解説 · 2026年8月時点
タルコ(TALCO、タジク・アルミニウム・カンパニー)は、タジキスタン最大の工業企業であり、中央アジアで唯一のアルミ製錬所である。首都ドゥシャンベの西、ウズベキスタン国境に近いトゥルスンゾダに立地する。アルミはこの国の最大の輸出品目であり、同社1社の稼働状況が国全体の工業生産と輸出額を左右する。株式は100%を国が保有する。
| 正式名 | OJSC «Tajik Aluminium Company»(TALCO) |
|---|---|
| 旧称 | タジク・アルミニウム工場(TadAZ)。2007年に現社名へ |
| 建設着工・操業開始 | 1965年3月31日着工、1975年3月31日に最初のアルミ鋳造 |
| 所在地 | タジキスタン・トゥルスンゾダ(敷地340ヘクタール) |
| 設計能力 | アルミ年産51万7,000トン、焼成アノード年産36万トン |
| 生産量 | 8万2,200トン(2024年、産業・新技術省の発表) |
| 所有形態 | 2019年11月1日に公開株式会社へ改組。株式の100%を国が保有 |
| 輸出先 | トルコ、ウズベキスタン、日本、中国、西欧、米国など |
ソ連期に建てられた製錬所
建設は1965年3月に始まり、1975年3月31日に最初のアルミが鋳造された。ソ連が中央アジアの水力発電の余剰電力を使うために配置した重電力消費型の工場で、電解棟12、鋳造工場2、焼成アノード工場3を敷地340ヘクタールに持つ。設計能力はアルミ年産51万7,000トンで、これは旧ソ連圏でも最大級である。
2007年に「タジク・アルミニウム工場(TadAZ)」から現在の社名へ改称し、2019年11月1日には国有単一企業から公開株式会社(OJSC)へ改組した。株式は全額を国が保有しており、上場はしていない。
設計能力と実際の生産量の開き
設計能力51万7,000トンに対し、実際の生産量は2024年で8万2,200トンにとどまる(産業・新技術省の発表)。稼働率が2割に満たないのは、電力供給の制約と、原料であるアルミナを国内で産出できないことによる。タジキスタンにボーキサイト鉱山は無く、アルミナは輸入に頼るため、原料を持ち込んで加工賃だけを受け取るトーリング(委託加工)の形をとってきた。この構造は、同社の収益を国際市況と加工賃の水準に強く縛りつける。
産業・新技術省は2025年の国全体の一次アルミ生産計画を10万8,000トンとし、2024年実績の8万6,000トンから25.6%増やす方針を示した。近年の増産局面は、中国企業との協力による設備更新の見通しと結びついて語られている。2024年5月には中国とタジキスタンの間で同社の近代化を含む協力文書が署名された。
タルコ・グループへの多角化
同社は輸入代替を掲げ、アルミ以外の事業へ広がっている。タルコ・ケミカルでは自社の冶金研究所が開発した技術で水処理用凝集剤を工業生産し、ドゥシャンベの水道事業体が主な需要家となっている。2013年3月の政府決定により、ソグド州アイニ地区のフォン・ヤグノブ炭田の2区画(ジジクルトとコンテ)で高品位炭の開発を担う会社が設けられた。
2020年にはアイニ地区のカズノク鉱床に選鉱工場が稼働した。原鉱の処理能力は年15万トン、純度97%の蛍石精鉱の生産量は年4万トンとされる。本社機能はトゥルスンゾダの工場のほか、ドゥシャンベのビジネスセンターにも置かれている。
参考資料
- About us — TALCO(公式サイト) ↗
- TALCO Group — TALCO(公式サイト) ↗
- Tajikistan could boost aluminum output 26% in 2025 — Interfax(2025年2月10日、産業・新技術省の発表として) ↗
- Tajik authorities sign deal to modernize the aluminum smelter — Asia-Plus(2024年5月21日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。