解説 · 2026年8月時点
チーム・ホールディング(Team Holding CJSC)は、アルメニアの複合企業グループ「チーム」の持株会社である。2021年にハイク・エサヤン、アレクサンドル・エサヤンの兄弟が設立し、通信、IT、決済、物流・電子商取引、エネルギー、建設、ホテル、ワイン製造にわたる10社超を束ねる。中核はアルメニアで最も古い通信事業者を引き継いだチーム・テレコム・アルメニアである。
アルメニアの通信・IT分野は、外資が保有していた資産が2020年前後に相次いで現地資本へ移った領域で、チーム・グループはその転換を象徴する存在にあたる。2026年には持株会社自身が社債を発行して証券取引所に上場し、グループ全体として資本市場から資金を調達する段階に入った。
| 正式名 | Team Holding CJSC |
|---|---|
| 設立 | 2021年 |
| 創業者 | ハイク・エサヤン、アレクサンドル・エサヤンの兄弟 |
| 本拠 | アルメニア・エレバン |
| 事業 | 通信、IT・システム構築、フィンテック、物流・電子商取引、エネルギー、建設、ホテル、ワイン製造などを手がける子会社群の持株会社 |
| グループ規模 | 10社超、7分野以上、4か国で事業(2026年2月、アルメニア証券取引所上場時の説明) |
| 社債プログラム | 総額3,150万ドル+14億ドラム。目論見書はアルメニア中央銀行が2025年11月19日付決定1/417Aで登録 |
| 上場 | 社債をアルメニア証券取引所(AMX)に上場(2026年2月) |
沿革
起点は2020年10月29日、VEONグループとTEAM LLCの間で、VEONアルメニアCJSCをTEAM LLCへ譲渡する合意が結ばれたことである。VEONアルメニアはソ連期のアルメンテルを引き継いだ国内最古の通信事業者で、2006年以降はVEON(旧ヴィンペルコム)傘下、2008年からはビーラインのブランドで営業していた。同年12月に社名をテレコム・アルメニアCJSCへ改め、ビーラインのブランドは合意に沿って2022年4月まで使われ、その後チーム・テレコム・アルメニアへ切り替わった。
エサヤン兄弟はもともと、アルメニアの通信事業者ユーコム(Ucom)の創業者として知られる。テレコム・アルメニアの取得後、通信を軸に周辺分野へ会社を増やし、2021年に持株会社としてチーム・ホールディングを設立した。2025年にはグループの子会社チーム・テレコム・アルメニアがアルメニア証券取引所に上場し、通信・技術分野の企業が資本市場に入る先例をつくった。
グループの構成
グループには、チーム・テレコム・アルメニア(通信)、チーム・ペイ(決済)、チーム・システムズ(通信・電子機器の卸売とエンジニアリング)、チーム・ソリューションズ(ソフトウェア開発・システム構築)、Buy.am(電子商取引)、グランド・ホテル・エレバン、TMW、ノーザン・テロワール(ワイン)、チーム・コンストラクト(建設・設計)、チーム・ロジスティクス(物流)、サービスハブ(顧客対応の受託)が含まれる。国外では、ジョージアのスカイテル(SkyTel)とアイルランドのイマジン(Imagine)がグループに属する。
2025年の活動としては、5Gの提供をエレバン、ギュムリ、ヴァナゾルの3都市へ広げたこと、25Gb/s級の次世代ネットワーク(NGN)の敷設を進めて約41万世帯が利用可能になったこと、ゲガルクニク地方で年間発電量1,600万キロワット時の太陽光発電所を稼働させてエネルギー分野に参入したこと、チーム・エナジーの電気自動車用充電設備が200基を超えたことが公表されている。また、アルメニアで進む5億ドル規模のAIファクトリー計画に、建設と通信インフラの両面で関与しているとしている。
社債発行と資本市場
2025年11月19日、アルメニア中央銀行が同社の社債プログラムの目論見書を登録した(決定1/417A)。プログラムの総額は3,150万ドルと14億ドラムである。第1回の募集は2025年12月3日から29日にかけてフリーダム・ファイナンス・アルメニア(フリーダム・ブローカー・アルメニア)を引受会社として実施され、当初予定の2026年3月3日を待たずに完売した。
第1回で発行されたのは、額面100ドル・利率9%・期間48か月のドル建て債900万ドル(9万本)と、額面10万ドラム・利率12%・期間48か月のドラム建て債14億ドラム(1万4,000本)である。これらは2026年2月にアルメニア証券取引所の債券リストへ加えられた。その後、額面総額1,250万ドル・利率8.65%・期間48か月の第3回(最終回)募集が実施されている。
調達資金の用途は、インフラ整備、新しい技術の導入、進行中の事業の資金調達効率の改善と説明されている。アルメニアの資本市場は規模が小さく、企業の資金調達は銀行融資に偏ってきた。企業グループの持株会社そのものが社債で調達する例は多くなく、取引所側もこれを市場拡大の一歩と位置づけている。
参考資料
- From “ArmenTel” to “Team Telecom Armenia”(Team Telecom Armenia公式サイト、2020年12月3日) ↗
- “Team Holding” CJSC’s bonds listed on Armenia Stock Exchange(ArmBanks/ARKA、2026年2月17日) ↗
- Team Holding Announces Launch of Third and Final Placement Phase of USD Bonds(Hetq、2026年) ↗
- Team Group of Companies Summarizes Achievements for 2025(Radar Armenia、2025年12月30日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。