解説 · 2026年8月時点
シャバカホイ・タクシモティ・バルク(OJSC Shabakahoi Taqsimoti Barq、配電網の意)は、タジキスタンの配電網を運用・保守する国有の配電会社である。垂直統合の電力公社バルキ・トジクを分割する改革により2021年に設立され、ゴルノバダフシャン自治州を除く全土の配電を担う。同州の配電はパミール・エナジーの受け持ちである。
配電は電力改革の成否がもっとも直接に表れる部分である。国際エネルギー機関がタジキスタンの公式統計から算出した送配電損失は2020年の供給量の14.2%、2000〜2020年の平均で15.5%にのぼる。計量と請求の仕組みが古く、回収率が上がらないことが電力部門全体の財務を圧迫してきた。
| 正式名 | OJSC Shabakahoi Taqsimoti Barq(ҶСК «Шабакаҳои тақсимоти барқ»、略称STB) |
|---|---|
| 設立 | 2021年(バルキ・トジクの分割による) |
| 本社 | タジキスタン・ドゥシャンベ市イスモイリ・ソモニ通り64(郵便番号734026) |
| 事業 | ゴルノバダフシャン自治州を除くタジキスタン全土の配電網の運用・保守 |
| 所有形態 | 国有(開放型株式会社) |
| 主な支店 | ボフタル、クロブ、グリストンほか |
| 公式サイト | shtb.tj |
設立の経緯
2011年の政府決定第431号と2018年の決議第234号を根拠に、バルキ・トジクから送電と配電を切り離す作業が進められた。2019年6月の政府決定第330号で配電資産の移管先として当社の設立が決まり、2020年に経営陣が任命され、2021年に法人登記された。発電と電力の輸出入はバルキ・トジクに残っている。
計量・請求システムの更新(EBRD・EU)
2025年、欧州復興開発銀行(EBRD)は当社向けに総額最大4,300万ユーロの資金を組成した。内訳はタジキスタン共和国向けの最大2,800万ユーロのソブリン・ローン(当社へ転貸)と、欧州連合のアジア太平洋投資ファシリティ(APIF)による1,500万ユーロの投資グラントである。
資金はソグド州とハトロン州の9つの都市で、当社のボフタル支店・クロブ支店・グリストン支店が管轄する配電網に自動検針・請求システムを導入することに充てられる。EBRDは、この2州の配電設備が老朽化し、電力損失が大きく請求の仕組みが機能していないことが、同社の財務と効率を損なっていると説明している。事業には配電網のサイバーセキュリティ対策を含むデジタル化支援と、若年層・女性を対象とするグリーンスキル研修も付随する。
当社はこれ以前にもEBRDの「ハトロン電力損失削減」事業の借り手になっており、2025年時点でEBRDの既存顧客である。EBRDはタジキスタンでこれまでに188件、10億ユーロ超を投資したとしている。
残る課題
EBRDの環境社会デューデリジェンスは、当社が国内法規には適合して操業している一方、組織能力が不足し、環境・社会管理の仕組みをさらに強化する必要があると評価している。具体的な論点として、請求と収納の自動化に伴う集金人の削減、スマートメーターと請求の正確性の確保、請求書・顧客対応・機器保守へのアクセスの確保が挙げられている。
参考資料
- Energy Loss Reduction Tajikistan(プロジェクト概要)— 欧州復興開発銀行 ↗
- 「EBRD and EU helping to tackle energy losses in Tajikistan」— 欧州復興開発銀行(2025年) ↗
- Tajikistan 2022 — Energy Sector Review(国際エネルギー機関、EU共同出資) ↗
- ҶСК «Шабакаҳои тақсимоти барқ»(公式サイト) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。