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Mバンク

Mbank OJSC
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解説 · 2026年8月時点

Mバンク(ОАО «Мбанк»)は、キルギスの商業銀行である。総資産では国内第3位にあたり(2026年6月末時点)、スマートフォンの決済アプリ「MBANK」を軸にした個人向けのデジタル金融で知られる。前身は1991年に免許登録された「AKBキルギスタン」で、2006年から「商業銀行キルギスタン」を名乗った。アプリの名称として使ってきたブランドを2025年に法人名そのものへ引き上げている。

キルギスの銀行としては珍しく、決済、電子商取引、旅行予約、投資といった機能を一つのアプリに束ねる「エコシステム」型の展開をとる。国立銀行の登録簿に載る支店は18だが、同行は全国で80を超える拠点と400台超のATMを持つと説明しており、規模の実感は支店数と一致しない。

正式名ОАО «Мбанк»(Mbank OJSC)。2006年から2025年までの名称は ОАО «Коммерческий банк КЫРГЫЗСТАН»
起源1988年1月1日に発足したソ連ジルソツバンクのキルギス支社。1990年11月6日に銀行として設立され、法務省に「AKBキルギスタン」として登記
免許キルギス国立銀行の免許第014号。免許登録簿への記載は1991年12月27日
本店キルギス・ビシケク市ゴーリキー通り1/2(ビジネスセンター「テクノパーク」)
支店18(2026年8月14日時点、キルギス国立銀行の登録簿)。同行は「80を超える拠点」と説明する
総資産1,928億3,564万ソム(2026年6月30日時点、同行公表のIFRS財務諸表)
資本合計258億9,769万ソム(同)
純利益33億6,702万ソム(2026年上半期、同)
筆頭株主オムルベク・トクトグロヴィチ・ババノフ氏 97.9699%(2026年3月31日時点、同行の情報開示報告)
取締役会長バクティベク・トゥモンバエフ氏(2025年1月15日選任)
頭取マクサトベク・イシェンバエフ氏(2025年1月15日選任)
イスラム窓口免許第014/1号(2021年10月13日)。ムダーラバ、ムラーバハ、カルドから始まり、2024年5月30日にイジャーラ、2025年8月13日にイスティスナーを追加
電子マネー発行許可(2017年7月6日)
従業員・顧客従業員3,500人超、顧客300万人超、ATM400台超(いずれも同行の記載。基準日は示されていない)

沿革

同行の説明によれば、その歴史は1988年1月1日に発足したソ連ジルソツバンク(住宅社会銀行)のキルギス支社にさかのぼる。この組織を土台に1990年11月6日に銀行が設立され、キルギス共和国法務省に「AKBキルギスタン」として登記された。キルギス国立銀行の免許登録簿では、免許第014号の登録日は1991年12月27日である。ソ連末期に生まれた専門銀行がそのまま独立国の商業銀行へ移行した典型例にあたる。

2005年に公開型株式会社「AKBキルギスタン」へ改組し、2006年11月20日から「商業銀行キルギスタン(ОАО «Коммерческий банк КЫРГЫЗСТАН»)」を名乗った。同行によれば、現在の「Mバンク(ОАО «Мбанк»)」という名称になったのは2025年である。モバイルアプリの「MBANK」は法人名の変更より前から使われており、ブランドが先に浸透して法人名が後から追いついた形になっている。

2025年には経営陣が入れ替わった。取締役会長にバクティベク・トゥモンバエフ氏、頭取(правление議長)にマクサトベク・イシェンバエフ氏が同年1月15日付で就いている。イシェンバエフ氏は国立銀行副総裁やエネルゴバンクの経営を経てきた人物で、同行の説明では銀行・保険・リースの分野で30年以上の経歴を持つ。

資本と株主

同行が国立銀行の情報開示規則にもとづいて公表した2026年第1四半期の報告書では、発行済株式の5%以上を保有する株主および最終受益者として、オムルベク・トクトグロヴィチ・ババノフ氏(97.9699%)の一名だけが記載されている。第2四半期の報告書でも同じ比率が示されている。ババノフ氏は2011年12月から2012年9月までキルギスの首相を務めた実業家である。

