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フリーダム・ホールディング

カザフスタンを本拠にナスダックへ上場する金融持株会社。証券仲介、銀行、保険、通信・ECを一つのアプリに束ね、22か国で事業を展開する。

Freedom Holding Corp.
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

フリーダム・ホールディング(Freedom Holding Corp.)は、カザフスタンを事業の中心としながら米国ナスダックに上場する金融持株会社である。個人向けの証券仲介から出発し、銀行、生命保険・損害保険、決済、電子商取引、通信・メディアまでを一つのアプリに束ねる「エコシステム」の構築を掲げて拡大してきた。2026年3月期の売上高(純額)は21億9,129万ドル、純利益は1億5,333万ドル、総資産は131億5,524万ドルである。

日本での知名度は低いが、中央アジア・コーカサスを見るうえでは避けて通れない存在である。カスピ・ケーゼットと並ぶカザフスタン発の米国上場企業であり、同国の証券市場では最大級の取引参加者であり、アルメニア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、アゼルバイジャンにも拠点を持つ。2026年にはトルコの銀行を買収して域外へ広がった。

同時に、この会社は米国証券取引委員会(SEC)の調査対象でもある。2021年以来、会社と一部の役員が資料提出と証言の召喚を受けており、2026年3月11日には会社と支配株主であるトゥルロフ氏がSEC執行部からウェルズ通知を受け取った。2026年8月時点で調査は継続中で、結論は出ていない。

正式名Freedom Holding Corp.
法人格米国ネバダ州法にもとづく持株会社。前身は1981年7月にユタ州で設立され2004年12月にネバダ州へ移った石油会社BMBムナイ
現在の形になった時期2015年11月、BMBムナイがティムール・トゥルロフ氏の保有会社群を取得する逆さ買収契約を結び社名を変更。取得は2017年11月までに段階的に完了
本拠事業の中心はカザフスタン・アルマトイ。登記上の主たる執行拠点は米国ニューヨーク(ウォール街40番地)
上場ナスダック・キャピタル・マーケット(ティッカーFRHC、2019年10月15日から)。カザフスタン証券取引所(FRHC_KZ、2019年2月から)とアスタナ国際取引所にも上場。ラッセル3000指数に採用
決算期3月期
報告セグメントブローカレッジ、銀行、保険、その他(決済、EC、チケット販売、通信・メディア)の4区分
売上高(純額)21億9,129万ドル(2026年3月期。前期は20億416万ドル)
純利益1億5,333万ドル(2026年3月期。前期は7,616万ドル、前々期は3億7,852万ドル)
総資産131億5,524万ドル(2026年3月末。前年同期は99億1,512万ドル)
自己資本14億8,928万ドル(2026年3月末)
顧客数銀行503万人(前期252万人)、保険112万人、証券85万8,000口座(同68万3,000口座)、その他111万人(2026年3月末)
利用状況スーパーアプリの月間アクティブ利用者259万人(2026年3月。前年同月102万人)、登録者520万人
従業員・拠点常勤1万1,627人、拠点230カ所(証券32、保険63、銀行9、その他126)。2026年3月末
所在国21か国に子会社、イタリアに駐在員事務所(2026年3月末時点の年次報告書の列挙による)
創業者・会長兼CEOティムール・トゥルロフ氏。発行済普通株の約69%を実質保有する支配株主
格付持株会社本体はS&Pグローバル・レーティングの「B-」(見通し安定)。主要子会社4社は2026年6月25日に「BB-」へ引き上げ
公式サイトfreedomholdingcorp.com

沿革

起点は二つある。ひとつは1981年7月に米国ユタ州で設立され、2004年12月にネバダ州へ移った石油会社BMBムナイ。もうひとつは、ティムール・トゥルロフ氏が2011年にカザフスタンで立ち上げた証券会社フリーダム・ファイナンスである。2015年11月、BMBムナイはトゥルロフ氏との間で、同氏が保有する複数の会社を取得する逆さ買収契約を結び、社名をフリーダム・ホールディングに改めた。取得は監査と規制当局の承認を待って段階的に進み、2017年11月に完了した。この時点でトゥルロフ氏が支配株主となっている。

