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バルクチ〜コチコル〜カラケチェ鉄道とは

キルギスが自国の資金と人員だけで建設する国内新線について、2026年7月に開通した第1期バルクチ〜コチコル、カラケチェ炭鉱の石炭輸送という目的、マクマルでCKU鉄道に接続して南北をつなぐ構想を整理する。

バルクチ〜コチコル〜カラケチェ鉄道は、キルギスが自国で建設している全長186キロメートルの新線である。イシククル湖の西端にあるバルクチ駅から南へ向かい、ナルイン州のコチコルを経て、カラケチェ褐炭鉱に至る。第1期にあたるバルクチ〜コチコル間63.4キロメートルが2026年7月25日に開通した。

この路線には二つの顔がある。一つは、山中の炭鉱からビシケクへ石炭を運ぶ産業鉄道としての顔である。もう一つは、南北に分断されたキルギスの鉄道網を初めて一本につなぐ幹線の第1期としての顔で、その先には中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道(CKU鉄道)との接続点であるマクマルがある。開通式でジャパロフ大統領が国際回廊との統合に触れ、キルギス鉄道のサキエフ総裁が「バルクチ〜マクマル鉄道の第1段階」と呼んだのは、この二つ目の顔のことである。

路線イシククル湖西端のバルクチから、ナルイン州コチコルを経てカラケチェ褐炭鉱へ至る新線
全長186キロメートル
第1期バルクチ〜コチコル間63.4キロメートル
根拠2022年2月28日の閣僚会議決定第100号。キルギス鉄道が自社の資金と人員で建設することを定めた
着工2022年3月31日、バルクチでジャパロフ大統領が起工を宣言
開通2026年7月25日、コチコルで開通式
事業主体国営企業「国家会社キルギス・テミル・ジョル」(キルギス鉄道)。外国からの投資は入れていない
軌間1,520ミリ(旧ソ連規格)。非電化
第1期の建設費見積もり94億7,200万ソム(2022年の政府文書による概算)
延伸計画コチコルからカラケチェを経てマクマルの積み替え駅まで。マクマルで中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道(CKU鉄道)に接続する構想

78年ぶりの新線

キルギスで最後に新しい鉄道が引かれたのは、ソ連期のことである。キルギス鉄道の説明によれば、1948年のバルクチ駅(当時の名はルイバチエ)の開設を最後に、78年間にわたって新線は1本も建設されなかった。ブィストロフカからルイバチエまでの区間について、2022年の政府文書は恒久運用の開始を1950年としており、年の取り方には差があるが、いずれにせよ半世紀を超える空白である。

その間、キルギスの鉄道網は本線424.6キロメートルのまま推移した。しかもこの路線は国内で一本につながっておらず、首都ビシケクを含む北部区間323.4キロメートルと、フェルガナ盆地に面した南部区間101.2キロメートルに分かれている。北部はカザフスタン側へ、南部はウズベキスタン側へ抜けるだけである。北部の幹線トゥルクシブ〜バルクチ間は営業延長321.5キロメートルのうち60.3キロメートルがカザフスタン領内を通る。

バルクチはその北部区間の終点だった。今回の新線は、その終点から先へ延ばす形で建設されている。

なぜ引いたのか — カラケチェの石炭

直接の目的は石炭である。ナルイン州のカラケチェ褐炭鉱で採れる石炭は、ビシケクの熱電併給所と市民の暖房用に使われる。2022年の政府文書によれば、この石炭は毎年およそ70万トンがトラックでバルクチ駅まで運ばれ、そこから鉄道でビシケクなど北部各地へ送られていた。

トラック輸送には二つの問題があった。輸送費が石炭の価格に上乗せされること、そして道路の舗装を傷めることである。政府文書は、長期で見ればトラック輸送のほうが鉄道より高くつくと結論づけている。イシククル湖畔で積み替える際に舞う粉じんも問題とされた。鉄道を炭鉱まで延ばせば、この積み替えとトラック区間をまとめて省ける。

2022年2月28日の閣僚会議決定第100号は、この計画を「バルクチ〜コチコル〜カラケチェ鉄道(186キロ)」として位置づけ、キルギス鉄道が自社の力で建設することを定めた。同じ文書は、第1期にあたるバルクチ〜コチコル間の建設費を94億7,200万ソムと概算している。

第1期の工事

着工は2022年3月31日、バルクチでジャパロフ大統領が起工を宣言した。工事は段階を追って進み、湿地帯、山麓、谷、山腹という変化の大きい地形を通った。

キルギス鉄道の説明によれば、最初の5キロメートルが最大の難所だった。軟弱な地盤を全面的に入れ替え、地下水を抜く排水設備を新設している。その先でも湿地が続き、路盤の構築に同社として初めてジオグリッドを使った。路線の全長にわたって高圧送電線の支柱と光ファイバー回線を移設し、多数の排水構造物と踏切を設けた。山岳部では発破を行って路盤を切り開いている。

