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ハリク銀行

1923年創業のカザフスタン最大の銀行。連結総資産は22兆363億テンゲ(2026年6月末)で、単体では国内商業銀行の総資産の28.6%を占める(2026年1月1日時点)。ロンドン証券取引所、カザフスタン証券取引所、アスタナ国際取引所の3市場に上場する。

JSC Halyk Bank of Kazakhstan
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

ハリク銀行(Halyk Bank)は、カザフスタン最大の銀行である。連結総資産は22兆363億テンゲ(2026年6月末)で、単体ベースでは2026年1月1日時点に国内の第2階層銀行(商業銀行)が持つ総資産の28.6%を1行で占める。貸出、顧客預金、純利益のいずれでも国内首位にあり、銀行業務の外側に生命保険・損害保険、リース、証券仲介、資産運用、決済処理、通信までを抱える総合金融グループでもある。

起点は1923年、ソ連の労働貯蓄制度のもとでアクチュビンスク(現アクトベ)に開かれた貯蓄銀行の支店である。独立後の1998年にカザフスタン証券取引所(KASE)へ上場し、2006年にロンドン証券取引所へ預託証券を、2019年にアスタナ国際取引所(AIX)へ普通株を上場した。同国で最も古い上場企業であり、四半期ごとに国際会計基準の連結財務情報を英語で公表するため、カザフスタンの家計と企業の資金の流れを外から確かめられる数少ない窓口になっている。

もっとも、国内の金融をひとりで代表しているわけではない。決済とマーケットプレイスを軸に伸びたカスピ・ケーゼットが、利用者数でも利益でも並ぶ規模に達している。2025年通期の純利益は両社がほぼ同水準で、2026年上期はカスピ・ケーゼットが上回った。伝統的な総合銀行とスーパーアプリという対照的な二極が並び立つのが、いまのカザフスタンの金融市場の姿である。

正式名Joint Stock Company Halyk Bank of Kazakhstan。「ハリク」はカザフ語で「国民」を意味する
設立1923年。ソ連の労働貯蓄制度のもとでアクチュビンスク(現アクトベ)に開かれた貯蓄銀行の支店が起点。独立後のカザフスタン法務当局への登録は1994年1月20日
本店カザフスタン・アルマトイ市アル・ファラビ大通り40
上場カザフスタン証券取引所(1998年〜。普通株HSBK、預託証券HSBKd)、ロンドン証券取引所(2006年〜。GDR、ティッカーHSBK)、アスタナ国際取引所(2019年〜。HSBK、HSBK.Y)
GDRの中身預託証券1単位が普通株40株に相当する
事業商業銀行を中核に、生命保険・損害保険、リース、証券仲介、資産運用、決済処理、通信・IT、マーケットプレイス
総資産22兆363億テンゲ(2026年6月末、連結)。2025年末は20兆9,085億テンゲ
貸出残高13兆9,582億テンゲ(2026年6月末、総額ベース)
顧客預金等14兆8,706億テンゲ(2026年6月末)
純利益1兆584億テンゲ(2025年通期、普通株主帰属、前年比14.9%増)。2026年上期は4,476億テンゲで前年同期比15.3%減
自己資本利益率32.6%(2025年通期)、24.8%(2026年上期、年率)
国内シェア第2階層銀行の総資産の28.6%、貸出の31%、法人預金の30%、個人預金の27.5%(いずれも2026年1月1日時点、単体ベース)
拠点カザフスタン530、ウズベキスタン17、ジョージア9(2026年半ば時点)
従業員1万6,718人(2025年末、グループ)
支配株主持株会社アルメックス(JSC Holding Group ALMEX)が62.4%(2025年末)。最終的な支配者はティムール・クリバエフ氏と妻ディナラ・クリバエワ氏
浮動株比率37.6%(2025年11月のSPO後)
格付ムーディーズBaa1、S&P BBB-、フィッチBBB-(いずれも見通し安定、2025年年次報告書時点)
監査人デロイト
公式サイトhalykbank.com(投資家向け)、halykbank.kz(銀行業務)

沿革——貯蓄銀行から民営化まで

1923年、当時のソ連の労働貯蓄制度のもとでアクチュビンスク(現アクトベ)に最初の貯蓄銀行支店が開かれた。同行はこれを創業の年としており、2023年に創立100年を迎えている。ソ連期を通じて国民の貯蓄を集める機関として機能し、独立後のカザフスタンでも支店網と個人預金の基盤をそのまま引き継いだ。年金や一部の予算給付を支店網経由で支払う政府の代理人という役割は、2025年時点でも続いている。

