解説 · 2026年8月時点
オプティマ銀行(ОАО «Оптима Банк»)は、キルギスの商業銀行である。1992年に「エネルゴバンク」として発足し、カザフスタンのATFバンク、イタリアのユニクレジット、再びカザフスタン資本という順で親会社が入れ替わってきた。現在はカザフスタンのアラタウ・シティ・バンク(旧ジュサン・バンク)の子会社であり、外国の銀行グループを親会社に持つキルギスの商業銀行の一つである。
2025年12月31日時点の総資産は838億9,947万ソム、自己資本は174億6,795万ソムである。支店は22で、キルギス国内に広く拠点を持つ。この銀行の沿革はキルギスの銀行部門に外国資本がどう出入りしてきたかの縮図であり、親会社の交代のたびに商号が変わってきた点にそれが表れている。
| 正式名 | ОАО «Оптима Банк»(Optima Bank OJSC) |
|---|---|
| 設立 | 1992年。前身は ОАО «Энергобанк» |
| 免許 | キルギス国立銀行の免許第018号。免許登録簿への記載は1992年5月7日 |
| 本店 | キルギス・ビシケク市ジベク・ジョル大通り493 |
| 支店 | 22(2025年12月31日時点、同行の財務諸表。2024年は21) |
| 親会社 | カザフスタンのAO «Alatau City Bank»(旧AO «First Heartland Jusan Bank»)が97.14%を保有(2025年12月31日時点) |
| 最終支配者 | キム・V・K氏(2025年12月31日時点。2024年12月31日時点はエセノフ・G・Sh氏) |
| 総資産 | 838億9,947万ソム(2025年12月31日、監査済みIFRS) |
| 自己資本 | 174億6,795万ソム(同) |
| 純利益 | 25億6,052万ソム(2025年通期、同) |
| 授権資本 | 56億ソム(2025年12月31日。2024年末は21億ソム) |
| 1株当たり利益 | 24.32ソム(2025年通期) |
| イスラム窓口 | 免許第018/1号(2025年8月25日) |
沿革
同行は1992年にキルギス共和国で公開型株式会社として設立された。国立銀行の免許登録簿では免許第018号の登録日は1992年5月7日である。当初の商号は「エネルゴバンク(ОАО «Энергобанк»)」で、名のとおり燃料・エネルギー分野の企業を主な取引先としていた。2002年に創立10周年を迎え、2003年の純利益は1,820万ソム、2004年には授権資本を1億860万ソムに引き上げて専門銀行から汎用銀行になった。
2004年6月、カザフスタンのATFバンクがエネルゴバンクの授権資本の34.4%を取得した。持ち分は2005年9月に73.9%、2006年11月に94.17%へ拡大し、同年12月14日に商号が「ATFバンク・キルギスタン(ОАО «АТФБанк - Кыргызстан»)」へ変わった。ATFバンク自体が2007年にユニクレジット・グループ傘下のバンク・オーストリア・クレディタンシュタルトに買収されたため、キルギスの子会社も欧州の金融グループの一員となり、2010年6月2日に「ユニクレジット銀行(ОАО «ЮниКредит Банк»)」へ改称した。
2013年5月、ユニクレジット・バンク・オーストリアはATFバンクの99.75%をカザフスタンのカズニトロゲンガスへ売却した。最終支配者の交代にともない、キルギスの子会社も同年に「オプティマ銀行」へ改称する。同行の沿革ページは正式名称の変更を2013年9月3日付とし、監査済み財務諸表は最終支配者の交代にともなう法務省での再登記を2013年4月と記している。
2020年12月30日、カザフスタンとキルギスの規制当局の承認を経て、ジュサン・バンクがATFバンクの株式99.76%を取得した。同行の説明によれば、この取引ではATFバンクの自己資本1,240億テンゲ(240億ソム)が追加引当金の原資に充てられ、ジュサン・バンクが970億テンゲ(190億ソム)の資本増強を行った。ジュサン・バンクは後にアラタウ・シティ・バンクへ改称している。
資本関係
2025年12月31日時点で、同行の発行済株式の97.14%はカザフスタンのAO «Alatau City Bank»(旧AO «First Heartland Jusan Bank»)が保有する。同行のウェブサイトも、5%以上を持つ株主はアラタウ・シティ・バンク一社(払込済授権資本の97.14%)だと記している。
