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カズツィンク

多金属鉱の採掘と選鉱、亜鉛・鉛・銅の製錬、金・銀の精製。副産物として硫酸、カドミウム、セレン、ビスマス、水銀、アンチモン精鉱、硫酸亜鉛を産出する

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解説 · 2026年9月時点

カズツィンク(ТОО «Казцинк»)は、カザフスタン東部を拠点とする非鉄金属の大手である。鉱石の採掘から選鉱、製錬、地金の精製までを一つの流れでつないだ統合型の亜鉛生産者で、亜鉛に付随して銅、鉛、金、銀を大量に産出する。操業は東カザフスタン州、アクモラ州、ウルタウ州の三つの州にまたがり、中核はウスチカメノゴルスクに五つの工場を並べた製錬拠点である。

同社は上場しておらず、株式の大半をスイスの資源商社グレンコアが握る。グレンコアは2025年の年次報告書で、カズツィンクを持分69.7%の連結子会社として扱っている。残りの大半は国側にあり、国営鉱業会社タウケン・サムルクが保有する。カザフスタンの亜鉛と鉛の生産はほぼこの1社に集まっており、同国でLBMAのグッド・デリバリーの資格を持つ金の精錬所二つのうちの一つも同社が持つ。

タウケン・サムルクの財務を読むうえで、この会社は避けて通れない。タウケン・サムルク自身の売上のほとんどは金の精錬という薄い利ざやの商売から出ており、利益の押し上げ要因として同社が挙げているのは持分法適用会社からの持分利益の増加である。その持分法投資の最大のものがカズツィンクである。

正式名ТОО «Казцинк»(英文表記は Kazzinc Ltd/Kazzinc LLP)。事業者識別番号(BIN)970140000211
設立1997年
本社070002 カザフスタン・東カザフスタン州ウスチカメノゴルスク市プロムィシュレンナヤ通り1
事業多金属鉱の採掘と選鉱、亜鉛・鉛・銅の製錬、金・銀の精製。副産物として硫酸、カドミウム、セレン、ビスマス、水銀、アンチモン精鉱、硫酸亜鉛を産出する
操業地域東カザフスタン州(ウスチカメノゴルスク、リッデル、アルタイ、セレブリャンスク)、アクモラ州(コクシェタウ)、ウルタウ州(ジャイレム)
株主グレンコアが69.7%、非支配持分が30.3%(いずれも2025年12月31日時点、グレンコア2025年年次報告書。同社はLBMA向けの報告で「間接に69.7%保有する」と記す)。タウケン・サムルクはカズツィンクの29.82%と、持株会社カズツィンク・ホールディングスの29.97%を保有すると記載している(同社2025年年次報告書)
最高経営責任者ジャナト・デュセノヴィチ・ジャンボティン氏(露語の役職名は Генеральный директор、英語版サイトの表記は Chief Executive Officer。2026年9月時点)
取締役会公式サイトが構成を公表しているのは持株会社カズツィンク・ホールディングスの取締役会で、6人。議長はグレンコアのニッケル・亜鉛部門の財務責任者ギャヴィン・ヒール氏で、ほかにグレンコアから2人、カズツィンクの最高経営責任者、タウケン・サムルク経営会議議長、サムルク・カズナの担当役員が入る(2026年9月時点)
売上高51億700万ドル(2025年通期。2024年は41億9,900万ドル)
調整後EBITDA16億4,200万ドル(2025年通期、鉱業マージン32%。2024年は11億8,500万ドル、同28%)
当期純利益7億7,400万ドル(2025年通期、持分100%ベース)。うちグレンコア帰属5億4,000万ドル、非支配持分帰属2億3,400万ドル
総資産44億3,000万ドル(2025年12月31日時点、持分100%ベース)。負債は7億3,400万ドル、純資産は36億9,600万ドル
設備投資5億2,200万ドル(2025年通期。2024年は2億7,000万ドル)。増加分の多くはブフタルマ水力発電所の賃借契約更新に伴う2億4,900万ドルの非現金のリース資産計上による
生産(製錬所、第三者原料を含む)亜鉛25万1,800トン、鉛7万6,700トン、銅5万4,400トン、金94万7,000トロイオンス、銀987万8,000トロイオンス(2025年通期)
生産(自社鉱山由来)亜鉛21万2,500トン、鉛3万5,900トン、銅1万6,800トン、金54万3,000トロイオンス、銀341万6,000トロイオンス(このほか精鉱中の銀24万1,000トロイオンス)。いずれも2025年通期
鉱量多金属の鉱石埋蔵量4,760万トン(亜鉛3.30%、鉛0.92%、銅0.17%、銀20グラム/トン、金0.55グラム/トン)、金鉱床ワシリコフスコエの鉱石埋蔵量4,960万トン(金1.6グラム/トン)。いずれもグレンコアが2026年1月29日に公表した2025年12月31日時点の資源・埋蔵量報告による
認証ロンドン地金市場協会(LBMA)のグッド・デリバリー現行リストに、金は1996年6月20日、銀は1995年3月14日から登録(ブランド「Deer」)。ロンドン金属取引所(LME)の鉛ブランド「YK」は2002年から(2024年を対象とする同社のサプライチェーン報告による)