独立後の再登録は1994年1月20日である。民営化は1998年から2001年にかけて行われ、1998年に公開株式会社となって同年KASEへ上場した。2000年には国内で初めてインターネットバンキングを導入し、2004年に初のユーロ債を発行している。

現在の支配株主である持株会社アルメックス(Holding Group ALMEX)は2001年に株主となり、市場での買い増しと増資を通じて2004年8月に77.6%の支配株式を握った。同行自身の説明によれば、民営化はこの段階でほぼ完了している。

2006年にロンドン証券取引所へGDRを上場。2007年に投資銀行子会社ハリク・ファイナンスを通じて投資銀行業務へ広がり、保険市場にも参入した。2008年にはジョージアで銀行子会社を設立している。2014年にはHSBCのカザフスタン法人を取得してアルティン銀行(Altyn Bank)へ改称した。

カザコメルツバンク統合——カザフスタン最大級の銀行再編

同行の規模を決定づけたのは、カザコメルツバンク(Kazkommertsbank、KKB)との統合である。KKBは当時の国内最大級の銀行で、2015年にカザフスタン持続可能性基金(KSF)から預金の形で公的支援を受けていた。ハリク銀行はKKBを取得し、2018年に合併と統合作業を完了したと自社の沿革に記している。同じ2018年、傘下のアルティン銀行の株式60%を中国中信銀行(China CITIC Bank)へ売却した。ハリク銀行は残る40%を保有し続けており、アルティン銀行は現在は中国中信銀行の子会社という位置づけである。

KKB由来のKSF預金は、統合後も同行の負債として残った。ハリク銀行は2023年12月にこれを一部繰上返済し、割引の加速償却により税引後248億テンゲの一過性の費用を計上している。2024年には早期返済の見込みを織り込んだ損失を追加で認識した。2025年通期の純利益が前年比14.9%増と伸びた理由の一つは、この2024年の一過性損失の反動である。統合から7年を経てなお、決算の説明にKKBの名残が現れる規模の再編だったことがわかる。

2022年には、ロシアのズベルバンクのカザフスタン子会社が持っていた貸出債権を取得している。同年の純利益が前年比19.8%増となった要因の一つとして、同行自身がこの取得を挙げている。

「カザフスタン最大」の中身

規模を示す数字は複数ある。連結総資産は2026年6月末で22兆363億テンゲ、2025年末で20兆9,085億テンゲである。同行は2026年8月の決算発表で、この規模をもって「カザフスタン最大の貸し手」と述べている。

監督当局の統計にもとづく単体ベースのシェアは、2026年1月1日時点で総資産28.6%、自己資本33.3%、貸出31%、法人預金30%、個人預金27.5%である。同行の年次報告書は、2025年末時点で総資産・純貸出・顧客預金・純利益のすべてで国内首位だったと記している。

国内の他行と比べると差は大きい。バンク・センタークレジットの連結総資産は8兆5,210億テンゲ(2025年末)、フォルテバンクは6兆1,000億テンゲ(同)である。持株会社であるカスピ・ケーゼットの連結総資産は12兆574億テンゲ(2026年6月末)で、これはグループ全体の数字であり銀行単体の比較ではない点に注意が要る。

顧客基盤は2025年末で個人のアクティブ顧客1,150万人、中小企業約50万社、大企業約3,000社である。財務省が2025年に指定した500社超の大口納税者のうち86%(金融機関を除く)が同行の顧客だと同行は説明している。実体経済向け融資に占める商業銀行内シェアは47.6%とされる。

事業とグループ会社

事業はB2CとB2Bに分かれる。B2Cは無担保消費者ローン、住宅ローン、自動車ローン、預金、カード、決済・送金、分割払いと後払い(BNPL)、投資・証券仲介、生命保険・損害保険、そして生活関連サービスまでを、スマートフォンアプリ「ハリク・スーパーアプリ」に束ねている。B2Bは法人・中小企業向けの日常銀行業務、融資、預金、資金管理、外国為替、保証、カストディ、加盟店決済、集金、クラウドと通信までを「オンラインバンク」で提供する。