上場は三段構えで進んだ。2018年7月に米国の店頭市場OTCQXへ登録し、2019年1月にはOTCQXベスト50に選ばれた。2019年2月4日にカザフスタン証券取引所(KASE)のオルタナティブ市場に上場し、当時のティッカーはUS_FRHCだった。2019年10月1日にナスダック・キャピタル・マーケットへの上場承認を得て、10月15日からFRHCの銘柄コードで取引が始まった。同社はこのとき「カザフスタンに本拠を置く金融サービス会社としては初のナスダック上場と考える」と述べている。同年10月にはロシアのサンクトペテルブルク取引所にも上場したが、これは後のロシア事業売却で意味を失った。

事業の幅は2020年代に一気に広がった。2020年12月、カザフスタンの消費者向け銀行カッサ・ノヴァ銀行(支店10)を取得し、2024年5月にフリーダム銀行カザフスタンへ改称した。同じ2020年12月には、ニューヨーク証券取引所の場内で執行業務を行うプライム・エグゼキューションズ(現フリーダム・キャピタル・マーケッツ)を取得して米国市場へ入り、2022年1月に米金融取引業規制機構(FINRA)から特定の投資銀行業務の認可を得た。2022年5月には、当時トゥルロフ氏が100%支配していた生命保険会社フリーダム・ライフと損害保険会社フリーダム・インシュランスを取得している。

2024年からは金融以外へ踏み出した。子会社フリーダム・テレコムを通じてカザフスタンの通信市場に参入し、地場の通信会社を次々に取得した。動画配信のフリーダム・メディアを設立し、2026年1月にはアステル・グループをフリーダム・クラウド・ホールディングへ改称している。2024年4月にはフリーダム銀行カザフスタンが「スーパーアプリ」を投入し、登録者は2026年3月までに520万人へ、1年で倍増した。

ロシア事業の切り離し

かつて同社の証券業の相当部分はロシアの個人・法人による売買に依存していた。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年10月17日、同社はロシア子会社である投資会社フリーダム・ファイナンスとその傘下の銀行を売却する契約を結んだ。買い手はロシア子会社の副社長兼取締役だったマクシム・ポヴァリシン氏である。

取引はロシア中央銀行の承認を経て2023年2月に完了した。対価は総額およそ1億4,000万ドルで、決済日の為替で見て現金約5,150万ドルと、負債約8,850万ドルの引き受けからなる。売却された会社群はその後「ツィフラ」に商号を変えた。トゥルロフ氏はこのとき「ロシアの侵攻を受けてロシア事業を手放すことが最善だと考えた。私自身もロシア国籍を放棄した」と述べている。

関連する事実として、2022年10月19日、トゥルロフ氏と当時のウクライナ子会社、および売却前のロシア子会社2社が、ウクライナ国家安全保障・国防会議の制裁リストに掲載された。ウクライナ子会社の事業は停止し、支配の不確実性を理由に2024年3月期の第1四半期から連結の対象外となっている。同社は掲載が「ロシアとの関係が疑われたため」であり正当ではないと主張しているが、2026年3月期の年次報告書の時点で解除されたとの記載はない。

事業の構成——どこで何を稼いでいるか

報告セグメントは2024年暦年からブローカレッジ、銀行、保険、その他の4区分になった。2026年3月期の売上高(純額)はブローカレッジ8億3,151万ドル、銀行6億8,920万ドル、保険4億9,778万ドル、その他1億7,280万ドルである。段階損益では、ブローカレッジが3億7,192万ドル、銀行が8,400万ドル、保険が2,265万ドルの純利益を出し、その他が3億2,524万ドルの純損失を計上した。グループ全体の純利益1億5,333万ドルは、この差引きの結果である。

