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テゲタ・モーターズ

ジョージア最大の自動車関連企業。輸入車と特殊車両の販売、部品・タイヤ・潤滑油の卸売、全国の整備網を持ち、約40社からなるグループを形成する。

Tegeta Motors LLC
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

テゲタ(Tegeta)は、ジョージア最大の自動車関連企業である。1995年に自動車部品の小さな店として始まり、タイヤ輸入、整備、車両販売へと段階的に広げて、いまは乗用車から建設機械までを扱う「自動車エコシステム」を掲げるグループになった。2025年通期の連結売上高は17億1,792万ラリ、純利益は8,137万ラリ、従業員は2,400人を超える。トヨタ、ボルボ、ポルシェ、MAN、JCBといったメーカーの多くと独占的な関係を持ち、ジョージアだけでなくアルメニア、アゼルバイジャン、ウズベキスタンにも拠点を広げている。

この会社を読むときは、名前が指す範囲に注意が要る。監査済み連結財務諸表の作成主体はテゲタ・モーターズLLCで、その株式の98.78%を上位のTGMグループLLCが保有する。一方、広報や報道で使われる「テゲタ・ホールディング」はグループ全体の呼称であり、従業員数や拠点数の表示もこちらのほうが大きい。数字を引用するときは、どちらの範囲かを確かめる必要がある。

正式名Tegeta Motors LLC(登記番号202177205、2001年4月26日設立)。連結財務諸表の作成主体。対外的な呼称はテゲタ・ホールディング
創業1995年(LLCオートエクスポートとして)。2001年から「テゲタ・モーターズ」の名で営業
本社ジョージア・トビリシ(D・アグマシェネベリ並木129番)
株主TGMグループLLCが98.78%、テムル・コホゼが1.22%(2025年12月31日時点)。最終支配者はコホゼ
経営CEOはエカテリネ・カフタラゼ(2024年就任)。監督委員会議長は創業者テムル・コホゼ(2019年〜)
事業乗用車・トラック・建設機械の輸入販売、タイヤ・潤滑油・部品の卸小売、整備、レンタカー、リース、職業訓練
連結範囲子会社42社(2025年末。うち相当数は休眠)、関連会社2社と合弁1社
売上高17億1,792万ラリ(2025年通期、監査済み連結、前期比5.0%増)
純利益8,137万ラリ(2025年通期)。2024年は8,774万ラリ
従業員2,400人超(2025年12月時点、連結ベース)
格付け発行体格付けB+/安定的(スコープ・レーティングス、2026年7月24日にBB−から引き下げ)
資本市場2023年にジョージア初のラリ建てグリーンボンド2,000万ラリ、2025年12月に同じく初のサステナビリティ・リンク・ボンド2億6,000万ラリを発行

所有と経営

監査済み連結財務諸表によれば、テゲタ・モーターズLLCの株主はTGMグループLLCが98.78%、テムル・コホゼ個人が1.22%である。この構成は2021年から2025年まで各年度の財務諸表で変わっていない。最終支配者(ultimate controlling party)はコホゼであると各年度の注記に明記されている。ただしコホゼがTGMグループLLCの持分をどれだけ持つかは、これらの財務諸表では開示されていない。創業者個人が過半を直接保有するという形ではなく、持分の大半は上位のTGMグループLLCを通じて保有されている。

経営陣は2024年に交代した。エカテリネ・カフタラゼが同年に最高経営責任者に就任し、公私両部門で20年の経験を持つ人物として、国際展開と地域での代理店網の拡大を重点に据えるとされている。最高財務責任者はニノ・マミサシヴィリ。事業別にはペトレ・ツァカゼ(乗用車)、ギオルギ・ベリゼ(特殊車両・トラック・バス)、トルニケ・チャフヴァシヴィリ(小売)、ルスダン・サニキゼ(コーポレートサービス)、ニカ・コホゼ(フリート管理)が置かれている。

創業者テムル・コホゼは2019年から監督委員会の議長を務める。監督委員会にはズラブ・サクヴァレリゼも名を連ねる。コホゼは温泉保養地サイルメの創業者でもある。

部品店から自動車エコシステムへ

1995年、LLCオートエクスポートとして自動車部品の小さな店から始まった。1998年に日本のブリヂストンの正規販売店となったことが転機で、同社はこれをロシア製品を世界の主要ブランドに置き換える動きの先駆けだったと位置づけている。2001年に「テゲタ・モーターズ」の名で市場に出た。

以後はメーカーとの提携を軸に広げた。2005年にMAN、2006年にトラック・バス部門とTDCオートモーティブ(シェル潤滑油をジョージア・アルメニア・アゼルバイジャンで独占)、2007年にJCBの建設機械、2008年にボッシュとモービル、2010年にポルシェ、2011年にマツダ、2014年にトヨタ(ショールームと整備工場に最大1,100万ドルを投資)、2019年にボルボ、2021年にリープヘル・ルノートラック・BMC、2022年にペトロナス・クラーク・ポラリス、2023年に吉利、2024年にベントレー・ランボルギーニ・ZEEKRが加わった。