沿革と株主構成の変遷

同社は1997年に設立された。会社は公式サイトで「1997年に設立され、ゼネラル・インベスターはグレンコア・インターナショナルである」と説明している。設立以前からの連続性は、LBMAのグッド・デリバリー登録の履歴に残っている。ウスチカメノゴルスクの精錬所の登録は銀が1995年3月14日、金が1996年6月20日に始まり、名義は「ウスチカメノゴルスク鉛亜鉛コンビナート」(1997年4月24日に旧リストへ移管)から「カズツィンク株式会社」(2002年12月31日に移管)を経て、現在のカズツィンクに引き継がれている。なお現行リストの掲載は金・銀とも2026年9月1日付で、同じ欄の注記には2026年8月31日に旧リストへ移したとの行も並ぶ。

グレンコアの持分は段階的に増えた。2011年4月14日、グレンコアはカザフスタンの投資会社ヴェルニー・キャピタルから最大48.73%を取得する二つの株式売買契約を条件付きで結んだと発表した。しかし2012年9月25日、その契約を解除して単一の新契約に置き換え、取得する持分を18.91%に絞ったと公表した。この時点でのグレンコアの持分は50.7%だった。取引は2012年10月11日に完了し、対価はグレンコアの新株1億7,674万2,520株と現金4億ドルだった。グレンコアはこの取引によりカズツィンクへの持分が69.61%になったと発表している。

国側の持分はその翌年に動いた。2013年8月28日、国家ファンドのサムルク・カズナが保有していたカズツィンクの29.82%が、国営鉱業会社タウケン・サムルクの資本金へ現物出資の形で移された。タウケン・サムルクは以後この持分を保有し続けており、2025年の年次報告書でも「2013年からカズツィンクの29.82%の持分を保有し、グレンコア・インターナショナルと共同でカズツィンク・グループの戦略的な管理を行う。持分の管理は受託会社カズツィンク・ホールディングスを通じて行う」と記している。

ウスチカメノゴルスクの製錬拠点

同社の心臓部はウスチカメノゴルスクの一区画にある。亜鉛工場、鉛工場、銅工場、貴金属工場、硫酸工場の五つが同じ敷地に並び、共通の基盤設備を使う。工場を一か所に集めることで、一つの工程の中間物や副生ガスを隣の工程の原料として使い回し、原料からできるだけ多くの成分を回収する構成になっている、と会社は説明している。

鉛工場は2012年に改修され、豪州発祥のISASMELT法を導入した。溶解設備を密閉して少量の高濃度ガスを出す方式で、硫黄分を硫酸として回収しやすくなる。同じ2012年には銅工場向けの新しい硫酸設備が加わり、カナダのSNCラバリンの設計で、二重接触・二重吸収法が使われている(会社はこの技術をベルギーのメックス社が開発したものと説明している)。会社が公開した2024年対象のサプライチェーン報告では、鉛の年産能力はおよそ15万トンとされている。

銅工場は2011年に稼働した同社で最も新しい工場で、能力は年7万トンである。建設には4年かかり、カザフスタンの70社と世界10か国の外国企業から5,000人を超える技術者が設計・建設・据え付け・立ち上げに関わったと会社は記している。製品は最高級の電気銅の板である。

