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ムラス銀行

ムラス銀行(ЗАО «Мурас Банк»)は、2026年5月13日にキルギス国立銀行の免許を得た商業銀行である。「ムラス」はキルギス語で「遺産」を意味する。キプロスを拠点とする投資家セルゲイ・エンツ氏が設立し、自ら取締役会長を務める。頭取はアザマト・オムラリエフ氏である。

Muras Bank

解説 · 2026年8月時点

ムラス銀行(ЗАО «Мурас Банк»)は、2026年5月13日にキルギス国立銀行の免許を得た商業銀行である。「ムラス」はキルギス語で「遺産」を意味する。キプロスを拠点とする投資家セルゲイ・エンツ氏が設立し、自ら取締役会長を務める。頭取はアザマト・オムラリエフ氏である。

同行の戦略はキルギスでは異例で、預金・融資・カードという定番の組み合わせではなく、有価証券への投資と投資銀行業務を主軸に据える。国内の投資家に外国の証券への投資の道を開き、逆に外国の投資家をキルギス市場へ呼び込むことを掲げている。2026年6月末時点の総資産は16億1,000万ソムで、その大半は国立銀行への預け金である。

正式名ЗАО «Мурас Банк»(Muras Bank CJSC)
免許キルギス国立銀行の免許第058号。理事会の決定は2026年5月13日
本店キルギス・ビシケク市チンギズ・アイトマトフ大通り97/1В
支店0(2026年8月14日時点、キルギス国立銀行の登録簿)
創業者・取締役会長セルゲイ・エンツ(Sergey Entts、キプロスを拠点とする投資家)
頭取オムラリエフ・アザマト・アナルベコビッチ
方針有価証券への投資と投資銀行業務を主軸に据える
総資産16億1,000万ソム(2026年6月30日時点)
自己資本14億5,000万ソム(同)
純損益4,410万ソムの損失(2026年上半期)

設立

同行は2025年10月に銀行免許の申請を行った。当時の説明では、国立銀行が書類を審査して免許が下りた後に営業を始める計画で、待機期間中は行政サービスや決済サービスとの接続、モバイルアプリとインターネットバンキングの導入を進めていた。

2026年5月13日、国立銀行の理事会が同行とクルム銀行への銀行免許の交付を決定した。免許は国内通貨および外貨での銀行業務を行う権利を与える。国立銀行の免許登録簿では第058号にあたる。

創業者で取締役会長のセルゲイ・エンツ氏は、銀行部門と有価証券投資の分野で長年の経験を持つ投資家である。頭取のアザマト・オムラリエフ氏によれば、同氏は他の市場参加者にはまだ明らかでない顧客の需要を掘り起こすことを常に志向しており、キルギスに有望でほぼ手つかずの領域を見いだして新しい銀行の設立を決めたという。取締役会には、証券市場の専門家でキプロスでの経験を持つアレクセイ・スコロドゥモフ氏が加わっている。同氏は長年、エンツ氏の別の銀行を率い、複数の取引所でマーケットメイカーを務めた。

事業の方向

オムラリエフ氏の説明によれば、同行は預金・融資・カードという標準的な組み合わせを繰り返しても競合と差がつかないと考え、投資商品を第一に提供してキルギスの証券市場を育てる道を選んだ。国内の人々が外国の証券にも投資できるようにし、外国の投資家がキルギス市場に入れるようにすることを目標に掲げる。

扱う証券については、キルギスのものと外国のものの双方で信頼性の高い銘柄に重点を置くとしている。外国の取引所やユーロ債についても、合理的で技術的に実現可能であれば取り組む構えである。投資銀行業務については、基盤の整備と需要に応じて、個人向けの投資商品からより複雑な法人向けの解決策まで段階的に広げるとしている。

個人向けの標準的な業務も事業計画に含まれている。住宅ローンや事業融資を含む融資、カード、決済である。越境の取引も想定しているが、その規模と形態は規制上の制約と提携網の整備次第で、主として顧客による証券の売買に関連するものになるとしている。

財務

同行が2026年6月30日時点で公表し、官報「エルキン・トー」に掲載された財務諸表によれば、総資産は16億1,000万ソムである。2025年末の16億5,000万ソムからわずかに減った。資産の大半は国立銀行の口座と預金で13億5,000万ソムを占め、このほか償却原価で測る有価証券に4,530万ソムを投じている。

負債は6月末時点で1億6,300万ソムで、2025年末の1億5,990万ソムから増えた。自己資本は14億9,000万ソムから14億5,000万ソムへ減った。主因は損失の計上である。

2026年上半期の損益は、受取利息400万ソムに対して支払利息が約450万ソムで、純受取利息は43万7,000ソムのマイナスだった。手数料費用1万2,000ソム、外国為替の損失2,000ソムを加えた営業損失は45万1,000ソムである。費用の大半は営業費用と管理費用で、その他営業費用1,000万ソム、人件費1,430万ソム、固定資産の賃借料500万ソム、管理費1,430万ソムを計上した。この結果、税引前損益と純損益はいずれも4,410万ソムの損失となった。

2026年6月19日から30日にかけて、同行は13億9,000万ソムを国立銀行のオーバーナイト預金に置いた。この取引の規模が資産の10%を超えたため、重要事実として開示された。上半期に現金および現金同等物は7,190万ソム減って13億5,000万ソムとなり、投資活動には7,500万ソム(投資有価証券の取得4,520万ソム、固定資産・無形資産の取得2,970万ソム)を投じた。同期間に証券の発行、配当の支払、組織再編はいずれも行っていない。

読み方の注意

同行の資産の8割超が国立銀行への預け金であり、貸出はほとんど計上されていない。免許取得からまだ日が浅く、資金を集めて運用に回す段階に入っていないことを示す。損失も、営業の失敗というより立ち上げ費用が先行している形である。

投資銀行業務という戦略が成り立つかどうかは、キルギスの証券市場の厚みに左右される。キルギス証券取引所の上場銘柄は限られており、取引も薄い。外国証券への投資の道を開くには、規制上の手当てと海外の取引所・保管機関との接続が要る。同行はこれらを「免許取得後に検討する」としており、2026年8月時点で具体的な進捗は公表されていない。

株主の構成、授権資本の額、従業員数は公表されていない。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

ムラス銀行とは | Caspian Intelligence