解説 · 2026年8月時点
ジオスティル(GeoSteel)は、ジョージア南東部の工業都市ルスタヴィで建設用鉄筋を製造する製鉄会社である。インドの大手鉄鋼メーカーJSWのオランダ子会社JSWスチール・ネザーランズBVと、ジョージアン・スチール・グループ・ホールディングの合弁として2007年に設立された。ジョージアへの外国直接投資としては産業分野で最大級の案件の一つであり、フォーブス・ジョージアの「100大企業」(2021年決算)では売上高3億5,161万ラリで第28位に入った。
同社は国内で発生する鉄スクラップを電気炉で溶かして鋼を作り、そのビレットを圧延して鉄筋にする。輸入に頼っていた鉄筋を国内で供給できるようにしたことが設立の眼目で、ソ連期以来の中断を経たジョージアの冶金産業を立て直す事業としても位置づけられている。
| 正式名 | LLC GeoSteel(შპს ჯეოსთილი) |
|---|---|
| 設立 | 2007年 |
| 本拠 | ジョージア・ルスタヴィ、ダヴィト・ガレジ通り36番 |
| 事業 | 建設用鉄筋(TMT異形棒鋼)と線材の製造、産業ガスの製造 |
| 主な設備 | 35トンの電気アーク炉、40トンの取鍋精錬炉、2ストランドのビレット連続鋳造機(130×130ミリ)、TMT棒鋼圧延機、酸素プラント |
| 売上高 | 3億5,161万ラリ(2021年通期。フォーブス・ジョージア「100大企業」第28位) |
| 所有 | JSWスチール・ネザーランズBV(インドのJSWの完全子会社)とジョージアン・スチール・グループ・ホールディングの合弁 |
設立の経緯
ジョージアの冶金の中心はルスタヴィである。ここには1948年に設立されたルスタヴィ冶金工場があり、南コーカサスで唯一の一貫製鉄所として鋼、継目無鋼管、鋳鉄製品を生産していたが、1999年に操業を停止した。都市の産業基盤が空洞化するなかで、2007年に外資との合弁として新たに立ち上げられたのがジオスティルである。
出資者はインドのJSWとジョージア側のジョージアン・スチール・グループ・ホールディングで、JSW側の持分はオランダに置いた中間持株会社を通じて保有されている。JSWは鉄鋼のほか鉱業、エネルギー、セメント、インフラ、建材、物流を手がけるインドの企業グループである。
設備と製品
製鉄所はルスタヴィ市内にあり、35トンの電気アーク炉(20MVA変圧器、偏心炉底出鋼)で鉄スクラップを溶解し、40トンの取鍋精錬炉(6.5MVA変圧器、連続アルゴン吹き込み)でリンと硫黄を除いて成分を整える。鋼は2ストランドの連続鋳造機で130×130ミリのビレットに鋳造され、ガス燃焼の再加熱炉と圧延機を経て鉄筋になる。
主力製品は直径8ミリから32ミリのTMT異形棒鋼で、圧延後の制御冷却(QST)によって表面を焼き入れ、内部の靭性を保ったまま強度を出す方式を採る。英国のUK-CARESとトルコのTSEの認証を取得している。このほか線材と、純度99.96%の酸素、99.997%のアルゴン、99.90%の窒素といった産業ガスを製造している。
環境対策としては、毎時56万立方メートルの処理能力を持つ全自動の集塵設備を備え、ろ過面積7,000平方メートル、排出濃度は毎立方ノルマルメートルあたり50ミリグラム未満だと説明している。電気炉製鉄は高炉法に比べて二酸化炭素の排出が少なく、スクラップを国内で循環させる点でも資源の面での利点がある。
市場
販売先はジョージア国内の建設需要が中心で、コーカサス地域全体での供給者となることを目標に掲げている。同社の鉄筋はクタイシの国会議事堂をはじめとする国内の主要な建設事業に使われてきた。ジョージアの鉄筋市場では、ソ連期の設備を引き継いだルスタヴィ・スチールなど複数の事業者が競合しており、いずれもスクラップを原料とする電炉での鉄筋生産という点で事業構造が共通している。
参考資料
- GeoSteel LLC(公式サイト) ↗
- GeoSteel — Enterprise Georgia partner profile ↗
- The 100 Largest Georgian Companies by Revenue — Forbes Georgia(2024年1月9日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。