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キルギスアルティン

金銀の精錬と販売、金鉱山の持株と共同事業、宝飾品の製造小売、物流

Kyrgyzaltyn OJSC
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

キルギスアルティン(Kyrgyzaltyn)は、キルギスの金鉱業を束ねる国有の持株・精錬会社である。国内で採掘された金銀はカラバルタにある同社の精錬所へ集められ、精製された地金を国内外で販売する権利は同社が独占的に持つ。クムトール・ゴールド・カンパニーの唯一の株主でもあり、中国の紫金鉱業やトルコのエティ・バクルとの合弁にも出資している。

金はキルギスの物品輸出の中で最大の項目であり、同社の連結業績はそのまま国庫収入に直結する。2025年通期の純利益187億ソムは全額が配当として国家予算へ回された。日本での知名度は低いが、キルギスの資源政策を読むときに最初に押さえるべき組織である。

正式名Kyrgyzaltyn OJSC(ОАО «Кыргызалтын»)
設立1992年10月15日、国営コンツェルン「キルギスアルティン」として発足。1999年7月23日の大統領令UP-175により株式会社へ改組
本社キルギス・ビシケク(アブドゥモムノフ通り195番)
事業金銀の精錬と販売、金鉱山の持株と共同事業、宝飾品の製造小売、物流
株主内閣付属国有財産管理国家庁が99%、財務省が1%(2026年4月時点)
収入207億ソム(2025年通期)
純利益187億ソム(2025年通期、前年比9%増)。2026年1〜6月は330億ソム
配当2025年期の純利益の100%を国家予算へ充当することを株主総会が決定(2026年4月)
精錬所カラバルタの「アフィナージュ工場」。金の年産能力40トン。LBMAのグッド・デリバリー認定を1999年10月から保持
上場キルギス証券取引所カテゴリーB。普通株9,641,239株、時価総額9億6,412万ソム(2026年8月時点)
経営取締役会議長(правление議長)はクバト・アブドライモフ

沿革

1992年10月15日、キルギスの鉱業各社をまとめて既存事業の生産を維持し、新たな金採掘案件を実現する目的で、国営コンツェルン「キルギスアルティン」として設立された。1999年7月23日の大統領令UP-175「キルギス国家コンツェルン『キルギスアルティン』の改組について」により、活動の透明性の確保と管理構造の改善を理由に株式会社へ改組された。

2001年1月15日の大統領令「キルギス共和国における金の採掘と生産のさらなる発展のための措置について」によって、精錬事業と金鉱事業が同社に集約された。以後、精錬から販売までを一手に担う体制が続いている。

株式は国が全て保有する。同社の説明では国有株の比率は100%で、2026年4月時点の内訳は内閣付属国有財産管理国家庁が99%、財務省が1%である。キルギス証券取引所にはカテゴリーBで上場しており、普通株の発行数は9,641,239株、株価100ソムに基づく時価総額は9億6,412万ソムである(2026年8月時点)。自由に流通する株式はないため、この時価総額は資産価値の指標にはならない。

精錬所と金の販売

同社の中核設備は、チュイ州カラバルタにある支店「アフィナージュ工場」である。1992年にキルギス政府の決定に基づきカラバルタ鉱山コンビナートが建設し、当初は国内の金採掘量が少なかったため年産2トン程度にとどまっていた。クムトール鉱山の稼働に合わせて1996年に改修され、地金の生産能力は年40トンに引き上げられた。同時にドーレ地金の塩素化工程が新設され、1997年3月からクムトール産のドーレの受け入れが始まった。

工場が出荷するのは、11〜13キロの標準地金(バンクバー)、純度999.9の1,000グラム・100グラムの秤量地金、純度999の約25キロの標準銀地金である。品質は同コンビナート内の中央科学研究試験所(ЦНИЛ)が判定し、同試験所は1998年3月に英国認定機関UKASの認定を受けた。工場自体は1999年10月からロンドン貴金属市場協会(LBMA)のグッド・デリバリー認定を保持しており、同社はLBMAの責任ある金の調達指針とOECDのデュー・ディリジェンス・ガイダンスに沿った供給網の点検を続けていると説明している。

