解説 · 2026年8月時点
インターナショナル・マシス・タバク(International Masis Tabak、IMT)は、アルメニアのたばこ製造会社である。グランド・ホールディング傘下のたばこ事業群のうち、紙巻たばこの製造と輸出を担う中核会社にあたる。2025年には259億4,000万ドラムを納め、同国で8番目に大きい納税者だった。
アルメニアにとってたばこは、鉱産物と並ぶ主要な輸出品である。IMTと同じ企業群のグランド・タバコは2025年に661億ドラムを納めて国内2位の納税者であり、この二社だけで国庫収入の相当部分を占める。日本ではほとんど知られていないが、同国の経済統計を読むうえでは避けて通れない企業である。
| 正式名 | International Masis Tabak LLC(IMT) |
|---|---|
| 所在 | アルメニア・エレバン(フラント・ヴァルダニャン通り22) |
| 事業 | 紙巻たばこ、葉巻、水たばこ(シーシャ)の製造 |
| 製品 | 国内向け90銘柄、輸出向け200種類超(自社公表) |
| 所属 | グランド・ホールディング(ヴァルダニャン家)。グランド・タバコ、マシス・タバコと同じ企業群 |
| 納税額 | 259億4,000万ドラム(2025年、アルメニアの納税者8位) |
| グループ規模 | グランド・タバコ、IMT、マシス・タバコの3社合計で従業員3,600人、生産拠点12か所(自社公表) |
企業群の成り立ち
アルメニアのたばこ産業は、1924年に消費組合ハイコープを母体として設立されたエレバンたばこ工場に始まる。1948年からフィルター付き・なしの紙巻たばこの生産が始まり、1960年代半ばにはソ連で初めてアセテートフィルターの製造がここで組織された。
現在の企業群を築いたのは、1974年からソ連のアルメニアたばこ公社(アルムタバクプロム)で働いていたフラント・ヴァルダニャン氏である。ソ連崩壊による混乱の中で、同氏はアルメニアの葉たばこ栽培と紙巻たばこ生産を存続させ、グランド・タバコを興した。同氏の死後もヴァルダニャン家が事業を引き継ぎ、グランド・ホールディングの下でグランド・タバコ(GT)、インターナショナル・マシス・タバク(IMT)、マシス・タバコ(MT)の3社を運営している。
3社の役割は分かれている。2000年設立のマシス・タバコが国内での葉たばこ栽培を担い、500人を超える契約農家からの葉を集めてGTとIMTに供給する。GTとIMTが紙巻たばこを製造し、IMTが葉巻と水たばこも手がける。自社の説明では、3社合計で一次加工4拠点、二次加工4拠点、フィルター製造1拠点、葉巻1拠点、シーシャ1拠点、葉の除骨ライン1本を持ち、従業員は3,600人にのぼる。
IMTの製品と輸出
IMTは国内市場向けに90銘柄、輸出向けに200種類を超える紙巻たばこを持つ。2010年に葉巻の製造を始め、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコから輸入した葉を色・強さ・組織・大きさ・弾力で選別し、手巻きの長葉巻を作っている。2016年には水たばこの製造を始め、Alkasarブランドで28種類、Dark Line Diamantで15種類の香りを揃える。
アルメニアのたばこ輸出は、国内消費をはるかに超える規模で行われている。ヴァルダニャン家の企業群は、完成品の輸出額と従業員数で国内最大の持株会社の一つと位置づけられる。輸出先の内訳や生産数量は公表されていない。
参考資料
- Grand Tobacco — International Masis Tabak(公式) ↗
- Grand Tobacco — About Us(公式) ↗
- Armenia's 1,000 largest taxpayers paid 1.95 trillion drams to the state budget in 2025 — ARKA(2026年1月26日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。