解説 · 2026年8月時点
中国国家移民管理局は、中国の出入国管理と国境検査を所管する官庁である。2018年4月2日に設置され、公安部が管理する国家局として、全国の出入国国境検査機関と国境管理機関を統括し、各省・自治区・直轄市の公安機関における出入国管理業務を指導する。
中央アジア・コーカサス各国との関係で重要なのは、この機関がビザ免除・トランジット免除の適用国を決定・公告することである。中央アジア諸国の国民が中国へ入国する条件は、同局の公告によって変わる。人の往来は貿易・投資と直結するため、経済の観点からも追う価値がある。
| 正式名 | National Immigration Administration(NIA、国家移民管理局/中華人民共和国出入国管理局) |
|---|---|
| 設置 | 2018年4月2日 |
| 位置づけ | 公安部が管理する国家局。副部級 |
| 局長 | 王志忠(公安部党委員会委員・副部長を兼務、2026年8月時点) |
| 内部部局 | 総合司(移民事務国際協力司)、政策法規司、外国人管理司、公民出入国管理司、辺防検査管理司、情報科技司、幹部人事司、後勤保障司の8司 |
| 直属機関 | 出入国管理情報技術研究所、移民事務サービスセンター、警務保障センター |
| 所在地 | 北京市東長安街14号 |
| 言語 | 中国語・英語・ロシア語・フランス語・スペイン語・アラビア語 |
組織
同局は「中華人民共和国出入国管理局」の名称も併せ持つ。公安部が管理する国家局で、格付けは副部級である。全国の出入国国境検査機関と国境管理機関の各種業務を統括・管理し、省・自治区・直轄市の公安機関の出入国管理部門の業務を指導する。
内部には8つの司が置かれている。総合司(移民事務国際協力司を兼ねる)、政策法規司、外国人管理司、公民出入国管理司、辺防検査管理司、情報科技司、幹部人事司、後勤保障司である。直属の事業単位として、出入国管理情報技術研究所、移民事務サービスセンター、警務保障センターの3つがある。
2026年8月時点の幹部は、公安部党委員会委員・副部長を兼ねる局長の王志忠、副局長の劉海涛、毛旭、仇保利、池景陽である。
公表しているもの
同局は中国語のほか、英語、ロシア語、フランス語、スペイン語、アラビア語のサイトを運営している。公表の柱は、ニュース、政府情報公開、記者会見、サービス案内、法令、政策解説、公告、統計である。
統計の欄には、四半期ごとおよび大型連休ごとの出入国者数が掲載される。2026年8月時点で掲載されていたものには、2026年上半期の出入国延べ人数が3億6,900万人で過去最高となったこと(2026年7月13日)、2026年第1四半期が1億8,500万人で前年比13.5%増だったこと(2026年4月13日)、2025年の出入国者数が過去最高で7億人に迫ったこと(2026年1月30日)などがある。
法令の欄には、出入国管理法(中華人民共和国出境入境管理法)、国籍法、外国人の入国・滞在に関する条例などが英語で掲載されている。公告の欄には、ビザ免除・トランジット免除の適用国の追加、電子的な入国カードの導入、特定の空港での国境検査の試行といった実務上の変更が載る。
政策解説の欄では、一方的なビザ免除の対象国一覧、外国人の宿泊登録のオンライン手続き、入国カードのオンライン提出方法などが説明されている。移民サービスの電話相談窓口12367も運営している。
記者会見の欄では、制度変更の背景や運用の考え方が説明される。政府情報公開の欄には、公開の指針、制度、法定の公開事項、年次報告、申請による公開の手続きが置かれている。
設置の背景
同局が設けられたのは2018年4月2日である。それ以前、出入国管理は公安部の出入国管理局と国境検査機関に分かれており、外国人の在留管理、国境検査、国籍事務が別々に扱われていた。国家移民管理局の設置により、これらが一つの機関のもとに統合された。
名称に「移民管理」を掲げているとおり、所掌には出入国の検査だけでなく、外国人の在留管理、国籍に関する事務、移民問題の国際協力が含まれる。総合司が移民事務国際協力司を兼ねているのはそのためである。
同局は移民事務サービスセンターを直属の事業単位として持ち、外国人向けの手続きの実務を担わせている。
中央アジアとの関わり
2026年8月20日、同局はキルギスとベトナムの国民を240時間(10日間)のトランジット・ビザ免除および海南省の30日間ビザ免除入国の対象に加えると公告し、同日から適用した。これにより240時間トランジット・ビザ免除の対象は57か国、海南省の30日間ビザ免除の対象は61か国になったと同局は説明している。
この制度では、両国の普通旅券保持者が、第三国・地域行きの日付と行程が確定した通し航空券を持っていれば、北京・上海を含む65か所の開放口岸から査証なしで入国し、指定区域内に240時間まで滞在できる。海南省については、普通旅券保持者が同省の開放口岸から入り、省内に30日間まで滞在できる。観光、商用、訪問、親族訪問といった短期の活動が認められる一方、就労、留学、報道取材のように事前の許可が要る活動には引き続き相応の査証が必要である。
中央アジア諸国から中国への出張や商談の条件は、こうした公告によって変わる。制度変更の一次資料としては、同局の公告と政策解説が最も確実である。
利用上の注意
ビザ免除の適用範囲、滞在可能日数、利用できる口岸は制度ごとに異なる。「ビザなしで入れる」と一括りにせず、どの制度に該当するかを確認する必要がある。
英語版サイトの掲載は中国語版より遅れることがあり、公告の全文が中国語版にしかない場合もある。適用開始日を確認するときは、公告そのものの日付を見るのが確実である。
統計は延べ人数(trips)で示されることが多く、実人数とは異なる。国籍別・口岸別の内訳が公表されないこともある。
参考資料
- 国家移民管理局(公式サイト 中国語版) ↗
- National Immigration Administration(公式サイト 英語版) ↗
- Kyrgyzstan and Vietnam Added to Countries Eligible for 240-Hour Visa-Free Transit and 30-Day Visa-Free Entry for Hainan — 国家移民管理局(2026年8月20日) ↗
- Statistics — 国家移民管理局(出入国者数の公表一覧) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。