジョージア国有)。経営権は経済持続的発展省へ移管 |
| 事業 | 送電網の保有と運用、系統運用(TSO) |
| 送電線 | 3,550キロ、変電所93か所 |
| 運用体制 | 全国給電指令所が運用し、東部・西部・南部の3地域網が保守を担う |
| 国際連系 | ロシア、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと連系 |
| 主要案件 | 黒海海底送電線(ジョージア〜ルーマニア)。全長約1,155キロ、送電容量最大1,300MW |
役割
発電でも小売でもなく、電気を運ぶ設備の保有と系統の運用に特化した会社である。全国給電指令所が需給の均衡を管理し、東部・西部・南部の3つの地域網が設備の保守を担う。ロシア、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャンとの国境をまたぐ送電線も同社が管理しており、季節ごとに輸出入の向きが変わるジョージアの電力貿易は、この会社の設備の上で行われている。
株式は国有の投資基金パートナーシップ基金が保有し、経営権は経済持続的発展省へ移されている。国有企業でありながら、EUのエネルギー共同体の枠組みに沿った市場自由化のなかで、発電・送電・小売の分離を進める側にある。
黒海海底送電線
最も注目される案件が、ジョージアとルーマニアを黒海の海底で直接つなぐ高圧送電線である。アナクリアとコンスタンツァを結ぶ計画で、全長は約1,155キロ(うち海底が約1,115キロ、陸上が約40キロ)、送電容量は最大1,300MWとされる。実現すれば、南コーカサスとEUのあいだにロシアを通らない電力の回廊ができる。
事業化調査は完了しており、欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)の10か年系統整備計画(TYNDP)の2022年版・2024年版に収載された。2026年2月4日には、ルーマニアの系統運用者トランスエレクトリカとGSEが計画を進めるための覚書を交わしている。中央アジアの再生可能エネルギーを欧州へ運ぶ「グリーン・エネルギー回廊」構想とも接続する話であり、送電線の整備状況は域内のエネルギー地政学を測る指標になっている。
参考資料
- Who we are — Georgian State Electrosystem(公式サイト) ↗
- Black Sea Submarine Cable Project — Georgian State Electrosystem ↗
- Transelectrica-Georgian State Electrosystem MoU for Black Sea Submarine Cable — Energy Industry Review(2026年2月) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。