2025年の実績では、スーパーアプリの月間アクティブ利用者は850万人、1日あたりは320万人だった。アプリ経由のテンゲ建て決済・送金は4億4,180万件(前年比23.2%増)、金額で19兆5,000億テンゲ(同20.4%増)である。個人向け融資の94%、預金の94%がオンラインで組成され、中小企業向け融資も件数の93%が遠隔で申し込まれた。法人向けオンラインバンクの月間アクティブ利用者は34万3,800だった。

個人向け貸出は2026年1月1日時点で総額4兆5,990億テンゲ(前年比10.8%増)。内訳は無担保消費者ローン74.2%、住宅ローン12.5%、自動車ローン9.6%、BNPL3.2%、クレジットカード0.6%である。個人の借り手は187万人、個人向け融資の市場シェアは17.9%だった。

子会社は完全所有が中心である。2025年末の総資産(テンゲ、単体)で見ると、生命保険のハリク・ライフが7,104億、ジョージアのハリク・バンク・ジョージアが2,102億、損害保険のハリク・インシュランスが2,301億、不良資産管理のハリク・アクティブが1,377億、ウズベキスタンのテンゲ銀行が3,058億である。ほかに証券仲介のハリク・ファイナンスとハリク・グローバル・マーケッツ、リースのハリク・リージング、通信・IT のカズテレポート、決済処理のハリク・フィンサービス、ソフトウェア開発のハリク・ラボ、集金のハリク・コレクションがある。アルティン銀行の株式40%も引き続き保有する。

ハリク・ファイナンスは2025年に純利益116億テンゲ(前年比22%増)を計上し、運用資産1兆4,000億テンゲで市場シェア70%超、国内最大の民間年金資産運用者の地位を保っている。年金資産の運用残高は500億テンゲを超え、2023〜25年の平均年利回りは14.4%だった。ハリク・ライフは貯蓄型生命保険で市場シェア42.8%と首位である。

非金融では、2020年12月に始めたマーケットプレイス「ハリク・マーケット」、チケット販売の「Kino.kz」、2025年11月にスーパーアプリへ加えた生鮮食品即配の「Airba Fresh」がある。ハリク・マーケットの2025年の流通総額は1,236億テンゲ(前年1,006億テンゲ)、月間アクティブ利用者370万人、取扱商品550万点、出店者1万8,500だった。フォーブス・カザフスタンの2025年の集計で、同マーケットは国内のオンライン小売事業者の4位に位置し、2年前の11位から順位を上げている。

域外——ウズベキスタンとジョージア

2026年時点で銀行として営業している国外市場はウズベキスタンとジョージアの2か国である。

ウズベキスタンのテンゲ銀行は2019年に設立された。同国の経済改革が始まって以降で最初の外資系銀行だと同行は説明している。2025年の実績では個人向け融資残高が3,240億スム(31%増)、預金残高1兆1,633億スム、口座保有顧客数117万9,600人(47%増)。中小企業向け融資は1,890億スム増と倍増し、顧客数は338社から1,642社へ増えた。2025年5月に同国市場で初という完全オンラインの自動車ローンを投入し、11月にはタシケントの「Nest One」に3,500万ドルを投じた新本部を開いている。

ジョージアのハリク・バンク・ジョージアは2008年設立で、中小企業と個人を対象とする。2025年の貸出残高は前年比30%増と、ジョージアの銀行部門平均(15%)の2倍の速さで伸びた。顧客資金は26%増の2億9,600万ラリ、純利益は8.4%増の2,200万ラリ、90日超延滞比率は4.55%である。2026年は貸出残高11億9,300万ラリ(19%増)、純利益2,620万ラリ(16%増)を計画している。

一方で近隣市場からの撤退も進んだ。タジキスタンの子会社(旧カズコメルツバンク・タジキスタン、2019年5月にハリク銀行タジキスタンへ改称)は、2022年11月16日にインターナショナル・バンク・オブ・タジキスタンへ全株式を譲渡する契約が結ばれ、2023年9月にアクティブ銀行へ改称した。キルギスの子会社ハリク・バンク・キルギスタンは2024年にVisor International DMCCへ売却され、同年9月にO!バンクへ改称している。

2025年7月23日には、ウズベキスタンの決済アプリ運営会社Clickの株式49%を取得し、同時にテンゲ銀行の株式49%をClickの株主へ売却する戦略的合意に署名した。ただし2025年12月期の連結財務諸表が公表された2026年3月時点で、署名済みの取引文書は期限切れとなり取引は完了していない。両者は協業の形と条件について協議を続けているとされる。フィンテックとの提携を域外で試みた動きだが、結論は出ていない。