自動車の周辺にも手を伸ばしている。2017年に職業訓練校テゲタ・アカデミーを設立し、2018年開業のレンタカー事業は2022年からユーロップカーの独占パートナーとなった。2022年には廃棄物の収集・運搬・処理を行うテゲタ・グリーン・プラネットが環境農業省の認可を得て稼働している。2020年にはテゲタ・インダストリーが工業用機械の輸入に入った。

拠点の整備も続いている。2008年にアグマシェネベリ並木の本社と、当時地域最大とされた総面積2万7,000平方メートルの多機能整備工場を開いた。2023年には大学通り6番に総投資額6,000万ラリの多機能自動車コンプレックスを開業し、コーカサス初のボルボの新コンセプト(VRE)ショールームを併設した。EBRDから2025年に得た2,500万ユーロの融資は、地域ハブである「ゲジ(Gezi)」プロジェクトの拡張、職業教育の強化、コーポレートガバナンスの改善に充てるとされている。

事業構成

連結財務諸表は事業を二つの報告セグメントに分ける。「車両および関連サービス」と「自動車製品および関連サービス」である。2025年のセグメント売上は前者が12億7,493万ラリ、後者が7億5,718万ラリで、内部取引の消去3億1,420万ラリを差し引いて連結17億1,792万ラリとなる。スコープ・レーティングスによれば、部品・付属品と整備・保守の売上は2023年に全体の30%、2024年に31%を占めた。乗用車販売の強い循環性を、後市場(アフターマーケット)の安定がある程度和らげる構造である。

乗用車ではポルシェ、ベントレー、ランボルギーニ、ボルボ、トヨタ、マツダ、吉利、ZEEKR、ポラリス、インディアンを扱う。トラック・特殊車両ではMAN、JCB、リープヘル、ルノートラック、その他を扱い、JCBについてはジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンの正規販売店である。同社は300を超える世界の自動車ブランドを扱うジョージア最大の輸入業者だとしている。

連結の対象は広い。2025年末の連結財務諸表には子会社42社が並び、関連会社2社と合弁1社がこれに続く。ただし相当数は休眠(inactive)と記載されており、ウクライナ、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、米国の各法人は休眠である。実際に稼働しているのはジョージアの各事業会社に加え、アゼルバイジャン(テゲタ・モーターズ・バクー、アズテック・テゲタ・モーターズ)、ウズベキスタン(テゲタ・モーターズ・セントラルアジア)などである。2025年にはGPS車両管理の3社が新たに連結に加わった。

業績

監査済み連結売上高は2023年に13億7,816万ラリ、2024年に16億3,568万ラリ(前期比18.7%増)、2025年に17億1,792万ラリ(同5.0%増)と推移した。2023年の急伸は、2022年の供給制約による受注残の解消、アルメニアとアゼルバイジャンでの大型商用車受注、吉利の追加といった要因が重なったもので、スコープは2023年の売上増を前年比45%としている。2024年から2025年にかけては伸びが鈍った。

利益は2025年に純利益8,137万ラリで、2024年の8,774万ラリからやや減った。営業利益は1億4,605万ラリ(2024年1億4,099万ラリ)と増えており、差は金融費用の増加による。金融費用は2024年の5,657万ラリから2025年に6,900万ラリへ膨らんだ。スコープは2025年の平均調達コストを約12%と見積もっており、ジョージア国立銀行の政策金利が8%を超えていることが背景にある。

2026年上期(未監査)は売上高7億7,030万ラリと前年同期の約8億ラリから3.7%減った一方、粗利益は1億4,516万ラリから1億6,777万ラリへ、営業利益は5,714万ラリから6,587万ラリへ、税引前利益は1,781万ラリから4,625万ラリへ改善している。数量を追う局面から採算を優先する局面へ移りつつあることがうかがえる。

収益性そのものは小売業としては高い。スコープの調整後EBITDA利益率は2018年から2023年の平均で約10%、2023年は11.7%、2024年は10.9%で、過去5年間一貫して10%を超えている。同社が在庫を厚く持ち短納期で応じる戦略をとっていること、主要メーカーとの独占的な関係があることが、この利益率を支えているとされる。裏返せば、在庫と設備投資に資金が滞留し、営業フリーキャッシュフローは2020年から2025年まで一貫してマイナスだった。

資本市場での動き

テゲタは近年、ジョージアの社債市場で目立つ発行体になっている。2022年にTBCキャピタルの引受で1億5,000万ラリの公募債を発行し、当時としてはジョージア史上最大の起債とされた。2023年には7本の起債を行い、そのなかに2,000万ラリのグリーンボンドが含まれる。これはジョージアの資本市場で初のラリ建てグリーンボンドだった。同年、国内初となる3,000万ドル相当の複数通貨建て社債プログラムも完了している。2024年にはさらに7本を追加発行し、発行済み証券の総額は3億9,500万ラリに達したと同社は説明している。