事実上の一人株主の下にある銀行という構造は、意思決定の速さと引き換えに、資本の出し手が分散していないという弱点も抱える。国立銀行が2025年12月29日の理事会決定で定めた日程では、商業銀行の最低授権資本は2026年7月1日に10億ソム、以後毎年5億ソムずつ上がって2030年7月1日には30億ソムとなり、システム上重要と判定された銀行には2027年7月1日から80億ソムが課される。同行の資本の規模はこの水準をすでに大きく上回っているが、上位行にとっては配当政策と資本の積み増しをどう両立させるかという論点が残る。

事業とデジタル戦略

個人向けには決済カード、消費者ローン、自動車ローン、住宅ローン、農業向け融資、預金、国際送金、金の計量地金の売買、貸金庫を扱う。法人・事業者向けには決済口座、給与振込、銀行保証、信用状、加盟店決済(MKassa)を提供する。同行はビザ・インターナショナルのプリンシパルメンバーであり、自社のデザインとロゴでVisaカードを発行できるほか、国内共通カードの「エルカルト」も扱う。

アプリの周辺に非金融の機能を並べているのが特徴である。同行が公開している製品の一覧には、子ども向けのMJunior、事業者向けのMBusiness、加盟店決済のMKassa、電子商取引のMMarket、旅行のMTravel、投資のMInvest、チケット販売のMTicket、決済のMPay、飲食のMCafeが並び、中古車情報のMashina.kgや不動産情報のHouse.kgとの連携も掲げている。銀行がキルギスの生活の入口を押さえようとする動きの、最も進んだ例である。

イスラム金融にも早くから参入した。国立銀行の登録簿によれば、同行は2021年10月13日にイスラム窓口の免許(第014/1号)を得ており、当初のムダーラバ、ムラーバハ、カルドに加えて、2024年5月30日にイジャーラおよびイジャーラ・ムンタヒヤ・ビッタムリーク、2025年8月13日にイスティスナーおよび並行イスティスナーが対象に加わった。同行はシャリーア委員会を置き、MIslamicの名で商品群をまとめている。電子マネーの発行許可は2017年7月6日付、金の計量地金の取り扱い許可は2016年6月15日付である。

財務

同行が公表した2026年6月30日時点のIFRS財務諸表によれば、総資産は1,928億3,564万ソムである。2025年12月31日の1,694億5,996万ソム、2025年6月30日の1,291億7,273万ソムから、1年で約49%増えた。負債合計は1,669億3,795万ソム、資本合計は258億9,769万ソムである。

資産の内訳では、顧客向け貸出(貸倒引当金控除後)が946億9,643万ソム、イスラム金融による資金供与が78億655万ソム、償却原価で測る投資有価証券が151億461万ソム、他の銀行等への預け金が195億5,771万ソムを占める。負債側では顧客資金が1,507億3,672万ソム、イスラム金融で受け入れた顧客資金が53億764万ソムである。

2026年上半期の純利益は33億6,702万ソムで、前年同期の35億9,540万ソムをわずかに下回った。受取利息は106億7,933万ソム(前年同期63億6,249万ソム)と大きく伸びた一方、資産の減損に対する引当金の計上が20億9,855万ソム(同6億2,955万ソム)へ膨らんだことが利益を抑えている。急速な貸出の伸びに引当てが追いつく局面にあると読める。

キルギスの銀行部門における位置

経済専門紙エコノミストの集計によれば、キルギスの商業銀行23行の総資産は2026年6月末時点で1兆4,900億ソムに達し、上位3行だけで51%、上位5行で67.7%を占める。同行はエルディク銀行(2,950億ソム)、Aバンク(2,711億ソム)に次ぐ第3位で、1年間で637億ソム資産を増やした。

上位3行のうち2行が国有であるのに対し、同行は民間資本の銀行である。国有銀行が政府プログラムの窓口として資産を伸ばしているのとは別の経路、すなわち個人客の決済と少額の与信を大量に集めることで規模を得てきた。この違いは、金利環境や政府の政策が変わったときの耐性の差として現れる可能性がある。

同行は月次・四半期の財務諸表と情報開示報告を自社サイトで公開しており、外部から規模と収益の推移を追える。ただし公表される数値の多くは走査(スキャン)した書類の形をとるため、読み取りには注意が要る。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。