上場と株主構成

普通株はKASE(1998年〜)とAIX(2019年〜)に、GDRはロンドン証券取引所(2006年〜)とKASE(2020年〜)およびAIXに上場している。GDR1単位は普通株40株に相当する。KASEでの2026年8月28日の終値は、普通株HSBKが391.00テンゲ、預託証券HSBKdが34.00ドルだった。普通株のISINはKZ000A0LE0S4である。

2025年末の株主構成は、アルメックスが67億5,673万8,228株で62.4%、GDR保有者が37億4,297万4,040株で34.5%、その他が3億3,624万6,282株で3.1%。授権株式数は250億株、発行済株式数は134億4,754万4,782株で、このうち流通しているのは108億3,595万8,550株である。アルメックスはティムール・クリバエフ氏と妻ディナラ・クリバエワ氏が最終的に支配している。

2024年末との比較で構成は動いた。1年前はアルメックスが69.7%、GDR保有者が28.3%だった。変化の理由は2025年11月に実施した二次売出し(SPO)である。国際市場と国内市場の双方で行われ、総額は4億7,540万ドル。同行はこれをカザフスタン株式市場の歴史で最大の二次売出しだとしている。浮動株比率はこれにより37.6%へ上がった。

配当は2024年3月の方針改定で年1回から年2回へ移った。2024年度は普通株1株あたり29.64テンゲ(2025年5月22日支払開始)に加え、2025年9月22日の臨時株主総会が2024年連結純利益の25%に相当する追加配当21.00テンゲを決議し、合計で5,526億8,000万テンゲが支払われた。2025年度は2026年4月23日の年次株主総会が1株30.10テンゲを決議し、5月18日から支払われている。過去の年間配当総額(普通株、単体ベース)は2021年度1,386億テンゲ、2022年度2,768億テンゲ、2023年度3,816億テンゲ、2024年度5,527億テンゲと増えてきた。

業績の推移

普通株主に帰属する純利益は、2021年4,624億テンゲ、2022年5,538億テンゲ、2023年6,934億テンゲ、2024年9,210億テンゲ、2025年1兆584億テンゲと5年で2.3倍になった。2022年の数値は翌年の開示で5,695億テンゲへ組み替えられているため、年をまたいで比べるときはどの報告書の数字かを揃える必要がある。

総資産は2021年末12兆913億テンゲ、2022年末14兆3,114億テンゲ、2023年末15兆4,944億テンゲ、2024年末18兆5,484億テンゲ、2025年末20兆9,085億テンゲ、2026年6月末22兆363億テンゲである。

2025年通期は利息収入が2兆6,950億テンゲ(24.1%増)と伸びた一方、利息費用が32.4%増と伸びが上回り、純利ざやは7.2%から7.1%へわずかに縮んだ。自己資本利益率32.6%、経費率17.5%はいずれも高い水準である。貸出は総額ベースで13.9%増え、個人向け10.8%、法人向け15.5%の伸びだった。

2026年上期は反転した。純利益は4,476億テンゲで前年同期比15.3%減、自己資本利益率は24.8%へ下がり、経費率は19.2%へ上がった。理由は3つある。第1に最低準備率の引き上げで、純利ざやは7.3%から6.8%へ縮んだ(引き締めの影響を除けば7.2%になると同行は説明する)。第2に個人向け融資の規制強化でBNPLの手数料収入が減り、加えて一部の銀行サービスへの付加価値税の顧客転嫁が進んだため、純手数料収入は19.6%減った。第3に顧客預金の平均金利が上がる一方、貸出金利の平均が横ばいだったことである。信用コストは1.4%と平年並みにとどまった。

資産の質では、ステージ3(不良債権に相当)の比率が2025年末の7.7%から2026年6月末の8.6%へ上がった。同行はこれを、個人の不良債権を債権回収会社へ売却することを禁じる措置が2026年5月まで続いたことと、個人向け融資の伸びが鈍ったことによると説明している。単体の自己資本比率(k2)は2026年6月末で19.0%と、規制水準の12%を大きく上回る。

フィンテックとの競合——数字で見る距離

同じカザフスタンで、決済とECを軸に伸びたカスピ・ケーゼットとの距離は、公表資料の数字で比べられる。ただし各社の指標は定義が異なるので、そのまま優劣に読み替えることはできない。

