解説 · 2026年8月時点
ウズム(Uzum)は、ウズベキスタンのEC・フィンテック企業である。2022年の創業からわずか2年でウズベキスタン初のユニコーン企業となり、ECモール、デジタル銀行、分割払い、フードデリバリーを一つのアプリにまとめた「デジタル・エコシステム」を掲げる。中央アジアで最も人口が多く、平均年齢が若いこの国で、市場が現金と伝統的なバザールから一気にデジタル決済へ移る過程をそのまま企業価値に変えてきた会社であり、地域のスタートアップとしては突出した規模に達している。
| 正式名 | Uzum |
|---|---|
| 創業 | 2022年 |
| 本拠 | ウズベキスタン・タシケント |
| 事業 | ECモール(ウズム・マーケット)、デジタル銀行(ウズム・バンク)、分割払い(ウズム・ナシヤ)、フードデリバリー(ウズム・テズコル) |
| 売上高 | 6億9,100万ドル(2025年通期、前年は5億500万ドル) |
| 純利益 | 1億7,600万ドル(2025年通期、前年は1億5,000万ドル) |
| 流通総額 | ECのGMVは5億ドル(2025年)。決済総額は約110億ドル |
| 利用者 | 約2,000万人。国内の成人人口の半分を超える |
| 評価額 | 23億ドル(2026年3月の資金調達時) |
| 主な出資者 | テンセント、VRキャピタル、フィンサイト・ベンチャーズ、オマーンの政府系ファンド |
沿革と資金調達
2022年、ECモール「ウズム・マーケット」として事業を始めた。決済と与信を自前で持つ必要から金融業へ広がり、デジタル銀行のウズム・バンク、分割払いのウズム・ナシヤ、フードデリバリーのウズム・テズコルを相次いで立ち上げた。2024年3月にウズベキスタン初のユニコーン企業となった。
2025年8月には中国のテンセントとVRキャピタルが主導する6,550万ドルの調達で評価額15億ドルに達し、2026年3月にはオマーンの政府系ファンドが主導する1億3,150万ドル(うち8,150万ドルが株式、5,000万ドルが次回ラウンドに連動する転換証券)の調達で評価額23億ドルとなった。2026年後半には2億5,000万〜3億ドル規模のプレIPO調達を視野に入れているとされる。傘下のウズム・サルモヤは、共和国証券取引所「トシケント」に社債を上場している。
事業構成
ECのウズム・マーケットには1万7,000社を超える国内の出店事業者が並び、1億点超の商品を扱う。全国450以上の都市・町に1,500か所の受取拠点を持ち、都市部以外への配送網が競争力の源になっている。2025年の流通総額(GMV)は5億ドルで前年の1.5倍、創業から3年でEBITDA黒字に達したと同社は説明する。
収益の伸びが最も速いのは金融事業である。2025年に発行したカードは400万枚を超え、フィンテック全体の取扱高は12億ドルと前年のほぼ3倍になった。エコシステム全体の決済総額は約110億ドルに達している。傘下のカピタルバンクは融資残高31億ドル、預金37億ドルを抱え、非国有銀行としては国内最大級の規模である。
投資家から見た位置づけ
ウズベキスタンの小売はいまなおバザールと現金取引の比重が高く、オンライン小売と銀行サービスの浸透率は低い。ウズムの経営陣は、この国の小売が先進国のような実店舗チェーンの段階を経ずに、バザールから直接デジタル商取引へ跳ぶ可能性があると説明している。同社の成長率が海外投資家を引きつけているのは、この「飛び越え」が起きるかどうかへの賭けという側面が大きい。
中央アジアのテック企業として、国外の政府系ファンドと中国の大手テック企業が同じラウンドに並ぶ例は珍しい。ウズムの資金調達は、この地域のデジタル経済に対する外部資本の関心を測る指標として読める。
参考資料
- Uzum Reports Strong 2025 Results as Investments Fuel Sustained Growth Across Fintech and E-Commerce(公式、2026年) ↗
- Uzbekistan's Uzum valuation leaps over 50% in 7 months to $2.3B — TechCrunch(2026年3月10日) ↗
- Uzum(公式サイト・プレスセンター) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。