収益の種類で見ると、受取利息が8億8,248万ドルで最も大きく、手数料収入が4億8,977万ドル、保険収益(正味)が4億240万ドル、有価証券売買損益が1億5,882万ドル、物品・サービスの売上が9,745万ドルと続く。証券の信用取引に対する貸付利息、銀行の貸出金利、保有債券の利回りが利益の土台であり、株式売買の手数料だけで動く会社ではない。

ブローカレッジは中核事業である。個人向けのオンライン証券に加え、信用取引の貸付、引受業務とマーケットメイクを含む投資銀行業務を持つ。カザフスタンの商業銀行の融資が大企業と国有企業に偏っているため、中堅企業の資金調達需要が同社の投資銀行業務に流れているという説明を年次報告書は載せている。証券口座は2026年3月末で約85万8,000、うち直近四半期に1回以上の取引があった「アクティブ口座」は約14万9,000である。口座数と実際に動いている口座数の差は大きい。

銀行部門はフリーダム銀行カザフスタンとフリーダム銀行タジキスタンで構成する。2026年3月末の部門資産は53億5,980万ドル(前年比21%増)、貸出は20億4,530万ドル(同29%増)、預金は25億2,280万ドル(同46%増)。カザフスタン国内のサービスセンターは31カ所にとどまり、新規の取引の大半は携帯とウェブから入る設計である。

保険部門は2026年3月期に、フリーダム・ライフが約3,290万ドル、フリーダム・インシュランスが約1,080万ドルの純利益を計上した。カザフスタン国立銀行の統計にもとづく同社の説明では、フリーダム・ライフは年金年金保険で19.3%、任意傷害保険で約7.4%、任意生命保険(元受収入保険料ベース)で1.9%のシェアを持ち、フリーダム・インシュランスは自動車損害賠償責任保険で14.53%、損害保険市場全体で資産ベース約6.55%を占める。ただし2026年3月期の元受収入保険料は24%減の5億730万ドルとなった。銀行・マイクロファイナンスの融資に付随する保険について、代理店に払う手数料に規制上の上限が課され、新規契約の量が減ったためである。保険収益(正味)が前期の5億7,122万ドルから4億240万ドルへ29%減ったのは、これが主因である。

「その他」には決済処理(Paybox、フリーダム・ペイ)、チケット販売(Ticketon)、航空・鉄道券の比較販売(Aviata)、食品EC(Arbuz)、家事代行(Naimi)、動画配信(フリーダム・メディア)、通信(フリーダム・テレコム)などが入る。売上は全体の8%にすぎない一方、通信とメディアは立ち上げ期の投資が先行しており、同社自身が通信事業について「操業開始から数年は赤字が続く見込み」、メディアについて「2027年暦年に黒字化を見込む」と説明している。2026年3月期のその他部門の巨額の損失は、この投資段階の費用と、持株会社レベルの費用・借入コストを含んだ数字である。

地理的な展開

2026年3月期の売上高を子会社の所在地で分けると、カザフスタンが18億3,852万ドルで全体の84%を占める。次いでアルメニアが1億8,173万ドル、キプロスが1億5,416万ドル、米国が293万ドル、その他が1,395万ドルである。キプロスのフリーダム・ファイナンス・ヨーロッパが欧州12か国(オーストリア、ブルガリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、リトアニア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、キプロス)の営業を統括し、米国とFCM以外のグループ会社が出す米欧の売買注文はここを経由して執行される。