利用者では、ハリク・スーパーアプリの月間アクティブ利用者が850万人(2025年末)、カスピ・ケーゼットのスーパーアプリがカザフスタン国内で1,570万人(同)である。同国の人口は2,050万人(2025年)なので、後者はほぼ全成人が触れる規模ということになる。

マーケットプレイスの差はさらに大きい。ハリク・マーケットの2025年の流通総額は1,236億テンゲ、カスピ・ケーゼットのマーケットプレイス流通総額は9兆1,000億テンゲ(2025年、トルコ事業を除く)である。決済では、ハリク銀行のアプリを通じたテンゲ建て決済・送金の総額が19兆5,000億テンゲ(2025年)、カスピ・ケーゼットの決済総額(TPV)が46兆4,000億テンゲ(同、トルコ事業を除く)だった。前者はアプリ経由のテンゲ建て取引に限った数字、後者は決済プラットフォーム全体の取扱高であり、範囲が同じではない。

一方、貸借対照表と収益では差は小さい。2025年通期の純利益はハリク銀行が1兆584億テンゲ、カスピ・ケーゼットが1兆677億テンゲ(トルコ事業を含む連結)とほぼ並び、2026年上期はハリク銀行4,476億テンゲに対しカスピ・ケーゼット5,108億テンゲで後者が上回った。連結総資産は2026年6月末でハリク銀行22兆363億テンゲ、カスピ・ケーゼット12兆574億テンゲである。法人融資と国債運用を土台に規模を積む銀行と、個人の決済・消費と短期の与信を回転させるプラットフォームという、収益の作り方の違いがそのまま表れている。

ハリク銀行の対応は、公表資料で確認できる範囲では自前のデジタル化に集中している。2025年8月に多段階の会員制度「Halyk+」を投入し、利用者は同月の19万6,000人から12月に204万7,000人へ増えた。同年11月には生鮮食品即配のAirba Freshをスーパーアプリへ加えている。個人向け融資の94%を遠隔で組成する体制を整え、マーケットプレイスの順位も国内11位から4位へ上げた。もっとも、これらの絶対値は上に挙げたとおりで、決済とECの規模で肩を並べる段階には至っていない。

読み手が注意する点

2026年は規制と税制の変更が重なる年である。2025年7月18日に採択され2026年1月1日に施行された新しい税法典は、第2階層銀行の法人所得税率を20%から25%へ引き上げた(事業向け融資から生じる所得には20%の軽減税率が残る)。あわせて銀行の一部の金融取引に対する既存の非課税措置が半減した。

国立銀行は2025年9月に最低準備率を引き上げ、2026年にかけて段階的に適用している。2026年4月1日からは個人向け融資(個人事業主向けを除く)のリスク資産に2%の分野別カウンターシクリカル・バッファーが導入された。基準金利は2025年10月13日に年18.0%へ引き上げられている。

個人の不良債権を債権回収会社へ売却することを禁じる措置は2026年5月まで続いた。同行のステージ3比率の上昇には、この制度要因が含まれる。同行は90日超延滞の比率を7.2%、そのカバー率を89.9%としている(2026年1月1日時点)。

所有構造も見ておく必要がある。発行済株式の62.4%を1つの持株会社が保有し、その持株会社は個人2名が最終的に支配している。浮動株はSPO後で37.6%であり、少数株主の意向が経営に及ぶ余地は限られる。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

S&Pがカザフスタン銀行部門の産業リスクを7から6へ。経済リスクは見通しを「ポジティブ」に2026.09.05カザフスタン金融市場規制・発展庁は9月5日、S&Pグローバル・レーティングが9月4日に同国の銀行部門カントリーリスク評価(BICRA)を改善したと発表した。動いたのは構成要素の産業リスクで「7」から「6」へ上がり、経済リスクは見通しが「安定的」から「ポジティブ」へ改まった。バンク・センタークレジットの長期格付けも「BB+」へ引き上げられた。カザフスタンENPF、ハリク・グローバル・マーケッツとの運用委託が2027年1月に解除予定。残高67億2,000万テンゲは年金資産の0.024%2026.08.26カザフスタンの統一積立年金基金ENPFは8月26日、ハリク・グローバル・マーケッツとの信託運用契約が同社の発意で2027年1月に解除される予定だと改めて知らせた。決定自体は2025年末である。年初来の移管は他社へ441件・7億6,550万テンゲ、国立銀行へ881件・13億テンゲ。8月1日時点の同社の残高67億2,000万テンゲは年金資産の0.024%である。