解説 · 2026年8月時点
トルクメニスタン国家開発銀行(Döwlet ösüş banky)は、2011年に設立された国有の政策金融機関である。トルクメニスタン中央銀行が公表する信用機関の一覧に、商業銀行や対外経済活動国家銀行と並んで掲載されている。一般の商業銀行と異なり、預金の受け入れや個人向けサービスではなく、国の投資計画を長期の優遇金利で支える役割を担う。
設立の根拠は2011年9月9日付の大統領令PP-5854号である。同行には、安定化基金(Durnuklaşdyryş gaznasy)の資金によって実施される投資案件について、国の金融代理人として、所有形態を問わない企業と民間の事業者に対し、生産の拡大・近代化・新規雇用の創出にかかわる案件へ長期の優遇融資を行う任務が課されている。
| 正式名 | Türkmenistanyň Döwlet ösüş banky(State Development Bank of Turkmenistan) |
|---|---|
| 設立 | 2011年9月9日付の大統領令PP-5854号 |
| 本店 | トルクメニスタン・アシガバット市、トルクメニスタンの英雄アタムラト・ヌイヤゾフ大通り143 |
| 銀行識別コード | BIC 390101739 |
| 所有形態 | 国有 |
| 役割 | 安定化基金の資金を原資とする投資案件について、国の金融代理人として長期の優遇融資を実行する |
| 融資先 | 所有形態を問わない企業および民間の事業者 |
| 財務 | 総資産・貸出残高・利益は公表されていない |
設立と位置づけ
同行は2011年9月9日付の大統領令PP-5854号によって設立された。中央銀行の信用機関一覧では、対外経済活動国家銀行、ダイハンバンク、トルクメニスタン銀行、トルクメンバシ銀行、ハルクバンク、セナガト銀行、ルスガル銀行、トルクメン・トルコ銀行と並んで掲載されている。銀行識別コードはBIC 390101739、本店はアシガバット市のアタムラト・ヌイヤゾフ大通り143番地である。
同行の資金の出どころは安定化基金である。トルクメニスタンでは炭化水素の輸出収入の一部がこの基金に積み立てられ、大型のインフラ・産業投資に振り向けられる仕組みになっている。国家開発銀行は、その資金を個別の事業者に届ける窓口として設けられた。
主な融資実績
同行が自ら挙げる融資実績には、次のようなものがある。アシガバット市の10ýyl Abadanlyk大通り沿いの高層住宅群の建設に対する長期優遇融資は、エネルギー・産業省、建設省、農業省、産業省、トルクメンアウトヨラル国家コンツェルン、国家スポーツ委員会、アシガバット市庁が発注した事業に対して行われた。
農業関連では、食料自給の確保を掲げた大統領決定に沿って、トルクメンガラオヌムレリ協会がアハル、バルカン、ダショグズ、レバプ、マルの各州に建設する穀物加工複合体に対して、長期の優遇条件で融資が行われた。
保健分野では、保健・医薬産業省が建設する歯科治療センターと輸液製剤工場に対して長期優遇融資が実行された。観光・保養分野では、カスピ海沿岸のアワザ国家観光地区における施設群と、近代的な設備を備えた保養・療養施設の建設に対して、国会事務局、国家観光委員会、労働組合全国中央、文化省、アシガバット市および5州の行政庁、外務省を借り手として融資が行われている。
繊維産業では、繊維産業省に対して、アハル州の繊維複合体と染色工場の建設、綿紡績工場の第1期の建設、レバプ州の綿紡績工場の設備更新、ダショグズ州の案件などに融資が行われた。トルクメニスタンでは繊維が綿花に次ぐ主要な輸出品目であり、これらの案件は原綿を加工品に転換する政策の一部にあたる。
公表情報の限界
同行は総資産、貸出残高、自己資本、利益といった財務情報を公表していない。監査済みの財務諸表も公表の対象になっていない。公式サイトから確認できるのは設立の根拠、任務、代表的な融資案件の分野にとどまる。
したがって、同行の融資規模や資産の健全性を外部から評価することはできない。トルクメニスタンの銀行部門では、トルクメン・トルコ銀行のように国際財務報告基準に基づく監査済み財務諸表を公表している例もあるが、国家開発銀行はその中に含まれていない。
参考資料
- Biz barada — Türkmenistanyň Döwlet ösüş banky(公式サイト) ↗
- Türkmenistanyň karz edaralary — Türkmenistanyň Merkezi Banky(トルクメニスタン中央銀行の信用機関一覧) ↗
- Turkmenistan's banks — Central Bank of Turkmenistan(英語版の一覧) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。