解説 · 2026年8月時点
シャバカホイ・インティコリ・バルク(OJSC Shabakahoi Intiqoli Barq、送電網の意)は、タジキスタンの送電系統を運用・保守する国有の送電会社である。垂直統合の電力公社バルキ・トジクを発電・送電・配電の三つに分ける改革の一環として2021年に設立され、株式は政府が100%保有する。
改革の結果、発電と電力の輸出入はバルキ・トジクに残り、送電は当社、配電はシャバカホイ・タクシモティ・バルク(STB)が担う体制になった。ただしゴルノバダフシャン自治州は例外で、同州の発電・送電・配電はパミール・エナジーが受け持つ。
| 正式名 | OJSC Shabakahoi Intiqoli Barq(ҶСК «Шабакаҳои интиқоли барқ»、略称SIB) |
|---|---|
| 設立 | 2021年(バルキ・トジクの分割による) |
| 本社 | タジキスタン・ドゥシャンベ市イスモイリ・ソモニ通り64 |
| 事業 | タジキスタン全土の送電網の運用・保守 |
| 所有形態 | 政府100%(開放型株式会社) |
| 公式サイト | shib.tj |
分割の経緯
バルキ・トジクの再編は、2011年の政府決定第431号「バルキ・トジク再編の個別計画について」に始まり、2018年の決議第234号が送電と配電の別法人化の根拠になった。2019年4月に政府はバルキ・トジクの財務再建行動計画を公表し、同年6月の政府決定第330号で送電資産を新設のシャバカホイ・インティコリ・バルクへ、配電資産を新設のシャバカホイ・タクシモティ・バルクへ移すことが定められた。
2020年に両社の経営陣が任命され、2021年に法人として登記された。国際エネルギー機関(IEA)の2022年のタジキスタン・エネルギー分野レビューは、両社が2021年以降「完全に設立され稼働している」と記している。
改革の次の段階は独立規制機関の設立と新しい料金算定方法の導入である。それまでの間、電力料金は経済開発貿易省傘下の反独占委員会が行政的に決めている。2017年に設けられた料金算定方法は、2025年までに費用回収水準へ段階的に引き上げることを目標としていた。
欧州復興開発銀行の関与
2024年2月21日、欧州復興開発銀行(EBRD)はソグド州の500/220/35キロボルト変電所にある3×167MVAの変圧器を更新する事業を承認した。タジキスタン共和国向けの最大1,020万ユーロのソブリン・ローンを、実施主体である当社に転貸する形をとる。EBRD株主特別基金から最大350万ユーロ、EBRDが運営する持続可能インフラ基金から最大100万ユーロの投資グラントが併せて供与される。
EBRDはこの事業の狙いを、老朽設備の更新と送電損失の削減、送電網の信頼性・安定性の向上に置いている。政策面では、送電網の長期整備計画の策定支援に加えて、送電事業者と系統運用者を単一の独立した組織に統合することへの助言と支援も掲げられている。
EBRDの環境社会デューデリジェンスは、当社について「電力公社の分割から生まれた比較的新しい会社であり、組織能力や環境・社会管理の仕組みは極めて限られている」と評価している。分割から日の浅い会社の実務能力をどう積み上げるかが、この分野の課題として残っている。
参考資料
- Sugd Transmission Grid Upgrade(プロジェクト概要)— 欧州復興開発銀行 ↗
- Tajikistan 2022 — Energy Sector Review(国際エネルギー機関、EU共同出資) ↗
- ҶСК «Шабакаҳои интиқоли барқ»(公式サイト) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。