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キルギステレコム

固定電話(市内・市外・国際)、光ファイバー網、ブロードバンド、IPTV、データセンター(コロケーション)、ホスティング、VPN、IP電話、専用回線の貸与

Kyrgyztelecom OJSC
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

キルギステレコムは、キルギスの固定通信最大手である。ソ連期の電信・電話網を引き継いで1993年に国営企業として発足し、1997年に株式会社へ改組された。全国の光ファイバー幹線と国際回線を保有し、固定電話、ブロードバンド、IPTV、データセンターを手がける。携帯通信には参入しておらず、この点で、携帯ブランドを併営するウズベキスタンやカザフスタンの国営通信会社とは事業構成が異なる。

株式の77.84%を大統領府管理局が、12.51%を社会基金が持ち、残る9.65%が法人・個人の手にある。国有株についての株主権限は、2026年4月24日の閣僚会議決定第280号により、デジタル発展・革新技術省から大統領府管理局へ移された。国の規制権限と株主としての権限を分ける、というのが説明された理由である。キルギス証券取引所のカテゴリーBに上場しているが、取引価格は1株4ソム、時価総額は8億4,322万ソムにとどまり(2026年8月時点)、授権資本13億2,345万ソムを下回る。国有の通信基盤という性格が強く、収益よりも全国への回線敷設と公共部門への役務提供が事業の中心に置かれている。

正式名Открытое акционерное общество «Кыргызтелеком»(ОАО «Кыргызтелеком»)
本社キルギス・ビシケク市イ・アフンバエフ通り123番地
設立1993年に国営電気通信企業(ГПЭС)「キルギステレコム」として発足。1997年に株式会社へ改組
事業固定電話(市内・市外・国際)、光ファイバー網、ブロードバンド、IPTV、データセンター(コロケーション)、ホスティング、VPN、IP電話、専用回線の貸与
授権資本13億2,345万1,618.24ソム(同社サイト、2026年8月時点)
株主構成大統領府管理局(Управление делами Президента КР)77.84%、社会基金12.51%、法人・個人9.65%(同社サイト、2026年8月時点)。国有株の株主権限は、2026年4月24日の閣僚会議決定第280号でデジタル発展・革新技術省から大統領府管理局へ移された
上場キルギス証券取引所(КФБ)のカテゴリーB。普通株210,804,820株、直近取引価格4.00ソム、時価総額8億4,322万ソム(同取引所の上場一覧、2026年8月時点)
売上高25億4,260万ソム(2025年通期、連結。前年比2億260万ソム増)
純利益4,200万ソム(2025年通期、連結)
従業員2,220人(同社サイト、2026年8月時点)
総裁ヌルラン・マダミノフ(Нурлан Сабырович Мадаминов)
取締役会3名。議長ティムール・ムラトフ、委員ダミル・スライマノフ、チンギズ・エシマンベトフ(2022年8月22日の臨時株主総会で選出)
子会社有限責任会社「キルギステレコム・インテリジェント交通システム」(ИТСК)、有限責任会社「セルゲク」

沿革

同社が自社の起点として掲げるのは、1873年にピシュペク(現ビシケク)で稼働した、キルギス最初の電信局である。当時はヴェールヌイ(現アルマトイ)のトルキスタン電信部の管轄で、郵便・電信の施設はロシア帝国内務省の所管だった。1885年にオシュ、1900年にトクマク〜プルジェワリスク(現カラコル)、1912年にナルインへ電信が延びた。

ソ連期には、山がちな地形に合わせて無線中継(РРЛ)が通信の骨格になった。1946年にチュイ谷のポルタフカからジャララバードまで、キルギス山脈とフェルガナ山脈に中継点を置く無線回線の可能性が実証され、1958年にキルギス・ソビエト社会主義共和国通信省に無線中継幹線・テレビ管理局が置かれた。1959〜1963年にフルンゼ(現ビシケク)からプルジェワリスク、ナルイン、タラスへの回線が開通し、タシケント〜フルンゼ〜アルマアタ線によって初めてテレビ番組の受配信が可能になった。1964年には、モスクワに次いでソ連で2番目となる自動長距離電話交換局がフルンゼに建設された。1980年末の市内電話網の容量は14万4,000番、うちフルンゼが7万番だった。

