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ギヤンル・ポリマー工場

ギヤンル・ポリマー工場は、トルクメニスタン西部バルカン州のカスピ海沿岸にあるガス化学コンプレックスである。天然ガスを原料にエチレンとプロピレンを製造し、そこからポリエチレンとポリプロピレンを生産する。2018年10月に稼働した同国最大級の産業投資で、事業費は34億ドルを超えた。天然ガスを液体燃料や化学品に転換して輸出構成を多様化するという、トルクメニスタンの長年の政策を象徴する事業である。

anlydaky polimer zawody
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

ギヤンル・ポリマー工場は、トルクメニスタン西部バルカン州のカスピ海沿岸にあるガス化学コンプレックスである。天然ガスを原料にエチレンとプロピレンを製造し、そこからポリエチレンとポリプロピレンを生産する。2018年10月に稼働した同国最大級の産業投資で、事業費は34億ドルを超えた。天然ガスを液体燃料や化学品に転換して輸出構成を多様化するという、トルクメニスタンの長年の政策を象徴する事業である。

設計上は年50億立方メートルの天然ガスを処理し、ポリエチレンを年38万6,000トン、ポリプロピレンを年8万1,000トン生産する。原料採取後に残る45億立方メートルは燃料用としてガスパイプライン網へ戻される設計になっている。ただし稼働後の実績は設計能力を大きく下回っており、2025年からは日本とトルコの企業連合による大規模改修が始まっている。

正式名Gyýanlydaky polimer zawody(Kiyanly Polymer Plant、ギヤンル・ガス化学コンプレックス)
所在地トルクメニスタン西部バルカン州トルクメンバシ地区ギヤンル(カスピ海沿岸)
稼働開始2018年10月17日
所管トルクメンヒミヤ国家コンツェルン
設計能力天然ガス処理年50億立方メートル、ポリエチレン年38万6,000トン(8品種)、ポリプロピレン年8万1,000トン(5品種)
主要設備ガス分離装置、ガスクラッキング装置、ポリエチレン製造装置、ポリプロピレン製造装置
建設LGインターナショナル(韓国)、現代エンジニアリング(韓国)、東洋エンジニアリング(日本)の共同企業体。2013年9月にトルクメンガスと契約
事業費34億ドル超
生産実績ポリエチレン5万6,985トン、ポリプロピレン1万2,250トン(2022年1〜7月)
財務売上高・利益・従業員数は公表されていない

建設の経緯

2013年9月、トルクメンガス国家コンツェルンが、韓国のLGインターナショナルと現代エンジニアリング、日本の東洋エンジニアリングとの間で、ポリエチレンとポリプロピレンを生産するガス化学コンプレックスの建設契約を結んだ。総事業費は34億ドルを超え、トルクメニスタンが外国企業に発注した産業案件としては最大級のものになった。

建設地はバルカン州トルクメンバシ地区のギヤンル(キヤンル)で、カスピ海に面する。原料となる天然ガスは幹線パイプラインから引き込まれる。工場は2018年10月17日に稼働した。現在は化学部門を所管するトルクメンヒミヤ国家コンツェルンの傘下に置かれている。

工程

コンプレックスは互いに接続された四つの主要装置からなる。ガス分離装置は幹線パイプラインから来る天然ガスを機械的な不純物から精製し、乾燥させたうえでフラクションに分離する。ここで得られるエタン、プロパン、ブタン、ペンタンといった重質フラクションが原料としてクラッキング装置へ送られる。

ガスクラッキング装置では、これらの重質炭化水素を分解炉で850度を超える高温にかけ、炭化水素化合物を分解する。ここで得られるエチレン、プロピレン、水素がポリエチレン装置とポリプロピレン装置へ送られる。両装置では重合反応器の中で専用触媒を使ってエチレンをポリエチレンに、プロピレンをポリプロピレンの粉体に変え、押出工程で高温の蒸気と油によって加熱して粒状(ペレット)に成形する。

本体装置のほかに、海水の取水・淡水化・浄化設備、蒸気発生設備、窒素・清浄空気の製造設備、自家発電設備、排水処理設備が併設されている。カスピ海の海水を工業用水源として使う点は、乾燥地に立地するこの工場の特徴である。

生産と輸出

2022年1〜7月の実績は、ポリエチレン5万6,985トン、ポリプロピレン1万2,250トンだった。単純に年換算しても設計能力には遠く及ばない水準である。製品はロシア、韓国、カザフスタン、スイス、マーシャル諸島、中国、ウズベキスタン、アフガニスタンへ出荷されていると発表されている。

製品は袋詰めされ、鉄道、道路、海路を通じて出荷される。カスピ海に面する立地から、トルクメンバシ港経由の海上輸送も使える。

2025年以降の大規模改修

2025年9月1日、東洋エンジニアリングは、トルコのルネサンス・ホールディング傘下の建設会社ルネサンス・エンデュストリ・テシスレリ(RET)との共同企業体として、トルクメンヒミヤからこのコンプレックスの大規模改修の第1フェーズを受注したと発表した。東洋エンジニアリングがガス分離設備、エチレン製造設備、ポリプロピレン製造設備を、RETが高密度ポリエチレン製造設備とユーティリティ設備を担当し、詳細計画、設計、機器資材の一部調達を行う。完了予定は2028年である。

同社の発表では、この改修の目的は「生産を確実に立ち上げる」ことにあるとされている。稼働から7年を経た工場について、受注者自身がこの表現を使っていることは、設備が設計どおりに動いていない期間があったことを示している。

2025年12月19日には、東京で開かれた「中央アジア+日本」ビジネスフォーラムに合わせて、東洋エンジニアリング、RET、トルクメンヒミヤの三者が第2フェーズに関する覚書を結んだ。署名はトルクメニスタン大統領と日本の経済界の会合の場で行われ、翌20日には高市早苗首相とセルダル・ベルディムハメドフ大統領らの前で紹介された。第2フェーズは、ポリマー生産の確実な立ち上げに向けた作業を含むとされている。

この一連の受注は、2024年8月に東洋エンジニアリングとトルクメンヒミヤが結んだ、将来のガス関連投資案件での協力に関する協定を出発点としている。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

ギヤンル・ポリマー工場とは | Caspian Intelligence