中央アジア・コーカサスでの展開は次のとおりである。カザフスタンはフリーダム・ファイナンス(KASEとアスタナ国際取引所の取引参加者)、フリーダム・ファイナンス・グローバル、フリーダム銀行カザフスタン、保険2社、決済・EC・通信の各社。ウズベキスタンは外国企業フリーダム・ファイナンスがタシケント共同株式取引所、ウズベキスタン共和国通貨取引所、ITSの取引参加者。キルギスはフリーダム・ブローカーがキルギス証券取引所の参加者で、ほかにデジタル資産サービスのフリーダム・デジタル・エクスチェンジ、決済のフリーダム・ペイ・キルギスタン、チケットのTicketonがある。アルメニアはフリーダム・ファイナンス・アルメニアが、アルメニア中央銀行から2021年11月9日付で第0021号の免許を受け、アルメニア証券取引所の取引参加者となっている。

タジキスタンでは、フリーダム銀行タジキスタンが2024年10月15日にタジキスタン国立銀行から国内通貨・外貨での銀行業務免許を取得した。この銀行はフリーダム銀行カザフスタンの100%子会社であり、連結上は同じ銀行セグメントに属する。参入から日が浅く、店舗網とデジタル取引経路の整備は途上にある。同国にはほかに決済のフリーダム・ペイ・タジキスタンとチケット販売の会社がある。

アゼルバイジャンにあるフリーダム・ファイナンス・アゼルバイジャンは、年次報告書の事業区分では「金融教育センター」であり、証券業や銀行業の免許を持つ会社ではない。同国での業容は限定的である。ジョージアについては、同社は2025年11月に銀行を開設する認可を得たと発表しており、2026年3月期の年次報告書では、必要な規制当局の承認を前提に銀行設立の手続きを進めていると記している。

域外への拡張は2026年に加速した。2026年3月、トルコのターキッシュ・バンクの株式約99.32%を取得する契約を結び、7月1日にトルコ銀行規制監督庁(BRSA)と競争庁の承認を得て、7月31日にオズヨル・ホールディングとクウェート国民銀行から株式の移転を完了した。同日の株主総会で商号はフリーダム・バンク(Freedom Bank A.Ş.)に変更されている。証券業も、2026年8月19日にトルコ資本市場庁(CMB)から営業免許を受けた。同社はこれを「1992年以来34年ぶりに、広範な業務認可を伴う外国証券会社への免許」と説明し、イスタンブール証券取引所との接続を完了したとしている。このほか、アラブ首長国連邦では2025年12月29日にアブダビ・グローバル・マーケット金融サービス規制庁から証券業免許を得ており、2026年6月にはフランスで銀行免許を申請したと公表した。

上場と株主

普通株はナスダック・キャピタル・マーケット(FRHC)、カザフスタン証券取引所(FRHC_KZ)、アスタナ国際取引所に上場している。KASEでは米ドル建てで売買され、ISINはUS3563901046、2026年8月28日の終値は1株164.00ドルだった。ラッセル3000指数の構成銘柄でもある。

株主構成は集中している。会長兼CEOのトゥルロフ氏が発行済普通株の約69%を実質保有し、議決権を支配する。同社は年次報告書のリスク要因で、同氏の利益が他の株主の利益と衝突しうること、同氏が保有株を売却すれば株価が下がりうることを自ら挙げている。発行済株式数は2026年3月末で6,129万2,581株だった。

2026年には資本増強が実施された。4月9日にカザフスタンでの募集を検討していると発表し、6月12日に米国証券法レギュレーションSにもとづく募集の開始を公表、7月10日に237万4,356株を1株約126.35ドルで売り出して総額約3億ドルを調達した。引受手数料はなく、系列のフリーダム・ファイナンス・グローバルが引受幹事として募集総額の1%(上限300万ドル)を受け取る。米国外の非米国人向けの募集で、資金は国際展開に充てるとしている。

格付は2026年6月25日にS&Pグローバル・レーティングが引き上げた。フリーダム・ファイナンス、フリーダム・ファイナンス・ヨーロッパ、フリーダム・ファイナンス・グローバル、フリーダム銀行カザフスタンの4社が「BB-」(見通し安定)となり、カザフスタン国内スケールでは「kzA-」になった。持株会社本体の格付は「B-」(見通し安定)に据え置かれている。フリーダム銀行カザフスタンは2026年3月17日にムーディーズから預金格付「Ba3」を新たに付与された。保険子会社は年次報告書の時点でフリーダム・ライフが「BB+」、フリーダム・インシュランスが「BB-」である。

