ORGANIZATION · COMPANY

カインドゥ・カント

カインドゥ・カント(ОАО «Каинды-Кант»)は、キルギス北部チュイ州カインドゥ市にある製糖工場である。テンサイ(砂糖大根)と輸入の粗糖の両方を原料に上白糖を作り、副産物として糖蜜、ビートパルプ、ライムケーキ(デフェカート)、消石灰を売る。キルギスに残る数少ない大型製糖所の一つで、同じチュイ州のコショイ工場と並んで国内の砂糖供給を担う。

Kaindy-Kant
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

カインドゥ・カント(ОАО «Каинды-Кант»)は、キルギス北部チュイ州カインドゥ市にある製糖工場である。テンサイ(砂糖大根)と輸入の粗糖の両方を原料に上白糖を作り、副産物として糖蜜、ビートパルプ、ライムケーキ(デフェカート)、消石灰を売る。キルギスに残る数少ない大型製糖所の一つで、同じチュイ州のコショイ工場と並んで国内の砂糖供給を担う。

キルギスのテンサイ栽培はソ連期に盛んで、ヘクタールあたり97トンという世界記録が打ち立てられた土地でもある。独立後に一度落ち込んだが、近年は作付けが戻りつつある。同社は農家との契約栽培を組織し、専用の買い取り窓口とオンラインの取引所(agrosooda.kg)を通じて集荷する体制をとっている。

正式名ОАО «Каинды-Кант»(Kaindy-Kant OJSC)
法人登記1995年12月8日。直近の再登記は2003年12月25日
所在地キルギス・チュイ州パンフィロフ地区カインドゥ市ミール通り1
事業テンサイと粗糖の精製。上白糖のほか糖蜜(メラス)、ビートパルプ、ライムケーキ、消石灰を販売
子会社ОсОО «Каинды-Кант Агро»(出資比率100%、耕種と畜産)
株主構成法人4社が96.95%、個人623人が3.05%。5%超の保有者はОсОО «Агро Холдинг Групп»(2026年3月末時点)
従業員348人(2026年3月末時点)
上場キルギス証券取引所(KFB)のカテゴリーBに社債5万口を上場
財務売上高・利益は公表されていない

会社の概要

同社は1995年12月8日に統計単位として登記され、2003年12月25日に再登記された。所在地はチュイ州パンフィロフ地区カインドゥ市ミール通り1で、工場と本社が同じ場所にある。営業と管理の窓口はビシケク市チンギズ・アイトマトフ通り243に置かれている。

上場目論見書によれば、2026年3月末時点の従業員は348人、株主は627人で、内訳は法人4社が資本の96.95%、個人623人が3.05%である。国の保有はない。5%を超えて保有する株主はОсОО «Агро Холдинг Групп»(114万6,542株)のみが記載されている。

100%出資の子会社ОсОО «Каинды-Кант Агро»を持ち、業種は畜産を組み合わせた耕種農業とされている。原料であるテンサイの安定確保を、契約栽培だけでなく自社農場でも図る構えである。

製品

主力は結晶上白糖で、テンサイまたは粗糖から作られる。同社の説明では、香料を加えずに結晶化させたショ糖であり、原料はテンサイと粗糖の双方を用いる。

副産物の販売も事業の一部を成す。糖蜜(メラス)はテンサイから砂糖を取り出した後に残る濃縮シロップで、ショ糖分は46%以上とされる。ビートパルプは糖分を抜いた細片で、500キロのロールに圧縮したもの、ばら積みのもの、45キロ包装のものの3形態で売られる。ライムケーキは生石灰でテンサイ汁を清浄する工程で生じる石灰質の肥料で、農地の石灰改良材として使われる。消石灰は500キロまでは小売、それを超える量は契約と電子送り状の登録を条件に販売される。

副産物は畜産の飼料や土壌改良材として周辺農業に還る。製糖と農業が同じ地域で完結する構造が、この工場が地域経済で持つ意味を大きくしている。

資金調達

同社はキルギス証券取引所のカテゴリーBに社債を上場している。額面1,000ソム、発行口数5万口で、第1回発行分の年利は18%(1口あたり年180ソム)である。利払いは四半期ごとに区切られ、2024年12月16日を起点とする各期間について支払いが行われてきた。第2回発行分は米ドル建てで、2026年3月22日から利払期間が始まっている。

社債の保有者では、ЗАО «Фондовая биржа Кыргызстана - БТС»が12.97%(6,485口)、個人の大口保有者が20.40%(1万200口)、19.00%(9,500口)などと開示されている。銀行融資に加えて社債で運転資金を賄う形は、キルギスの実業企業としては珍しい部類に入る。

普通株に対する配当は、2023年度が1株あたり121.6774ソム、2024年度が16.2273ソム、2025年度が37.1825ソムと開示されている。年による振れが大きい。

経営体制と関連会社

取締役会の構成員には、マーケティング会社や広告代理店の経営者、ロシア・キルギス開発基金の関係者が名を連ねる。内部監査人はОсОО «УК «Шугар.Кейджи»(管理会社シュガー・ケイジー)を本務先としており、同社が工場群の運営管理を担っていることがうかがえる。カインドゥのウェブサイトもこの管理会社が運営している。

同じ運営体制のもとには、カインドゥ・カント工場のほかにコショイ工場がある。2024年産のテンサイについては、作付面積が1,000ヘクタール増えて1万5,000ヘクタールとなり、両工場合わせて6万2,000トンを超える砂糖を生産したと同社サイトが伝えている。

2025年9月30日の臨時株主総会では、同社の貸借対照表に載っていた文化会館と保育園をカインドゥ市の自治体所有へ移管することが議題となった。ソ連期の企業が抱えてきた社会施設を切り離す作業が、2020年代に入っても続いていることを示している。

数字の読み方

同社の売上高、利益、生産量は体系的には公表されていない。上場しているのは社債であって株式ではないため、株価に基づく企業価値の指標もない。公表資料から確認できるのは、従業員数、株主構成、配当額、社債の条件、そして断片的な生産の話題に限られる。

キルギスの砂糖生産は年による作柄の振れが大きく、輸入粗糖の価格にも左右される。同社の業績を追うには、国家統計委員会が公表する砂糖の生産量と、テンサイの作付・収穫の統計を併せて見る必要がある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

カインドゥ・カントとは | Caspian Intelligence