独立後の1993年、電気通信基盤を整備するために国営電気通信企業「キルギステレコム」が設立された。同年、世界銀行と欧州復興開発銀行が資金を出す「第1次電気通信プロジェクト」が始まり、デジタル交換機(エリクソン)、SDH方式の無線中継局(ノルウェーのネラ)、標準A規格の衛星地上局(米コムサットRSI)、光ファイバー線(イスラエルのHTケーブル)が導入された。1997年に株式会社へ改組。同じ時期に、フランクフルトから上海までを結ぶ光ファイバー幹線「トランス・アジア・ヨーロッパ(TAE)」のキルギス区間を担い、1998年に第1次プロジェクトが完了した。

2000年前後は、韓国の経済開発協力基金によるチュイ州の通信網近代化、クウェート・アラブ経済開発基金によるオシュ市・オシュ州・バトケン州の近代化が続いた。2001年にインターネット接続事業者の資格を得て、2002年には華為技術(ファーウェイ)と契約してADSLとインテリジェントネットワークを導入した。2009年に国内で初めて定額制のインターネット料金を導入し、翌年にはビシケクの外部トラフィック料金を半減させて、市場全体の値下げを促した。

事業と設備

主力は固定回線の事業である。市内・市外・国際電話に加え、家庭向けのブロードバンド、IPTV、企業向けのVPN、専用回線、コロケーション、ホスティング、VPS/VDS、IP電話、E1デジタル回線、DWDMの波長貸しまでを扱う。近年はGPON(光ファイバーを各戸まで引く方式)への移行を進めており、2025年に全国展開を完了したとしている。

同社は地域ごとの支社(ビシケク市電話網、チュイ、オシュ、ジャララバード、イシククル、ナルイン、タラス、バトケンの各州支社)で構成される。子会社は2社あり、有限責任会社「キルギステレコム・インテリジェント交通システム」(ИТСК)は「スマートシティ」事業の「セーフシティ」部分でハードウェアとソフトウェアの設置・保守を担い、有限責任会社「セルゲク」は通信線の設計・建設と機器設置を請け負う。

デジタルCASAと2025年の実績

2010年代後半以降の同社の投資は、世界銀行の「デジタルCASA(中央アジア・南アジア)-キルギス共和国」事業と深く結びついてきた。この事業は2018年3月20日に世界銀行理事会が承認したもので、承諾額は5,000万ドル、終了日は2025年7月31日、実施機関はデジタル発展省である。2024年1月12日には700万ドルの追加融資が承認された。世界銀行は2026年4月の記事で、3,000キロを超える光ファイバー回線が全7州に敷設され、約4,000の公共施設と2,000を超える学校が接続され、最大200Gbpsの基幹網(30ノード)が整えられたと報告している。

実施機関は省だが、回線を敷いて運用するのは同社である。同社の取締役会は2025年通期の報告で、この事業を2025年に完了したとしたうえで、同年に3,836キロの光ファイバー回線を建設し、3,882の公共施設をインターネットに接続し、ウズベキスタンおよびカザフスタンとの新たな越境接続を設けたと記している。ビシケクとオシュに国際的なインターネット・トラフィック交換点(IXP)を設け、南北を結ぶ冗長構成の伝送リングを稼働させ、GPONを全国へ広げた。運用効率を上げるため、非効率とされた通信局31か所を廃止している。

財務

2025年通期の連結収入は25億4,260万ソムで、2024年から2億260万ソム増えた。費用は25億60万ソムで11%増え、連結純利益は4,200万ソムにとどまった。取締役会は利益の減少について、一部事業で見込んだ収入が入らなかったことと、国家的行事や施設の通信手配を含む国家・社会的義務の履行に多額の費用がかかったことを理由に挙げ、この負担(年およそ6,000万ソム)がなければ財務成績はかなり良かったはずだと述べている。

2022〜2025年の戦略目標は取締役会の決定で承認され、2024年に更新された。2025年の取締役会は30回開かれ、72件の議題を審議した。

読むときの注意

筆頭株主が政府の一般的な国有財産管理機関ではなく、大統領府の管理局である点は、この会社を読むうえで押さえておきたい。通信基盤の整備と公共部門向けの役務が事業の中心にあり、収益性は二の次に置かれやすい構造になっている。取締役会自身が、国家・社会的義務の負担で利益が圧迫されていると明記している。

公表されている財務は取締役会報告の要約で、国際財務報告基準(IFRS)に基づく監査済みの財務諸表は同社サイトで公開されていない。売上高・利益は連結の数字として示されているが、子会社別の内訳は開示されていない。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。