解説 · 2026年8月時点
タジキスタン鉄道(ロヒ・オハニ・トジキストン)は、タジキスタンの鉄道を運営する国有単一企業である。軌間1,520ミリメートルの広軌で、全線が非電化のディーゼル運転である。運輸省によれば、2025年上半期の国際貨物輸送のおよそ70%が鉄道によるものだった。内陸国であるタジキスタンにとって、鉄道は輸出入の生命線である。
この鉄道の最大の特徴は、国内の路線網が一つにつながっていないことである。南部・中部の路線と北部ソグド州の路線は互いに直接つながっておらず、いずれもウズベキスタン領内の路線を経由しなければ行き来できない。ソ連時代に中央アジア全体を一つの網として設計した名残であり、隣国との関係が輸送に直接響く構造になっている。
| 正式名 | State Unitary Enterprise "Rohi Ohani Tojikiston"(ГУП «Рохи охани Точикистон»、タジキスタン鉄道) |
|---|---|
| 所有形態 | 国有単一企業 |
| 本社 | タジキスタン・ドゥシャンベ市アカデミク・M・ナザルショエフ通り35 |
| 営業キロ | 公共鉄道977.6キロメートル(2016年)。同社の路線延長は936.9キロメートル、営業延長597.7キロメートル |
| 軌間 | 1,520ミリメートル(広軌) |
| 動力 | 全区間で非電化。100%ディーゼル機関車による牽引 |
| 保有車両 | 貨車2,068両、客車424両、ディーゼル機関車54両(2016年) |
| 貨物輸送 | 612万5,600トン、輸送量3億1,690万トンキロ(2015年) |
| 旅客輸送 | 42万4,800人、1,600万人キロ(2015年) |
| 公式サイト | railway.tj |
路線網
南部・中部の路線はクロブ―ボフタル(旧クルガンチュベ)―ヤヴォン―ヴァフダト―ドゥシャンベ第1―パフタオボドで、ボフタルからシャフルトゥズへの支線を持つ。パフタオボド駅からウズベキスタン鉄道のテルメズ管理局につながる。
北部のソグド州の路線はスピタメン―イスティクロルで、コニボドム―イスファラ―シュラブの支線がある。イスティクロル駅からフェルガナ管理局、スピタメン駅からハヴァスト管理局へつながる。
同社が公表する内訳では、路線の総延長は936.9キロメートル、本線の展開延長650.9キロメートル、駅構内線218キロメートル、専用線67.2キロメートル、営業延長597.7キロメートルである。運輸省は2025年7月時点で、引き込み線や技術線を含めた総延長が980キロメートルを超えると説明している。
歴史
現在のタジキスタンの領域にできた最初の鉄道は、1897年に敷かれたウルサチエフスカヤ―アンディジャン線で、北部を通ってホジェント(現ホジャンド)をロシア帝国の鉄道網に結んだ。1907年には石炭輸送を目的としたスリュクタ狭軌鉄道の第1期が完成した。
1926〜1930年にテルメズ―ドゥシャンベ―ヤンギバザール(現ヴァフダト)が開通し、1938年に北部でコニボドム―シュラブ支線が敷かれた。1930年代に南部でドゥシャンベ―下部ピャンジの狭軌鉄道、1950年にクルガンチュベ―クロブの狭軌鉄道が造られたが、いずれも1990年代に廃止・撤去された。1960〜70年代にはテルメズ―クルガンチュベ―ヤヴォンの新線が開通している。
独立後に建設された最初の鉄道は1999年開通のクルガンチュベ―クロブ線で、2001年には同区間の132キロメートルが供用された。2009年3月に着工したヴァフダト―ヤヴォン線(40.6キロメートル)は2016年8月24日に開業し、南部と中部の路線がつながった。同社はこれを「国内鉄道網の誕生」と位置づけている。
設備と車両
1995年にマフラムの農業機械工場が貨車修理工場へ転換され、2003年9月9日には国産初のコンクリート枕木工場が稼働した。2006年にはあらゆる修理に対応するサルバンド貨車車両基地が完成している。イスティクロル、ホジャンド、ホナカ、ジャロリディニ・ルミの各駅では駅舎が新築された。
車両は2005〜2013年に貨車893両(有蓋車299両、無蓋車588両、平台車6両)を調達した。2012年にTE33A形本線用機関車4両、2013年にTE18DM形入換機関車3両、2012年に客車15両(コンパートメント車3両、開放寝台車11両、食堂車1両)を購入している。2016年時点の保有車両は貨車2,068両、客車424両、ディーゼル機関車54両である。
電化構想
2025年7月23日、アジム・イブロヒム運輸相はドゥシャンベでの記者会見で、同社がヴァフダト―パフタオボド線の電化に向けた事前作業を進めていると述べた。電化により資源利用が効率化して費用が下がり、輸送の利便性も上がるという説明である。ドゥシャンベ―パフタオボド間は62キロメートルで、ドゥシャンベ第1駅とパフタオボドを毎日1往復する通勤列車が中間15駅に停車しながら約1時間で結んでいる。
あわせて、コニボドム―ベコボド(ウズベキスタン)間の電化も検討課題に挙がっている。2021年には両国の鉄道会社がベコボド―コニボドム―コーカンド間204キロメートルの送電線建設に関する協定を結ぶ計画が伝えられ、専門家による事前作業は始まったものの、協定はまだ署名されていない。この区間の電化はソ連時代に3段階(タシケント―ベコボド、ベコボド―コニボドム、コニボドム―コーカンド)で計画されていたものである。
旅客輸送
長距離の旅客列車はドゥシャンベ―モスクワ、クロブ―モスクワ、ホジャンド―モスクワ、ホジャンド―サラトフの各列車である。国内・近距離ではドゥシャンベ―コニボドム、クルガンチュベ―コニボドムが運行され、2016年のヴァフダト―ヤヴォン線開業に伴ってドゥシャンベ―クロブ(602/601列車)、ドゥシャンベ―シャフルトゥズ(604/603列車)が加わった。ホジャンド―サラトフ、ドゥシャンベ―コニボドム、クルガンチュベ―コニボドムは季節運行である。
参考資料
- 「О компании」— ГУП «Рохи охани Точикистон»(公式サイト、路線・車両の諸元) ↗
- 「Развитие」— ГУП «Рохи охани Точикистон»(公式サイト、輸送実績と設備投資の年表) ↗
- 「История железных дорог Таджикистана」— ГУП «Рохи охани Точикистон»(公式サイト) ↗
- 「Tajikistan plans to electrify the country's railways」— Asia-Plus(2025年7月24日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。