2026年6月には、モンゴル中央銀行から持ち込まれたドーレ地金の精錬を受託し、独立以降で初めて外国産のドーレを国内で処理した。この案件で生産されたグッド・デリバリー品の販売額は1,200万ドルを超えたという。

国内では、クムトールが産出したドーレはKGC・キルギスアルティン・キルギス政府の三者契約に基づいて同社が買い取る。ジェロイ(ジェルイ)とタルディブラク左岸の開発のために設立された合弁各社も、産出した貴金属を同社の精錬所で処理する義務を負っている。

傘下と合弁

子会社として、クムトール・ゴールド・カンパニー、カラバルタ鉱山コンビナート、マクマルゴールド・カンパニー、カラカラ・テレク、シベル・トー、チャクシュ、МАТЭ、ミンテケを抱える。物流会社アルティン・ロジスティクもグループに属する。

合弁事業では、中国の紫金鉱業系企業と組むアルティンケン(タルディブラク左岸鉱床)と、トルコのジェンギズ・ホールディング傘下エティ・バクルと組むエティ・バクル・テレクサイ(テレクサイ鉱山)が二本柱である。エティ・バクル・テレクサイの持分はエティ・バクル75%、キルギスアルティン25%で、資金は全額トルコ側が負担する。同社の公表では金の埋蔵量は32トン、従業員は460人(うち9割がキルギス国民)で、税と義務的支払いの累計は32億ソムを超える。このほか、ソルトン・サル鉱床アルティントル区画の技術由来堆積物を処理するアベルム・パルトネル(同社の持分35%)と、設計調査センター「ケン・トー」がある。

同社は自社サイトで、合弁の相手方と合わせてキルギスの金生産の81%超を担い、金採掘が同国のGDPのおよそ10%、鉱工業生産の35%、輸出の60%を占めると説明している(この記述には時点の明示がない)。

業績と国庫への納付

2025年通期の収入は207億ソム、純利益は187億ソムで、前年比9%増と過去最高を更新した。2026年4月14日の年次株主総会は、この純利益の100%を配当として国家予算に納めることを決めている。2026年1〜6月の純利益は330億ソムで、前年同期のおよそ2倍、2025年通期の1.8倍に達した。

業績の大部分はクムトールに由来する。KGCは2025年通期に7億608万ドルの純利益を上げ、キルギスアルティンへ3億ドルの配当を支払った。ジャパロフ大統領は2025年12月の演説で、クムトールを国の管理下に置いて以降の3年間で20億ドルの純利益を得たこと、2020年以前のキルギスアルティンは100万ドルの利益も出していなかったのに対しその年は2億ドルの利益を上げたことを挙げている。同じ演説で、かつて年間3億ソムまでの国庫補助を受けていたマクマル金鉱床が6億7,000万ソムの純利益を出すようになったこと、前年に開いた宝飾店が1年で7億3,500万ソムの純利益を上げたことにも触れた。

近年の事業拡大

同社は鉱業以外にも事業を広げている。2026年5月28日、イシククリ州バリクチに国際物流センター「アルティン・ロジスティク」を開設した。敷地5.5ヘクタール、1日あたり最大200台のトラックを扱う能力を持ち、80人以上の雇用を生んだ。中国・中央アジア・CIS諸国を結ぶ結節点としての活用が期待されている。

2026年4月3日には、キルギス証券取引所および中央預託機関との三者協定に署名し、取引所での貴金属のデジタル取引を始めた。取引所の取締役会は同年3月13日に貴金属セクターの取引規則と規程の改正を採択している。参加できるのは商業銀行、宝飾会社、ブローカー、財務省貴金属局に登録した法人で、決済は「引渡しと支払いの同時履行」の国際標準に沿って中央預託機関が保証する。金の現物を動かさずに二次流通を成立させ、国内投資家に長期の貯蓄手段を提供する狙いがある。

投資計画としては、今後3年で総額10億ドルを超える案件を実施するとしており、ウンクルタシュ、トゴロク、チャクシュ、タルディブラク、アンダシュの各鉱床の開発が挙げられている(2026年8月の同社発表)。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。