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クルム銀行

クルム銀行(ОАО «Кылым Банк»)は、キルギス政府が2025年1月に設立した国有100%の銀行である。「クルム」はキルギス語で「世紀」を意味する。2026年5月13日にキルギス国立銀行の理事会が銀行免許(第057号)の交付を決定し、同年8月時点で支店を持たずに営業を始めている。

Kylym Bank
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

クルム銀行(ОАО «Кылым Банк»)は、キルギス政府が2025年1月に設立した国有100%の銀行である。「クルム」はキルギス語で「世紀」を意味する。2026年5月13日にキルギス国立銀行の理事会が銀行免許(第057号)の交付を決定し、同年8月時点で支店を持たずに営業を始めている。

同行の役割は一般的な商業銀行とは異なる。設立時の説明では、金融市場の育成、有価証券業務、投資商品、新規株式公開(IPO)、金融機能を備えたITシステムの構築に重点を置くとされた。2026年8月には大統領令により、株主の権限が財務省から大統領府管理局へ移された。

正式名ОАО «Кылым Банк»(Kylym Bank OJSC)
設立2025年1月、閣僚会議の決定により国有100%の銀行として設立
免許キルギス国立銀行の免許第057号。理事会の決定は2026年5月13日
本店キルギス・ビシケク市トゥルスベコフ通り31および47
支店0(2026年8月14日時点、キルギス国立銀行の登録簿)
授権資本10億ソム(額面1,000ソムの普通記名株式100万株)。2027年までに50億ソムへ増やす計画
株主キルギス共和国財務省が100%。2026年9月1日から大統領府管理局へ株主権限を移管
頭取ケデイバエフ・アスハト・カヌィベコビッチ
方針金融市場の育成、有価証券業務、投資商品、新規株式公開(IPO)、金融機能を備えたITシステム

設立の経緯

同行は2025年1月、閣僚会議の決定によって国が全額を出資する銀行として設立された。初期の授権資本は10億ソムで、額面1,000ソムの普通記名株式100万株の発行によって形成された。2027年までに授権資本を50億ソムへ引き上げる計画が示されている。2025年9月、キルギス国立銀行が同行の設立許可を出した。

設立当初、同行はキルギスの国家中央証券保管機関(национальный депозитарий)の機能を担う想定だった。しかし2026年2月、閣僚会議は同行からこの地位を外し、決済・清算、有価証券の保管と記帳、証券コードの付番といった業務を担う必要がなくなった。同じ月に取締役会と執行部の構成が刷新されている。2026年1月30日には唯一の株主である財務省が取締役2名の権限を早期に終了させ、2月4日には新しい体制が決まった。

2026年5月13日、キルギス国立銀行の理事会が同行とムラス銀行への銀行免許の交付を決定した。免許は国内通貨および外貨での銀行業務を行う権利を与えるものである。国立銀行の発表には、両行がいつ本格的な営業を始めるかは書かれていない。

資本増強と最低資本規制

2026年5月21日、ジョゴルク・ケネシュ(議会)の予算・財政・企業活動・競争発展委員会が、共和国予算から20億ソムを同行の授権資本の増加に充てる案を承認した。提案したのは財務省である。同行の担当者は、この資金は国立銀行の資本要件を満たし、業務の本格的な立ち上げに移るために必要だと説明した。

キルギス国立銀行の現行の要件では、商業銀行の最低授権資本は段階的に引き上げられる。2026年6月30日までに8億ソム、2026年7月1日から10億ソム、2027年7月1日から15億ソム、2028年7月1日から20億ソム、2029年7月1日から25億ソム、2030年7月1日から30億ソムである。新設の銀行にとって、この予定表に沿って資本を積み増すことが最初の課題になる。

同じ委員会の審議では、議員ダスタン・ベケシェフ氏が、もう一つ国有銀行を作る必要があるのかと疑問を呈した。キルギスにはすでにAバンク、エルディク銀行、ケレメト銀行、国家開発銀行など国が関与する銀行が複数あるためである。

株主権限の移管

2026年8月21日、大統領サディル・ジャパロフは、国有100%の同行について株主の権限を行使する機能を財務省から大統領府管理局へ移す大統領令に署名した。文書には、この決定が金融機関の業務の効率を高めるためだと記されている。

閣僚会議には、大統領府管理局へ株主の権利を移し、自らの決定を大統領令に合わせるよう指示が出された。大統領府管理局と財務省には、権限移管の組織的な手続きを行い、国有財産を同行の利用に供する措置をとることが求められた。大統領令は公式に公表された日から10日後、すなわち2026年9月1日に発効する。

大統領府管理局はすでに、国家住宅金融公社(ГИК)と印刷企業ウチクンの株式を保有している。国有企業の株主機能が政府から大統領府へ移る動きは、この数年のキルギスで繰り返し見られる。

国有銀行の重なり

キルギスの銀行部門では、国が関与する銀行の存在感が大きい。資産で首位のエルディク銀行、2位のAバンク、資産を1年で7倍以上に増やしたケレメト銀行は、いずれも国の関与がある。これに政策金融の国家開発銀行、住宅の国家住宅金融公社、保証の保証基金が加わる。

同行はこの上に置かれた。設立時に想定された役割は、既存の国有銀行と重ならない領域、すなわち証券保管、資本市場の育成、投資商品の提供だった。しかし2026年2月に国家中央証券保管機関の地位が外されたことで、当初の設計の一部は失われている。

同行の代表者は議会の委員会で、資金は国立銀行の資本要件を満たし、業務を本格的に立ち上げるために必要だと説明した。新設の国有銀行が、営業の実績を示す前に追加の予算措置を必要とする構図は、議会の側から疑問が呈される要因になっている。

読み方の注意

同行の公式サイトは、2026年8月時点で「財務省が株式の100%を保有する」と記載している。大統領令の発効は9月1日であるため、この記載は移管前の状態を示している。読み手は、株主の表示が時点によって変わることに注意がいる。

総資産、自己資本の実額、従業員数は公表されていない。公式サイトには2026年5月、6月、7月の月次財務報告が置かれているが、いずれも画像として掲示されており、数値をそのまま読み取ることはできない。

設立から免許取得までに1年4か月かかっていること、その間に国家中央証券保管機関の地位が外され、経営陣が入れ替わり、追加の資本注入が必要になったことは、この銀行の立ち上げが順調ではなかったことを示している。掲げられた「金融市場の育成」「IPO」といった目的がどこまで実現するかは、まだ判断できない。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

クルム銀行とは | Caspian Intelligence