業績の推移

売上高(純額)は、2022年3月期6億8,979万ドル、2023年3月期7億9,569万ドル、2024年3月期16億4,726万ドル、2025年3月期20億416万ドル、2026年3月期21億9,129万ドルと伸びてきた。総資産は2023年3月末の50億8,456万ドルから2026年3月末の131億5,524万ドルへ3年で2.6倍になり、自己資本は同じ期間に7億7,074万ドルから14億8,928万ドルへ増えた。

利益の動きは売上ほど一本調子ではない。純利益は2022年3月期2億2,093万ドル、2023年3月期2億559万ドル、2024年3月期3億7,852万ドルと来て、2025年3月期に7,616万ドルへ急減し、2026年3月期は1億5,333万ドルへ戻した。2025年3月期の落ち込みは有価証券売買で5,781万ドルの損失を出したことが大きく、2026年3月期はこれが1億5,882万ドルの利益に転じて差引き2億1,663万ドルの改善となった。カザフスタンの国債・社債の売却によるものである。同じ期に物品・サービスの売上が143%増の9,745万ドルへ伸びたのは、通信事業への進出とEC子会社アルブズの拡大を映している。

数字を比べるときの注意点が二つある。ひとつは、ロシア子会社の売却により、2024年3月期以降の売上高は旧ロシア事業を非継続事業として扱った後の数字であること。もうひとつは、2026年3月期の年次報告書が長期保険契約の新会計基準を採用し、2024年3月期と2025年3月期の比較値を組み替えていることである。2024年3月期の売上高は当初16億3,508万ドル、純利益は3億7,495万ドルと報告されていた。年度をまたいで比較するときは、どの報告書の数字を使ったかを揃える必要がある。

直近の四半期では、2026年6月末までの3カ月(2027年3月期第1四半期)の売上高が7億3,250万ドルと前年同期の5億2,400万ドルから40%増え、純利益は3,170万ドル(前年同期3,740万ドル)だった。総資産は140億5,000万ドル、自己資本は15億4,000万ドルに増えている。セグメント別ではブローカレッジが1億3,360万ドル、銀行が370万ドルの純利益、保険が1,920万ドル、その他が8,650万ドルの純損失だった。

SECの調査とウェルズ通知

同社の年次報告書によれば、2021年以降、会社と一部の役員・取締役がSECから資料提出と証言の召喚を複数回受けている。調査の対象は、非米国の証券子会社における決済慣行と特定の機関投資家であるマーケットメイク顧客との関係、および米国株の売買を社内で付け合わせる「内部化」に関する会計処理、開示、内部統制である。

2026年3月11日、会社と支配株主・会長兼CEOのトゥルロフ氏がSEC執行部からウェルズ通知を受け取った。ウェルズ通知は、執行部が民事の法的措置を勧告する「予備的な判断」に至ったことを知らせる文書であり、それ自体は違法行為の認定でも正式な訴追でもない。会社と同氏はこの予備的判断に反論している。2026年3月末時点で、会社は損失の合理的な見積もりができないとしており、監査人はこの偶発債務の評価を「重要な監査事項」として報告書に記載した。

2026年6月4日、同社はCEOの発言に関する補足を公表し、調査は継続中でウェルズ通知に関する手続きは終わっていないこと、その結論に依存する計画(資金調達や追加の免許取得など)は引き続き影響を受けうることを明らかにした。同じ発表で、売買の内部化は米国の証券会社では一般的な慣行だが、同社の証券業務は米国外で行われており、米国とは異なる各国の法制に服すると説明している。2026年8月時点で調査は係属中である。