貴金属工場は金と銀の地金を作る。純度はいずれも99.99%で、能力は金が年52トンまで、銀が年990トンまでとされる。ここで作られる地金はLBMAのグッド・デリバリー現行リストに「Deer」(鹿)のブランドで載っており、2026年9月時点でも金・銀の両方が現行リストに残っている。同じリストでカザフスタンに所在する精錬所は、金がこの工場とアスタナのタウケン・アルティンの二つ、銀がこの工場とバルハシのカザフムス・スメルティングの二つで、顔ぶれが金属によって違う。

鉱山と選鉱

原料となる鉱石は自社の鉱山から来る。東カザフスタン州のアルタイ市の東18キロメートルにあるマレエフ鉱山は同社最大の地下鉱山で、2000年6月に建設を終えた。会社が公表する品位は亜鉛7.5%、銅2.3%、鉛1.3%、金0.75グラム/トン、銀75グラム/トンである。リッデル市の周辺にはチシン鉱山、リッデル・ソコリヌイ鉱山、ドリンヌイ鉱山があり、ドリンヌイは2015年に建設が始まり2017年2月に最初の随伴鉱を、2018年に最初の工業鉱を産出した新しい鉱山である。これら東カザフスタン州の鉱石は、リッデルとアルタイの二つの選鉱工場で精鉱にされる。会社は鉛について、鉱石を三つの選鉱工場で処理すると書いており、ジャイレムを含めた数え方をしている箇所もある。

ウルタウ州のジャイレム鉱山・選鉱コンビナートは、亜鉛・鉛、重晶石多金属、鉄マンガンの鉱石を持つカザフスタンでも大きな多金属鉱床の一つである。2017年に年500万トンの鉱石処理を見込む選鉱工場と関連設備の建設が始まった。グレンコアの2025年通期の生産報告は、ジャイレムで採掘が掘り尽くされたザパドヌイ採掘場から新しいダルネザパドヌイ採掘場へ移り、その移行期の鉱石の品位と回収率が下がったことが、2025年の自社鉱山由来の亜鉛と鉛の減少の主な理由だと説明している。

セレブリャンスク市の上流5キロメートル、イルティシ川にあるブフタルマ水力発電所は、長期の使用許諾(コンセッション)にもとづいて同社の一部になっている。2025年にこの長期賃借契約が更新され、グレンコアはこれに伴い2億4,900万ドルを非現金のリース資産として計上した。あわせて同社はカザフスタンの国際再生可能エネルギー証書(I-REC)の発行機関であるECOJERに同発電所を登録し、各事業所が使う電力について証書を取得・償却している。

ワシリコフスコエ金鉱とアルティンタウ・コクシェタウ

金の柱はアクモラ州にある。コクシェタウ市の北17キロメートル、ゼレンダ地区に位置するアルティンタウ・コクシェタウが運営する金鉱床で、採掘は露天掘りである。グレンコアはこの資産を、資源・埋蔵量表では「カズツィンク・ゴールド(ワシリコフスキー)」、生産報告では「ワシリコフスキー露天鉱山」または「アルティンタウ・コクシェタウ(ATK)金鉱山」と呼び分けており、いずれも同じ鉱山を指している。会社自身は「カザフスタン最大の金生産企業」と表現し、平均すると年15トンまでの金を産出すると記している。

選鉱工場は2009年に稼働した。ヒ素を多く含んで処理が難しい金鉱石を、第一種の危険廃棄物を出さずに処理する複合技術を同社の技術者が世界で初めて開発・導入したと会社は説明しており、鉱石は4マイクロメートルまで細かく粉砕される。ここでできたドーレ合金(金と銀を主とする粗地金)は、ウスチカメノゴルスクの貴金属工場に送られて精製される。

2025年の自社鉱山由来の金は54万3,000トロイオンスで、前年より6万オンス(10%)少ない。グレンコアはその理由を、ワシリコフスキーの露天採掘が深くなるにつれて想定どおり鉱石の品位が下がったためと説明している。2026年上期はさらに14万9,000トロイオンスと前年同期比47%減で、こちらは鉱山が次の開発段階に移る過程で品位が下がったことに加え、二つある選鉱ミルのうち1基を改修したためだとしている。

