解説 · 2026年8月時点
マルイアゾト(Maryazot)は、トルクメニスタン南東部マル州にある窒素肥料工場である。1984年に稼働した同国で最初の窒素肥料の工業生産設備で、主力製品は硝酸アンモニウム(硝安)である。国営のトルクメンヒミヤ国家コンツェルンの傘下にある。
原料は天然ガスで、これを改質してアンモニアを合成し、硝酸を経て硝酸アンモニウムに変える。マル州はトルクメニスタン最大のガス田地帯を抱えており、原料の供給地に工場を置く典型的な配置である。硝酸アンモニウムは綿花と小麦を中心とする同国の農業に不可欠な資材であり、生産は国内需要の充足を第一の目的としている。
| 正式名 | «Maryazot» önümçilik birleşigi(マルイアゾト生産合同) |
|---|---|
| 稼働開始 | 1984年 |
| 所在地 | トルクメニスタン・マル州 |
| 所管 | トルクメンヒミヤ国家コンツェルン |
| 位置づけ | トルクメニスタンで最初の窒素肥料工場 |
| 設計能力 | 硝酸アンモニウム年45万トン |
| アンモニア設備 | 日産600トンの製造部門2系列 |
| 硝酸設備 | 希硝酸の設計能力は日産1,080トン |
| 主な製品 | 硝酸アンモニウム、アンモニア、硝酸、液体窒素、液体酸素、ポリプロピレン製袋、ソーダ灰、凝集剤(硫酸鉄) |
| 財務 | 売上高・利益・従業員数は公表されていない |
沿革と設備
工場は1984年に稼働した。トルクメンヒミヤの説明では、トルクメニスタンで窒素肥料を生産する最初の工業企業と位置づけられている。主要製品の硝酸アンモニウムの設計能力は年45万トンである。
あわせて、それぞれ日産600トンのアンモニア製造部門が2系列稼働している。硝酸については、希硝酸(濃縮していない硝酸)の設計能力が日産1,080トンとされる。アンモニア、硝酸、硝酸アンモニウムという一連の工程を一つの敷地に収めた構成である。
製品の多角化
2005年には、日産4.5トンの凝集剤(硫酸鉄)を生産する試験・実験部門が稼働した。翌2006年には日産2トンのソーダ灰(炭酸ナトリウム)の生産が立ち上がっている。いずれも規模は小さいが、輸入に頼っていた化学品を国内で賄う輸入代替の一環である。
2026年時点で同工場が生産している製品は、硝酸アンモニウム、アンモニア、硝酸、液体窒素、液体酸素、ポリプロピレン製の袋、ソーダ灰、凝集剤(硫酸鉄)である。ポリプロピレン製の袋は自社製品の包装材にあたり、工程の内製化が進んでいることを示している。液体窒素と液体酸素は、化学工場が空気分離設備を持つことから派生した製品で、医療用途を含めて国内に供給される。
国内の肥料産業における位置づけ
トルクメニスタンの化学工業は、天然ガスを原料とする窒素肥料と、地下資源を原料とする硫黄・ヨウ素・カリ肥料の二本立てで構成される。マルイアゾトはその窒素肥料側の最も古い拠点である。
同じマル州には、日本の川崎プラントシステムズと双日の企業連合が技術面を、トルコのルネサンスが建設を担って2014年10月に稼働したマルイカルバミド(アンモニア・尿素工場)がある。マルイアゾトが硝酸アンモニウムを、マルイカルバミドが尿素を担当する分担になっており、いずれもトルクメンヒミヤの傘下にある。このほかカスピ海沿岸のガラボガズには2018年稼働のガラボガズカルバミド(アンモニア・尿素工場)がある。
同工場についても、生産量の実績値、売上高、従業員数といった経営に関する数字は公表されていない。公表資料から確認できるのは設計能力と製品構成にとどまる。
参考資料
- «Maryazot» önümçilik birleşigi — «Türkmenhimiýa» döwlet konserni(公式サイト、工場ページ) ↗
- “Marykarbamid” zawody — «Türkmenhimiýa» döwlet konserni(公式サイト、マルイカルバミドの工場ページ) ↗
- «Türkmenhimiýa» döwlet konserni(公式サイト) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。