2025年12月には、ADB(アジア開発銀行)の支援を受けて2億6,000万ラリ(約9,570万ドル)のサステナビリティ・リンク・ボンドをトビリシ証券取引所で発行した。ADBは4,100万ラリ(約1,520万ドル)をアンカー投資家として引き受けている。ラリ建てのサステナビリティ・リンク・ボンドとしてはジョージア初で、低排出車両への更新とESG基準の向上が目標に紐づけられ、調達資金は主にジョージアとアルメニアで排出削減と輸送の低炭素化に充てられる。サステイナリティクスが独立レビューを行い、ICMAのサステナビリティ・リンク・ボンド原則との整合を確認した。ADBは2023年のグリーンボンドでも同社と組んでいる。

この起債は資金繰りの形を変えた。従来は2年債の借り換えを繰り返す構造で、満期の壁が周期的に訪れていた。新しい社債は5年物で、元本の50%を3年目に、残りを満期に返す設計である。あわせてEBRDから7年の2,500万ユーロを調達し、スコープは2029年まで大きな満期が来ないことと、2026年の借り換えが5月と6月の2年債発行で完了したことを確認している。ただし2027年から2028年に約3億ラリの満期が控えており、ジョージアの資本市場の厚みが限られる点は引き続き課題だとされる。

格付け——2026年7月にB+へ

スコープ・レーティングスは2019年3月にテゲタ・モーターズLLCをBB−/安定的で格付けした。以後、2022年10月に見通しを弱含みへ、2023年10月に安定的へ戻し、2024年9月に再び弱含みとした。2024年時点の懸念は、2年債への依存で満期の壁が繰り返し生じること、外貨建て社債が発行残高の42%を占めて為替ヘッジがないこと、そして経営陣の見通しの精度が低く先行きが読みにくいことだった。

2025年2月、スコープは同社の格付けを格下げ方向のレビューに置いた。これは2025年2月14日に改定した一般事業会社向け格付手法が、流動性を「不十分」と評価した発行体はBカテゴリーを超えて格付けされにくいという要素を導入したためである。テゲタの流動性は当時「不十分」と評価されていた。同社が2億5,000万ラリの銀行与信枠を確保したことでレビューは解消され、2025年7月17日にBB−/弱含みで据え置かれた。

そして2026年7月24日、発行体格付けと無担保シニア債の格付けがともにBB−からB+へ引き下げられ、見通しは安定的とされた。理由は事業リスクプロファイルの再評価である。スコープは、同社の売上の88%がジョージアに集中しており、ジョージア経済の対外的な脆弱さ(送金・観光・貿易への依存、構造的な経常赤字、地域の緊張と制裁リスク)に直接さらされる点を重く見た。財務リスクプロファイルの評価はBB−のまま変わっていない。2025年12月時点の債務/EBITDAは2.8倍、EBITDA利払い倍率は3.0倍である。

なお、2026年4月30日にスコープが手法改定を理由に32社を一括してレビュー対象とした措置に、テゲタは含まれていない。同社の手法起因のレビューは2025年2月のものであり、2026年7月の格下げは個社の事業リスクを見直した結果である。ただし引き下げの説明には、最も弱い項目を重く見るという同手法の考え方が明示的に引かれている。

資料によって数字が違うところ

拠点数は資料ごとに違う。テゲタ・ホールディングのサイトは本文で「全国26のサービスセンター」と書き、同じサイトの指標欄では「地域内の販売拠点45」を挙げ、創業者の略歴欄では「国内28のサービスセンター」となっている。スコープは2026年7月の発表で「ジョージアと近隣国に31拠点」としている。数え方(整備拠点か販売拠点か、国内か域内か)が異なるためで、いずれかが誤りというより基準が揃っていない。

従業員数も同様である。監査済み連結財務諸表は2025年12月時点で2,400人超とするが、ホールディングのサイトは「3,000人まで」と表示する。前者はテゲタ・モーターズLLCの連結範囲、後者はグループ全体の表示である。

海外比率も時点で大きく動いている。スコープは2024年9月の発表で「収入の27%が国際取引由来で、為替リスクの自然なヘッジになっている」と書いたが、2026年7月の発表では「売上の88%がジョージア」としている。前者は国際取引の割合、後者は地域別売上構成で、測っているものが違う可能性が高い。現時点で確度が高いのは後者である。

売上高は、予測値と実績値が混在している点にも注意が要る。スコープは2025年7月の発表で2025年の売上を19億4,200万ラリ(前年比18.7%増)としていたが、監査済みの実績は17億1,792万ラリ(同5.0%増)だった。発表の時期によって同じ年の数字が大きく違って見えることがある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

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