2025年の生産と2026年上期

同社の生産は二通りの数え方で公表される。一つは自社の鉱山から出た鉱石に由来する分、もう一つは第三者から買った精鉱などを含む製錬所全体の産出である。2025年通期の製錬所の産出は、亜鉛25万1,800トン、鉛7万6,700トン、銅5万4,400トン、金94万7,000トロイオンス、銀987万8,000トロイオンスだった。このうち自社鉱山由来は亜鉛21万2,500トン、鉛3万5,900トン、銅1万6,800トン、金54万3,000トロイオンスである。自社鉱山由来の銀は地金が341万6,000トロイオンス、これとは別に精鉱の中の銀が24万1,000トロイオンスと、二つの行に分けて公表されている。

2025年は多くの品目で前年を下回った。製錬所の産出で見ると亜鉛は6%減、鉛は31%減、金は5%減、銀は19%減で、増えたのは銅の16%増だけだった。自社鉱山由来では亜鉛が1万5,000トン(7%)減、鉛が6,000トン(14%)減、銅が600トン(3%)減、金が6万オンス(10%)減である。

2026年上期の製錬所の産出は亜鉛10万7,400トン(前年同期比12%減)、鉛4万2,800トン(同9%増)、銅2万4,500トン(同4%増)、金31万1,000トロイオンス(同36%減)、銀419万2,000トロイオンス(同19%減)だった。自社鉱山由来の亜鉛は8万7,600トンで、こちらも前年同期比12%減である。グレンコアはこの自社鉱山由来の減少について、配合に使う質の高い第三者精鉱が十分に手に入らず、その結果として自社原料を処理する製錬所の速度も抑えられたためと説明している。なお2026年5月にはウスチカメノゴルスクの亜鉛の集塵設備で事故が起きたが、グレンコアは同社グループ全体の亜鉛の生産見通しがこれによって大きく影響を受けることはなかったとしている(カズツィンク単独の見通しには触れていない)。

財務

同社は公式サイトで財務諸表を公表していない。数字が公になるのは、グレンコアが事業区分別の開示と、重要な非支配持分を持つ子会社の注記で、持分100%ベースの数値を載せるからである。

2025年通期の売上高は51億700万ドルで、前年は41億9,900万ドルだった。調整後EBITDAは16億4,200万ドル(前年11億8,500万ドル)、調整後EBITは9億7,600万ドル(同4億6,000万ドル)である。グレンコアはグループ全体の解説の中で、2025年に金属・鉱物部門の利益が増えた主な寄与先の筆頭にカズツィンクを挙げ、その増加幅を約5億ドル、要因を金価格の上昇としている。同じ解説で並ぶアフリカの銅事業は約4億ドル、アンタミナと豪州の亜鉛事業は各約3億ドルの増加である。なお同じ報告書は、2025年の金の平均価格を1オンス3,445ドル、前年を2,390ドルとし、その上昇率を44%としている。これは市況を示す表の値であって、カズツィンクの説明に直接付いている数字ではない。

注記で開示される持分100%ベースの数字は次のとおりである。2025年12月31日時点の総資産は44億3,000万ドル、負債は7億3,400万ドル、純資産は36億9,600万ドル。2025年の当期純利益は7億7,400万ドルで、うちグレンコア帰属が5億4,000万ドル、非支配持分帰属が2億3,400万ドルだった。非支配持分に支払われた配当は2億4,200万ドルである。営業活動によるキャッシュフローは13億3,200万ドルの流入、投資活動は2億6,800万ドルの流出、財務活動は9億8,100万ドルの流出だった。

設備投資は2025年に5億2,200万ドルと、前年の2億7,000万ドルからほぼ倍増している。ただしこの増加分の多くは、ブフタルマ水力発電所の賃借契約更新に伴う2億4,900万ドルの非現金のリース資産計上によるもので、その分だけ現金の支出ではない。

