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シュルタン・ガス化学コンプレックス

シュルタン・ガス化学コンプレックスは、ウズベキスタン南部カシュカダリヤ州グザール地区にあるガス化学工場である。2001年に年産12万5,000トンのポリエチレン設備として操業を始め、同国のポリマー生産の中核を担ってきた。天然ガスから商業用ガス、軽質コンデンセート、液化ガス、硫黄を取り出しつつ、エタンからポリエチレンを作る一貫した構成をとる。

Shurtan Gas Chemical Complex

解説 · 2026年8月時点

シュルタン・ガス化学コンプレックスは、ウズベキスタン南部カシュカダリヤ州グザール地区にあるガス化学工場である。2001年に年産12万5,000トンのポリエチレン設備として操業を始め、同国のポリマー生産の中核を担ってきた。天然ガスから商業用ガス、軽質コンデンセート、液化ガス、硫黄を取り出しつつ、エタンからポリエチレンを作る一貫した構成をとる。

隣接地にはウズベキスタンGTL(天然ガスから合成液体燃料を作る工場)が建設され、そこで得られる合成ナフサをさらに深く加工して高付加価値のポリマーを作る計画が長く議論されてきた。しかしこの拡張計画は、着工後に設備の移設と事業主体の変更という大きな転換を経験しており、ウズベキスタンの国有企業改革と民間資本の関係を考えるうえで象徴的な事例になっている。

正式名Shurtan Gas Chemical Complex(シュルタン・ガス化学コンプレックス)
操業開始2001年
所在地カシュカダリヤ州グザール地区
所有ウズベクネフチガス傘下
事業天然ガスの処理とポリエチレンの製造
設計能力ポリエチレン年12万5,000トン。ほかに商業用ガス年42億立方メートル、軽質コンデンセート年13万トン、硫黄年4,000トンなど
拡張計画2017年5月11日付大統領決定で承認。ポリエチレンを年40万5,000トンへ、新たにポリプロピレンを年10万トンまで生産する計画で、事業費は18億3,900万ドル

設備と生産

2001年に稼働した設備の設計能力は、ポリエチレンが年12万5,000トンである。あわせて商業用ガス年42億立方メートル、軽質コンデンセート年13万トン、硫黄年4,000トンなどを産出する。原料はシュルタン・ガス田を含む周辺の天然ガスで、エタンを分離してエチレンにし、重合してポリエチレンとする。

同工場は長らくウズベキスタンで唯一の大規模なポリエチレン供給源であり、国内の樹脂加工業と、輸出の一部を支えてきた。

拡張計画とその転換

2017年5月11日、大統領決定により拡張計画が承認された。ポリエチレンの設計能力を年12万5,000トンから40万5,000トンへ引き上げ、あわせて年10万トンまでのポリプロピレン生産を新設する内容で、原料は隣接するウズベキスタンGTLが生む合成ナフサ年43万トンを深く加工して得るとされた。総括請負者にはエンター・エンジニアリング(シンガポール)が選ばれた。

資金計画は、シュルタン側の特別投資口座5,000万ドル、ウズベキスタン復興開発基金からの国家保証付き融資3億ドルまで、外国銀行からの国家保証付き融資6億5,000万ドルで構成された。2021年9月にはエネルギー省が、ドイツ銀行5億ユーロ、バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行3億ユーロ、ヘラバ(ヘッセン・チューリンゲン州立銀行)3億ユーロの計11億ユーロの融資契約に署名したと発表している。事業費はエネルギー省の説明で18億3,900万ドル(うちウズベクネフチガスの自己資金6億2,900万ドル、外国借入12億1,000万ドル)、回収期間8.5年、内部収益率11.7%とされた。ライセンサー・請負者にはシェブロン・フィリップス(米国)、ラマス・テクノロジー(米国)、ノベロン・テクノロジー(ドイツ)が名を連ねた。

2021年12月、GTL工場の稼働に合わせて、生産能力を3倍にする新設備の建設が始まった。ところが2023年、非公開の大統領決定案により、この新設備の装置一式をブハラ州カラクル地区の自由経済区へ移し、サノアト・エネルゲティカ・グルヒ(サネグ、旧ジザフ・ペトロリアム)が進めるMTO(メタノールからオレフィン)ガス化学コンプレックスと統合する方針が示された。新設の合弁会社アルクケミカルではサネグが60%、ウズベクネフチガスが40%を持つ構成となり、ウズベクネフチガスは計画の主導権を失った。当時のウズベクネフチガス会長メフリッディン・アブドゥラエフ氏は再編と移設に反対したが、変更は実行された。

汚職捜査

2025年1月末、大統領がウズベクネフチガスと国家資産管理庁に対する大規模な検査を指示し、多額の横領が明らかになったと述べた。ウズベクネフチガスの前会長バホディル・シディコフ氏が身柄を拘束されたと報じられている。

2026年6月、検事総長府の経済犯罪対策局は、シュルタンの拡張計画に関連して6,432億スム(約5,370万ドル)の予算資金が横領されたことを突き止めたと発表した。同局によれば、税務委員会とブハラ州税務局の職員、国有のウズベクネフチガス、および複数の企業が共謀し、本来は付加価値税の対象外である5兆3,000億スム(約4億4,280万ドル)相当の役務について電子インボイスに付加価値税を含めさせ、還付請求を不正に作り出したとされる。刑法167条(横領)で刑事事件が立てられ、捜査が続いている。

また2025年には、競争促進委員会がサノアト・エネルゲティカ・グルヒ・エネラに対し、規制当局の事前承認を得ずにアルクケミカルの持分を取得したとして競争法26条違反で3億7,500万スム(約3万1,330ドル)の制裁金を科した。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

シュルタン・ガス化学コンプレックスとは | Caspian Intelligence