ORGANIZATION · COMPANY

純鉄工場(プラント・オブ・ピュア・アイアン)

純鉄工場(Plant of Pure Iron OJSC)は、アルメニアでモリブデン精鉱を加工する中心的な企業である。名前は「純鉄」だが、現在の主力製品は鉄鋼添加用のフェロモリブデン、金属モリブデン、そして希少金属レニウムの化合物である過レニウム酸アンモニウムで、いずれも輸出向けである。アルメニアで初めてフェロモリブデンの製造を始めた企業であり、金属モリブデンを作れるのは同国では同社だけである。

Plant of Pure Iron
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

純鉄工場(Plant of Pure Iron OJSC)は、アルメニアでモリブデン精鉱を加工する中心的な企業である。名前は「純鉄」だが、現在の主力製品は鉄鋼添加用のフェロモリブデン、金属モリブデン、そして希少金属レニウムの化合物である過レニウム酸アンモニウムで、いずれも輸出向けである。アルメニアで初めてフェロモリブデンの製造を始めた企業であり、金属モリブデンを作れるのは同国では同社だけである。

アルメニアの鉱業は銅とモリブデンを二本柱とするが、ソ連期には精鉱の状態で他の共和国へ送り、加工は域外で行われていた。同社は独立後、国内で精鉱を加工して付加価値を付けたうえで輸出する道筋を作った企業にあたる。原料はアルメニア南部シュニク地方のザンゲズル銅モリブデン・コンビナートが供給しており、同国の鉱業の川下側を担う位置にある。

正式名Plant of Pure Iron OJSC(Մաքուր երկաթի գործարան)
前身純鉄の試験・工業プラント。同社は1969年設立と説明し、政府発表では1970年にエレバンで設立とされる
民営化1995年
本拠エレバン市エレブニ地区アルツァフ通り75
事業モリブデン精鉱の加工。フェロモリブデン、金属モリブデン、過レニウム酸アンモニウムの製造
原料ザンゲズル銅モリブデン・コンビナート(ZCMC)が産出するモリブデン精鉱
処理量精鉱を年6,500〜7,000トン処理(自社公表)
生産量フェロモリブデン年3,000〜3,500トン、金属モリブデン最大750トン、過レニウム酸アンモニウム200キログラム(自社公表)
輸出生産物は欧州連合諸国へ輸出。2013年時点で生産の100%が輸出(政府発表)
従業員600人(2013年、政府発表)

沿革

前身は、ソ連期にエレバンに置かれた純鉄の試験・工業プラントである。設立年について、同社の公式サイトは1969年としており、2013年のアルメニア政府の発表では1970年とされている。この工場では、アルメニア北部のフラズダンで発見された鉄鉱石から直接還元法で特性の異なる純鉄を作り、あわせてソ連各地から集めた金属くずを再溶解して合金鋼を得ていた。第三の柱として、鉄鋼冶金の研究成果を試験規模あるいは生産規模へ引き上げる役割も担っていた。

ソ連の解体でこの体制は続けられなくなり、1991年から1994年まで工場は操業を止め、新しい方向を探した。行き着いた答えが、国内で産出するモリブデン精鉱を原料にすることだった。転換の資金は、工場に残っていたチタンくず、フェロシリコン、大量の鉄などを使ってフェロチタンを製造し、それを輸出して調達した。1994年に435トンの精鉱をフェロモリブデンに変えることに成功している。

1995年に企業は民営化され、過去への敬意を込めて「純鉄工場」の名称が残された。その後、電解水素と湿式冶金の手法でモリブデン酸アンモニウムを作る工程を設け、1998年には金属モリブデンの生産(初年度5トン)を始めた。1996年から2013年までの間に生産能力は6倍になったと、2013年の政府発表は伝えている。

製品と生産

フェロモリブデンは鉄とモリブデンの合金で、鋼や鋳鉄に加えると強度、焼入れ性、高温での特性の維持、耐食性が高まり、鋳鉄の耐摩耗性も上がる。モリブデンは、金属の強度・靭性・耐食性を高めながら加工性を大きく損なわない数少ない合金元素のひとつで、鋼材メーカーにとって欠かせない添加材である。

同社はザンゲズル銅モリブデン・コンビナートの精鉱を年6,500〜7,000トン処理し、そこからフェロモリブデンを年3,000〜3,500トン、金属モリブデンを最大750トン、過レニウム酸アンモニウムを200キログラム得ていると説明している。過レニウム酸アンモニウムは、精鉱の焙焼で出る煙から回収する副産物で、ジェットエンジン用の超合金や石油精製の触媒に使われるレニウムの原料になる。

2013年の政府発表では、その年に精鉱6,500トンを処理してフェロモリブデン3,200トンと金属モリブデン750トンを生産する計画で、生産の100%が輸出され、従業員は600人、平均賃金は月22万ドラムだった。2012年からは超高純度モリブデンの製造と、モリブデン箔・形材の製造技術の導入に取り組んでいる。

資源の回収と持続可能性

同社は、モリブデン精鉱の加工にとどまらず、排煙からのレニウム回収、廃棄物からの銅回収、金属モリブデンからのモリブデン板の製造へ広げる計画を示している。加工の過程でモリブデンや有価物が失われる割合を下げることは、環境負荷と採算の双方に効く取り組みだと説明している。

アルメニアの鉱業は、シュニク地方のザンゲズル銅モリブデン・コンビナートを筆頭に輸出と税収の柱であり、モリブデンの加工品はその輸出構成の一角を占める。同社の生産は原料の供給元であるザンゲズル銅モリブデン・コンビナートの操業と、国際的なモリブデン価格に左右される。

株式はアルメニアの証券取引所に上場している。売上高・利益といった財務数値は、同社の公式サイトでは日本語・英語の形で整理された形では公表されていない。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

純鉄工場(プラント・オブ・ピュア・アイアン)とは | Caspian Intelligence