株主構成と意思決定

株主構成は二層になっている。グレンコアは2025年の年次報告書で、カズツィンクとその子会社である株式会社アルティンタウ・コクシェタウ、株式会社ジャイレム鉱山選鉱コンビナートについて、いずれも持分を69.7%(2024年も同じ)と記載し、LBMA向けのサプライチェーン報告では「グレンコアはカズツィンクを間接に69.7%保有する」と明記している。間にあるのが持株会社カズツィンク・ホールディングスである。

タウケン・サムルクは2025年の年次報告書の資産構成図で、カズツィンクを29.82%、カズツィンク・ホールディングスを29.97%として別々に掲げている。同社は主要な経営事項をグレンコア・インターナショナルと共同で決めると説明している。カズツィンクの意思決定の仕組みのうち、公式サイトが構成を公表しているのは持株会社カズツィンク・ホールディングスの取締役会である(カズツィンク自身にも取締役会があり、持株会社の取締役会議長がその議長も務めると公式サイトは記している)。この6人のうち、タウケン・サムルクの経営会議議長とサムルク・カズナの担当役員が各1人を占める。残る4人はグレンコアのニッケル・亜鉛部門から3人と、カズツィンクの最高経営責任者である。

グレンコアの財務諸表では、カズツィンクの非支配持分の比率は2025年12月31日時点で30.3%と記されている。

カザフスタンの中での位置

カザフスタン国家統計局が2026年7月3日に公表した2025年通期の実物単位の生産統計では、同国の未加工亜鉛の生産は25万9,638トン(前年比93.4%)、未加工の精製鉛は7万8,672トン(同70.4%)だった。同じ2025年のカズツィンクの製錬所の産出は亜鉛25万1,800トン、鉛7万6,700トンである。統計の品目分類と企業の集計はそのまま重なるものではないが、この国の亜鉛と精製鉛のほとんどがこの1社から出ていることは読み取れる。カズツィンク自身も公式サイトで「カザフスタン最大の亜鉛生産者」「鉛の生産で国内の主導的な位置を占める」と述べている。

金は事情が異なる。同じ統計で2025年の精製金は7万1,237キログラム、精製銀は62万5,258キログラムである。LBMAのグッド・デリバリー現行リストでカザフスタンに所在する金の精錬所は、ウスチカメノゴルスクのカズツィンクの貴金属工場とアスタナのタウケン・アルティンの二つである(2026年9月時点)。ただし両社が各自公表する金の量を単純に足すと統計の値を上回るので、二つを足して国内シェアを出すことはできない(後述)。

数字の読み方

同社の生産量は、必ず「自社鉱山由来」か「第三者原料を含む製錬所の産出」かを確かめてから使う必要がある。2025年の金は、前者が54万3,000トロイオンス、後者が94万7,000トロイオンスで、1.7倍の開きがある。会社の公式サイトに載る生産量の推移も、系列名に「自社鉱山由来」と付くのは金と銀だけで、品目によって基準が違う。

精錬量は同社が所有する金属の量ではない。製錬所は他社から精鉱や原料を買い、あるいは預かって処理するので、産出量には自社の鉱山と無関係な分が含まれる。国の統計の精製金と、カズツィンクおよびタウケン・アルティンがそれぞれ公表する金の量は足し合わせられない。統計局も両社も、集計の範囲や委託加工分の扱いをどう揃えているかを示していないので、差の理由までは公表資料からは分からない。

持分の数字も一つに定まらない。グレンコアは「間接に69.7%」、非支配持分は30.3%と開示し、タウケン・サムルクはカズツィンク29.82%とカズツィンク・ホールディングス29.97%を別々に記している。グレンコアが2012年に完了を発表した取引の時点の数字は69.61%だった。どれも発表主体自身の公表値だが、対象の法人と基準日が違うので、二つを足して100%になるとは限らない。持分を引用するときは、どの法人の、いつ時点の、誰の開示かを添えるのが安全である。

財務も、同社単独の監査済み決算が公表されているわけではない点に注意が要る。上に挙げた売上高や利益は、グレンコアが自社の報告の枠組みで作った区分別の数値と、持分100%ベースの注記であり、カザフスタンの会計基準にもとづく同社の法定決算とは必ずしも一致しない。設備投資のように、非現金の項目が年ごとの振れを大きくすることもある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。