解説 · 2026年8月時点
ペース・ジョージア(LLC Pace Georgia)は、黒海のポチ港を拠点とする物流会社である。船舶の代理店業務と用船、岸壁での荷役、倉庫の運営、貨物利用運送を組み合わせ、ジョージアを通る貨物の海と陸の接点を担う。Forbes Georgiaの2021年決算に基づく企業番付では、売上高1億1,586万9,000ラリで95位に入った。
ジョージアの物流は、黒海の港(ポチ、バトゥミ、クレヴィ)と鉄道・道路を通じてアゼルバイジャン、アルメニア、そしてカスピ海を越えた中央アジアへ抜ける通過貨物を軸に成り立っている。ペースはその通過貨物を扱う民間の代表格で、旧ソ連の各共和国から欧州へ向かう金属やアルミの輸出、そしてカスピ海の資源開発向け資材の輸送に関わってきた。
| 正式名 | შპს პეის ჯორჯია(LLC Pace Georgia) |
|---|---|
| 企業登記番号 | 204413759 |
| 登記 | 2000年6月20日 |
| 本拠 | トビリシ(テンギズ・アブラゼ通り8番) |
| 事業 | ポチ港での船舶代理店、荷役(ステベドア)、倉庫、貨物利用運送と物流 |
| 売上高 | 1億1,586万9,000ラリ(2021年通期、Forbes Georgiaの企業番付で95位) |
| 代表者 | イラクリ・タテイシヴィリ(企業登記、2026年8月時点) |
| 所有 | イラクリ・ケルヴァリシヴィリ38%、ラウラ・ラリオーニ38%(Forbes Georgia、2026年3月) |
| 取扱量 | 年間約300万トン(公式サイト) |
グループの構成
同社は2000年に登記されたジョージアの非公開の有限責任会社で、グループの親会社にあたる。同社の説明によれば、100%子会社としてペース・シッピング、サルピ・カスタムズブローカー、ペース・バトゥミ、ペトランスを持ち、加えてトランスフォードの50%、ジム・インテグレーテッド・シッピング・サービス・ジョージアの49%を保有する。
このほか、米国で登記されたペース・インターナショナルが外航海運と用船を担当し、ペース・トランスが貨物利用運送と物流サービスを行う。グループの主たる業務は、貨物の利用運送、積み下ろし、輸送、そしてポチ港での船舶代理店である。
設備と実績
同社の説明によれば、ポチ港で22基の門型クレーン、3基のレール搭載型門型クレーン、3基の移動式クレーン、2台の吸引式アンローダー、2系統のコンベヤーを運用し、屋内倉庫2万平方メートルと屋外ヤード14万平方メートルを持つ。年間の取扱貨物は約300万トンとしている。
主な事業実績として、同社は米海外民間投資公社(OPIC)から5,000万ドルの融資を得てポチ港に新しい多目的海上ターミナルを開発・建設・運営したこと、提携先とともにジョージアで唯一の可逆型穀物ターミナルを稼働させたことを挙げる。ポチ港の倉庫のひとつは、タジキスタンのアルミ工場の製品(アルミ地金とTバー)を西側市場へ運ぶ経路としてポチを使ってもらうために建てられたものだと説明している。
また、BPが主導した「シャフデニズ第2期」の資材輸送でパイプの取り扱いを担当したとしている。カスピ海のガス田開発に必要な大型資材を黒海側から搬入する作業で、ジョージアの通過機能が直接使われた例である。
所有
Forbes Georgiaが2026年3月に公表した「ジョージアの富豪100人」は、イラクリ・ケルヴァリシヴィリとラウラ・ラリオーニがそれぞれペース・ジョージアの38%を保有するとし、2人を74位(資産1億2,220万ラリ)と75位(同1億2,160万ラリ)に置いた。同誌は当時90歳のラリオーニをこの番付の最年長者として紹介している。
なお同誌は会社の設立を1993年としており、企業登記の登記日(2000年6月20日)および同社自身の説明(2000年設立)とは食い違う。
ポチ港との関係
同社の事業はポチ港の岸壁に張り付いている。同社が公表する図では、ポチ新港の1番から11番、および15番の各バースに同社の作業範囲が示されている。港湾そのものの運営はポチ港を保有する事業者が行い、荷役と保管、通関、代理店といった業務を担う民間の事業者がその上に載る構造になっている。
同社は倉庫と機械を自前で持ち、船の入港手配から内陸配送までを一括で引き受ける。この一括受注の形は、貨物の所有者が現地に拠点を持たない通過貿易で強みになる。
公開されていない情報
同社は非上場で、2021年以降の売上高と損益、従業員数、貨物の品目別・仕向地別の内訳はいずれも公表資料からは確認できない。ポチ港全体の取扱量に占める同社の比率も公表されていない。
参考資料
- Pace(公式サイト) ↗
- შპს პეის ჯორჯია — 企業プロフィール(ジョージア会計・報告・監査監督局の報告ポータル) ↗
- The 100 Largest Georgian Companies by Revenue — Forbes Georgia(2021年決算に基づく、2024年1月) ↗
- Georgia's 100 Richest Entrepreneurs — Forbes Georgia(2026年3月25日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。