空売り筋の報告と外部調査

2023年8月15日、空売り筋のヒンデンブルグ・リサーチが同社に関する報告書を公表した。同社株の空売り持ち高を保有していることを明示したうえで、事業について広範な指摘を行うものだった。会社側は指摘を根拠のないものと考えたが、独立取締役は株主の利益のために外部調査を行うことを決めた。

調査は法律事務所モルガン・ルイス・アンド・バッキアスと会計調査会社フォレンジック・リスク・アライアンスが担当し、約4カ月にわたって文書とデータの精査、カザフスタンとキプロスへの現地訪問、データ分析、経営陣・従業員・外部助言者・取引相手への聞き取りを行った。結果は2024年1月25日に公表され、指摘は重要な事実を考慮しておらず証拠に裏づけられていないという結論だった。ただし、指摘の一部は古い、曖昧、詳細を欠くという理由で評価できなかったとも記されている。会社は調査チームの改善提案を受け入れ、実施に着手したとしている。

この時期には上場維持に関する通知も届いていた。2023年6月15日、ナスダックは2023年3月期の年次報告書を期限内に提出しなかったことを理由に上場規則5250(c)(1)に適合していないとする書簡を送り、8月11日には同年6月期の四半期報告書についても同様の書簡を送った。年次報告書は2023年8月4日に提出されている。

読み手が留意すべきなのは、外部調査を発注したのが調査対象である会社自身の独立取締役であり、その費用も会社が負担している点である。結論が独立の第三者による最終的な判定にあたるわけではない。SECの調査が別に継続していることと合わせて、複数の手続きが並行して進んでいると理解しておく必要がある。

経営体制と関連当事者取引

2026年に入って幹部と取締役の交代が続いた。2015年から最高財務責任者を務めたエフゲニー・レル氏が6月25日に退任し、後任に子会社で財務を統括していたワレリー・キム氏(37)が就いた。レル氏はCEOの特別顧問として資金調達とM&Aを担当する。7月8日には取締役のカイラト・ケリムベトフ氏が辞任し、取締役の数は7人から6人になった。

関連当事者との取引は規模が小さくない。2026年3月期の広告・スポンサー費用1億330万ドルのうち2,715万ドルが関連当事者向けで、うち1,003万ドルはトゥルロフ氏が役職に就くカザフスタン・チェス連盟への支出である。同社はトゥルロフ氏が99.9%を保有するトゥルロフ・プライベート・ホールディング傘下のフリーダム青少年サッカーリーグにも資金を出している。2026年4月にはチェスのソフトウェア会社チェスベース(ドイツ)を取得し、約500万ユーロを追加投資する計画を示した。トゥルロフ氏は2026年6月29日、9月26〜27日にウズベキスタンで行われる国際チェス連盟(FIDE)の副会長選に立候補すると発表している。

同社は年次報告書のリスク要因で、支配株主が他の会社にも利害を持ち、それらが同社と相当額の取引を行っていることを認め、独立当事者間よりも不利な条件で取引が成立する危険があると記している。読み手はこの点を念頭に置く必要がある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

カザフスタンの製造業PMI、8月は46.0。50割れは2026年1月から8か月連続2026.09.01フリーダム・ホールディングが9月1日に公表したカザフスタン製造業のPMIは8月が46.0で、7月の47.0から下がった。50を下回るのは2026年1月から8か月連続で、直近15か月で50を上回ったのは2025年12月だけ。新規受注は4か月連続、雇用は7か月連続で減った。アスタナ・ファイナンス・デイズ、9月9〜10日開催。80か国から5500人、AIFCが主催2026.08.18アスタナ国際金融センター(AIFC)が主催する金融フォーラム「アスタナ・ファイナンス・デイズ2026」が9月9〜10日に開かれる。80か国超から5500人以上が参加する見込みで、資本市場、規制と市場の信認、実体経済への資金供給、国境をまたぐ資本協力が主題となる。イスラム開発銀行研究所、バイナンス、マスターカード、ブルームバーグ、上海証券取引所などが参加を予定する。