解説 · 2026年8月時点
カルメット(Qarmet)は、カザフスタン最大の一貫製鉄・鉱山企業である。カラガンダ州テミルタウの製鉄所を中心に、製鉄部門、原料炭部門、鉄鉱石部門の三本柱を持ち、従業員は3万5,000人を超える。2023年末に世界最大手の鉄鋼会社アルセロール・ミッタルの傘下から離れ、カザフスタンの投資家の手に渡ったという経緯を持つ点で、この国の資源国有化・国内資本化の流れを象徴する企業でもある。
| 正式名 | Qarmet JSC |
|---|---|
| 操業開始 | 1944年(テミルタウの製鉄所) |
| 所在 | カザフスタン・カラガンダ州テミルタウ |
| 事業 | 鉄鋼(薄板・長尺)、原料炭(8鉱山)、鉄鉱石、アクタウの大径鋼管工場 |
| 売上高 | 7,527億テンゲ(2024年通期、Forbes推計) |
| 従業員 | 3万5,461人(2024年) |
| 所有者 | アンドレイ・ラヴレンチェフ氏 |
| 前身 | アルセロール・ミッタル・テミルタウ。2023年12月にカザフスタン政府系のQICが2億8,600万ドルで全株を取得し、カザフの投資家へ引き継いだ |
| 販売先 | 40か国超 |
アルセロール・ミッタルからの移管
テミルタウの製鉄所は1944年に操業を始めたカラガンダ製鉄コンビナートを母体とし、独立後にアルセロール・ミッタルの傘下でアルセロール・ミッタル・テミルタウとして運営されていた。
2022年11月のレーニン炭鉱の事故に続き、2023年10月にコステンコ炭鉱で46人が死亡する火災・爆発が起きたことを受け、トカエフ大統領は同社との投資協力の打ち切りを政府に指示した。2023年12月8日、カザフスタン政府と同社は、政府系のカザフスタン投資公社(QIC)がアルセロール・ミッタル・テミルタウとアクタウの鋼管子会社の全株式を2億8,600万ドルで取得することで合意した。新たな投資家として自動車グループAllurのアンドレイ・ラヴレンチェフ会長の名が示され、今後3年で約35億ドルの投資が見込まれるとされた。企業名はその後カルメットに改められた。
事業構成
製鉄部門は薄板と長尺の圧延製品を手がけ、連続鋳造設備は年産520万トンのスラブと120万トンの長尺ビレットの設計能力を持つ。製品には亜鉛めっき鋼板、ポリマー塗装鋼板、ブリキ、電縫鋼管が含まれ、40か国超へ出荷している。
原料炭部門は8つの炭鉱と選炭工場、鉄道輸送部門などで構成される。鉄鉱石部門はリサコフスク、ケントベ、アタス、アタンソルの鉱床を採掘する。加えてアクタウには大径鋼管と防食塗装の工場がある。
設備投資
2025年10月には連続溶融亜鉛めっき・ポリマー塗装ラインの建設が始まった。同年11月には中国企業との一連の合意を公表しており、鄭州煤鉱機械集団から採炭機械を7,000万ドルで購入、新興鋳管との高強度鋳鉄管工場の建設(1億6,100万ドル)、中国冶金科工集団との10億ドル規模の長期協力、ACREとのコークス設備近代化・石炭化学の展開(6億4,900万ドル)などが含まれる。
参考資料
- Qarmet(公式サイト) ↗
- Kazakh Government Finalizes Deal with ArcelorMittal for $286 Million — The Astana Times(2023年12月) ↗
- 75 крупнейших частных компаний Казахстана — 2025 — Forbes Kazakhstan ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。