解説 · 2026年8月時点
テルミコ(Telmico、正式にはトビリシ電力供給会社)は、ジョージアの首都トビリシで電力の小売供給を行う会社である。2021年7月1日、それまで配電と小売を一体で担っていたテラシ(JSC Telasi)から供給機能が切り離され、テルミコが需要家への販売を引き継いだ。トビリシの71万9,000件の需要家に電気を売っており、フォーブス・ジョージアの「100大企業」(2021年決算)には売上高3億2,641万ラリで第31位に初登場した。
同社の設立は、ジョージアが欧州連合との連合協定に基づいて進めてきた電力市場改革の一部である。送配電網の運営と、電力の販売を別の法人に分ける「アンバンドリング」によって、網の中立性を確保し、小売の競争を可能にすることが狙いとされる。
| 正式名 | LLC Tbilisi Electricity Supply Company(TELMICO、შპს თბილისის ელექტრომიმწოდებელი კომპანია) |
|---|---|
| 供給開始 | 2021年7月1日 |
| 本拠 | ジョージア・トビリシ |
| 事業 | トビリシ市の電力小売。ユニバーサルサービス提供者、公共サービス提供者、最終保障供給者の機能を担う |
| 需要家 | 71万9,000件(同社の説明) |
| 従業員 | 175人(同社の説明) |
| 売上高 | 3億2,641万ラリ(2021年通期。フォーブス・ジョージア「100大企業」に第31位で初登場) |
| 所有 | テラシ・グループの一員。ロシアのインテルRAOがオランダのシルクロード・ホールディングスBVを通じてグループの75.47%を保有 |
アンバンドリングの経緯
ジョージアの電力市場改革では、垂直統合された電力会社の機能分離が中心的な課題だった。エネルギー・水道規制委員会(GNERC)は2021年6月29日にアンバンドリング体制に関する一連の決議を採択し、テラシとテルミコそれぞれの料金と、その算定方法を定めた。新しい体制は2021年7月1日に始まった。
分離後、テラシは配電、送配電網の技術的な保守、需要家の系統連系(技術的接続)のサービスを担う。計量も引き続きテラシが行い、その計量データをテルミコへ渡す。テルミコは部分的に自由化された市場価格で電力を調達し、最終需要家から料金を回収したうえで、配電料金をテラシへ支払う。ジョージアの一般家庭から見れば、検針と停電対応はテラシ、請求と支払いはテルミコという分担になる。
ジョージア政府の決定(政令第167号)により、テルミコが担うユニバーサルサービス提供者、公共サービス提供者、最終保障供給者としての公共サービス義務の期間が延長された。小売が自由化されても、家庭など小口の需要家には規制料金で供給する義務を負う事業者が必要であり、その役割を同社が引き受けている。
事業の内容
同社の説明によれば、需要家は71万9,000件、従業員は175人で、トビリシ市内6地区に顧客サービスセンターを置き、24時間365日のコールセンターを運営している。消費者の権利保護のためにGNERCおよびエネルギー・オンブズマン事務所との連携の枠組みを設けたとしている。2025年11月にはウェブサイト上の「パーソナルアカウント」を通じた各種手続きのオンライン化を始めた。
料金は規制の対象であり、社会的に脆弱な世帯や多子世帯には政府が電気料金の補助を出している。2026年5月4日の政府決定では、この補助の額が引き上げられた。ジョージアでは電力料金が生活に直結する政治的な論点であり、規制委員会の料金決定と政府の補助が組み合わさって最終的な負担が決まる。
所有と制裁
テルミコはテラシ・グループの一員であり、ロシアの国営電力大手インテルRAOがオランダに登録したシルクロード・ホールディングスBVを通じて、グループの75.47%を間接的に保有している。インテルRAOは同じくオランダのガルダバニ・ホールディングスBVを通じて、フラミ第1・第2水力発電所も保有する。
2026年7月23日、欧州連合理事会はロシアに対する第21次制裁パッケージを採択し、その中でインテルRAOを指定した。EUは、同社が収益・税・配当を通じてロシア政府を財政的に支えていることを理由に挙げている。テラシとテルミコ自体は制裁対象の一覧に載っていないが、EUの規則では制裁対象が支配する企業にも一定の制限が及びうる。
ジョージア国立銀行は2026年7月、テラシはインテルRAOに間接的に保有されているに過ぎず、それ自体はEUの制裁対象ではないとして、銀行は適用される制裁と自行の規程・リスク評価に従って同社へのラリ建てのサービス提供を続ける、との声明を出した。首都の電力供給という基幹インフラの持ち主が制裁対象になった状態は続いており、読み手はこの構図を念頭に置く必要がある。
参考資料
- Telmico — Tbilisi Electricity Supply Company(公式サイト) ↗
- About the company — Telmico ↗
- 21st package of sanctions: EU hits Russian energy, financial services and crypto hard — 欧州連合理事会(2026年7月23日) ↗
- EU sanctions extend to Russian majority stakeholder of Georgia's electricity distributor — OC Media ↗
- The 100 Largest Georgian Companies by Revenue — Forbes Georgia(2024年1月9日) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。