親会社のさらに上には持株会社が積み重なる。監査済み財務諸表によれば、2025年12月31日時点でアラタウ・シティ・バンクの唯一の株主はカザフスタン登記のAO «United Group Alatau»(旧AO «First Heartland Securities»)で、そのユナイテッド・グループ・アラタウの唯一の株主はキム・V・K氏である。したがって同行の最終支配者はキム氏となる。1年前の2024年12月31日時点では、ユナイテッド・グループ・アラタウが79.63%、エセノフ・G・Sh氏が20.11%を保有し、最終支配者はエセノフ氏だった。1年のあいだに親会社の上部構造がまるごと入れ替わったことになる。
キルギスの銀行を読むうえで、この多層の資本構造は重要である。同行の経営は国内の規制と市場に従うが、資本と評判はカザフスタンの金融グループの状況に連動する。過去に3度、親会社の交代が商号の変更を引き起こしてきた事実がそれを示している。
財務
2025年12月31日時点の監査済みIFRS財務諸表によれば、総資産は838億9,947万ソムで、2024年末の733億5,915万ソムから14%増えた。内訳は現金および現金同等物が353億4,163万ソム、法人向け貸出が304億1,199万ソム、個人向け貸出が99億4,056万ソム、償却原価で測る投資有価証券が26億2,243万ソムである。
負債合計は664億3,153万ソムで、うち法人の当座預金・預金が281億1,987万ソム、個人の当座預金・預金が325億9,147万ソムを占める。自己資本は174億6,795万ソムで、授権資本56億ソムと利益剰余金118億6,795万ソムから成る。授権資本は2025年に利益剰余金の資本組み入れによって21億ソムから56億ソムへ引き上げられた。
2025年通期の純利益は25億6,052万ソムで、前年の26億5,931万ソムをやや下回った。純受取利息は47億4,307万ソム、手数料の純収入は5億6,904万ソム、外国為替取引の純利益は30億3,737万ソムである。1株当たり利益は24.32ソム(前年63.32ソム)、宣言された配当は10億4,944万ソム(前年7億1,400万ソム)だった。1株利益が大きく下がっているのは、増資で株式数が増えたためである。
事業
個人向けにはデビットカード、クレジットカード、プレミアムカード(Visa Platinum、Visa Infinite)、住宅ローン、消費者ローン、分割払い、預金、貸金庫、エスクロー口座を扱う。モバイルアプリ「Optima24」で融資の申し込みまで完結できるようにしており、税務サービスや貸金庫の管理といった機能も同アプリに載せている。法人・事業者向けには決済口座、給与振込、貿易金融を提供する。
2025年8月25日、同行は国立銀行からイスラム窓口の免許(第018/1号)を得た。対象となる契約はカルド、イジャーラおよびイジャーラ・ムンタヒヤ・ビッタムリーク、イスティスナーおよび並行イスティスナー、ムラーバハである。2025年12月31日時点でイスラム金融による資金供与の残高は法人向け5,133万ソム、個人向け1,720万ソムとまだ小さいが、キルギスの主要行が相次いでこの分野に参入している流れに沿う動きである。
同行は月次の財務諸表と四半期の情報開示報告、監査済みの年次財務諸表を自社サイトで公開している。ただし月次の書類は走査画像で提供されており、機械的に数値を読み取ることはできない。年次の監査済み報告書はテキストとして読める形で提供されている。
参考資料
- История банка — ОАО «Оптима Банк»(公式サイト) ↗
- Акционеры Банка — ОАО «Оптима Банк»(公式サイト) ↗
- Финансовая отчетность за год, закончившийся 31 декабря 2025 года, с аудиторским заключением(ОАО «Оптима Банк») ↗
- Отчётность — ОАО «Оптима Банк»(公式サイト) ↗
- Список коммерческих банков Кыргызской Республики и реестр лицензий(キルギス国立銀行、2026年8月14日時点) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。