ボズバルマク山の付近では、工事中に紀元前2千年紀のスキタイ・サカ期の古墳が見つかり、対応が必要になった。

終点のコチコル駅には、石炭ヤード、屋根付きの貨物倉庫、コンテナヤードが整備された。列車の運行と安全を管理するマイクロプロセッサ連動装置も導入されている。起点のバルクチ駅は1987年に建てられた2階建ての建物で、2022年に改修された。40人を超える職員が昼夜交代で勤務している。

2026年7月25日、コチコル村で開通式が開かれた。ジャパロフ大統領は自ら機関車を運転して式典会場に到着し、専用の工具で最後の犬釘を締めた。8月4日には、キルギス鉄道で工事関係者への表彰式が行われている。

マクマルとCKU鉄道 — 南北をつなぐという意味

この路線の意味は、石炭だけでは説明しきれない。キルギス鉄道は、コチコルからカラケチェを経て、さらにマクマルの積み替え駅まで延伸する計画を掲げている。カラケチェまでの残りは、全長186キロメートルから第1期の63.4キロメートルを引いた約123キロメートルにあたる。マクマルまでつながれば、国内で分断されていた北部区間と南部区間が初めて一本になる。

マクマルという地名が出てくるのは、そこがCKU鉄道の軌間の切り替え点になるためである。中国側の標準軌1,435ミリは中国国境のトルガルト峠からマクマルまで敷かれ、マクマルに積み替え駅を置いて、そこから先は旧ソ連規格の1,520ミリになる方針が示されている。つまりマクマルは、国際回廊にとっては技術上の接点であり、キルギス国内網にとっては南北をつなぐ線の終点でもある。同じ一点で二つの計画が出会うように設計されている。

CKU鉄道は中国・カシュガルからキルギスを越えてウズベキスタン・アンディジャンへ至る新線で、2024年12月27日に着工した。事業主体はビシケクに設立された合弁会社で、出資比率は中国51%、キルギス24.5%、ウズベキスタン24.5%である。キルギス側の出資者はキルギス鉄道であり、国内新線とCKU鉄道の両方に同じ事業者が当事者として関わっている。

自前で作るという選択

この事業でもう一つ特徴的なのは、資金の出どころである。キルギス鉄道は、独立後のキルギスで初めて、外国からの投資を入れずに新しい鉄道を建設することが決まった事例だと説明している。設計はキルギスの技術者が行い、施工もキルギスの建設業者が担った。

CKU鉄道と比べると対照がはっきりする。CKU鉄道では2025年12月16日、中国輸出入銀行と国家開発銀行から成る銀行団と合弁会社の間で23億ドルの融資が調印され、施工は中国鉄路国際のキルギス支店がEPC請負者として担っている。国内新線のほうは対外債務を増やさない代わりに、費用と工期が国内の予算と会社の体力に直接左右される。

キルギス鉄道は近年、輸送量を伸ばしている。同社の発表によれば、長く年700万トン前後で頭打ちだった貨物輸送量は、2024年に920万トン、2025年に1,000万トン超と伸びている。ただし同社は国営企業であり、監査済みの財務諸表を公表していない。新線の実際の投資額や、開通後の輸送実績も2026年8月時点では公表されていない。

周辺で動いているもの

イシククル湖の北岸でも新線の建設が始まっている。バルクチ〜タムチ〜チョルポンアタ線(約86キロメートル)は2026年6月14日にジャパロフ大統領が起工した。2030年までの国家開発計画に位置づけられた事業で、バルクチ〜タムチとタムチ〜チョルポンアタの2段階に分けて建設し、将来は湖を一周する環状線にする構想が示されている。この区間については2025年8月14日、第7回キルギス・ロシア経済フォーラムの場で、キルギス鉄道とユーラシア開発銀行(EDB)が予備的な実現可能性調査に関する技術支援契約を結んだ。EDBの技術支援基金からの供与で、複数の実施案の比較、最適な建設方式の決定、財務経済モデルの作成、資金調達に関する提言までを行う。

つまりバルクチ駅は、南のコチコル・カラケチェ方面と、東の湖岸方面という二つの新線の分岐点になりつつある。

読むときの注意

第一に、コチコル以遠の区間には公表された工期がない。カラケチェまで、そしてマクマルまでいつつながるかは2026年8月時点で示されていない。第1期の開通は186キロメートルのうち63.4キロメートルにとどまる。

第二に、費用の数字は2022年の政府文書の概算である。実際にいくらかかったかは公表されていない。同じく、新線でどれだけの石炭を運ぶかという開通後の目標値も公表されていない。

第三に、路線の長さの数え方に幅がある。政府文書と同社の発表では第1期を「63キロ」と「63.4キロ」の両方で記している。開通式の日付も、式典が7月25日、同社の発表が7月28日付である点に注意が要る。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。

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