ジョージアでは賭博が許可制のもとで合法化されており、実店舗の賭場とオンラインの双方に制度が整えられている。骨格を定めるのは2005年3月25日に成立した「宝くじ、賭博およびその他の賞金付きゲームの実施に関する法律」で、許可の発給と条件履行の監督は財務省歳入庁が担う。免許(ライセンス)ではなく許可(パーミット)として整理され、種類ごとに手数料と条件が異なる。
2021年12月から2023年にかけて規制は大きく変わった。年齢制限の引き上げ、参加を禁じる名簿の制度化、広告の原則禁止、オンライン事業への高額な許可手数料と独自の課税がこの時期に導入されている。ジョージアの賭博会社の決算や事業構成を読むときは、この改正前後で条件が変わっていることを前提にする必要がある。
| 根拠法 | 「宝くじ、賭博およびその他の賞金付きゲームの実施に関する法律」(2005年3月25日成立。2011年・2021年・2023年・2026年に大幅改正) |
|---|---|
| 監督官庁 | 財務省歳入庁。許可の発給・変更・取消と条件履行の監督を行う |
| 許可の種類 | 販促抽選、カジノ、遊技機サロン、ブックメーカー、賭博クラブ、ロト、ビンゴ、オンライン(カジノ・遊技機・ブックメーカーの3種)、国際向けオンライン(同3種)、ゲーム供給 |
| 年齢制限 | ジョージア国民は25歳未満、外国籍・無国籍者は18歳未満の入場と参加を禁止 |
| 名簿 | 依存者名簿と禁止者名簿。歳入庁が管理し、対象者は入場・参加ができない |
| 広告 | 媒体を問わず原則禁止。事業者自身の許可済みサイト、競技場でのスポンサー表示、店舗の看板1枚(10平方メートル以下)、国際空港と国境通過点のみ例外 |
| 主な税率(2026年8月時点) | オンラインカジノ・遊技機は粗収益の20%、オンラインブックメーカーは月間賭金総額の7%、外国籍プレーヤー分は粗収益の5%、プレーヤーの出金は5% |
| オンラインカジノの許可手数料 | 年500万ラリ(実店舗のカジノ許可に基づく場合は年10万ラリ) |
許可の種類
法律第11条は許可を要する行為を列挙している。実店舗系では、カジノ、遊技機サロン(スロットクラブ)、ブックメーカー(トタリザトル)、賭博クラブ、ロト、ビンゴ、販促抽選がある。賭博クラブの許可はトビリシ市でカジノまたは遊技機サロンの許可を持つ事業者にしか出ず、カジノの客席や遊技機サロンとは独立した場所に設けなければならない。
オンラインについては「システム電子形式」という語で規定され、カジノ、遊技機、ブックメーカーのそれぞれに独立した許可がある。許可1件につき運営できるのはインターネットドメイン1つのウェブサイトだけである。オンラインカジノとオンライン遊技機は実店舗の許可なしでも取得できるが、オンラインブックメーカーの許可は実店舗のブックメーカー許可の保有者にしか出ない。
これらとは別に「国際向け」の区分がある。オンラインカジノ、オンライン遊技機、オンラインブックメーカーの国際向け許可の保有者は、ジョージア国民をゲームに参加させることが禁じられている。国外のプレーヤーだけを相手にする事業者のための枠組みで、税率も別に設定されている。
2023年2月の改正で「賭博ゲームの供給」という許可が加わった。ゲームやライブ配信を賭博事業者に提供する事業者、いわゆるB2Bの供給者を許可の対象に取り込んだもので、トビリシに配信スタジオを置く事業者もこの区分に関わる。宝くじだけは許可制ではなく、財務省が実施する入札で独占権者が決まる仕組みである。
2022年以降の規制強化
2021年12月22日の法律第1185号により、参加できる者の範囲が絞られた。現行の第32条は、ジョージア国民は25歳未満、外国籍および無国籍の者は18歳未満について、賭博の実施場所への入場とゲームへの参加を禁じている。オンラインで組織されるゲームも同じ扱いである。事業者は入場者に身分証明書の提示を求め、その書類で年齢を確認する義務を負う。
同じ改正で二つの名簿が制度化された。ひとつは依存者名簿で、本人の申請または裁判所の命令によって登載され、期間は5年である。裁判所の命令があれば登載から3年を経て早期に削除されうる。もうひとつは禁止者名簿で、その運用規則は政府の規範的行為で定められる。いずれも登載できるのはジョージア国民に限られる。名簿の個人データは歳入庁が処理し、事業者の照会に対しては「参加が禁止されているか否か」だけを回答する。
広告は広告法第8条の3で規律される。賭博、ブックメーカー、ロト、ビンゴおよびそれらの運営者に関する広告は、電子通信網を含めどのような形式・手段によっても頒布できない。例外は4つで、事業者自身の許可済みウェブサイト上、スポーツ組織や競技会へのスポンサー提供の対価として競技会場の内側にバナーや選手のユニフォームで掲出する場合、賭博が許される施設の外壁に10平方メートル以下で1点だけ掲出する場合、そして国際空港と国境通過点の敷地内である。看板も1枚・10平方メートル以下に制限される。
税と手数料
ジョージアの賭博事業者の負担は三層になっている。第一が国庫に納める許可手数料、第二が自治体の予算に入る賭博事業手数料、第三が税法上の所得税・利益税である。
許可手数料は「ライセンスおよび許可手数料に関する法律」が定める。オンラインカジノの組織は年500万ラリだが、実店舗のカジノ許可に基づいて取得する場合は年10万ラリに下がる。オンライン遊技機は年100万ラリ(実店舗の遊技機サロン許可に基づく場合は年10万ラリ)、オンラインブックメーカーは年10万ラリである。国際向けの3種はいずれも年10万ラリ。実店舗では、カジノがバトゥミなど一部地域を除いて年500万ラリを上限、バトゥミ市などでは年25万ラリ、遊技機サロンが年5万〜100万ラリ、ブックメーカーが年3万〜30万ラリ、賭博クラブが年1万〜5万ラリの範囲で定められる。
賭博事業手数料は自治体予算に入る負担で、法律が上下限を定め、その範囲内で自治体が率を決める。カジノ卓は四半期あたり2万〜4万ラリ、クラブ卓は4,000〜1万4,000ラリ、遊技機1台は2,000〜4,000ラリ、オンラインのカジノ・遊技機・ブックメーカーはそれぞれ25万〜30万ラリである。宝くじは販売総額と賞金原資の差額の10%、販促抽選は賞金原資の10%が課される。
税は2023年12月と2024年6月の改正で現在の形になった。遊技機サロンとオンラインカジノ・オンライン遊技機の課税対象は、プレーヤーから受け取った賭金と支払った賞金の差額(粗収益)で、税率は20%である。オンラインブックメーカーは異なり、各月に受け取った賭金の総額そのものが課税対象で、税率は7%である。外国籍プレーヤーの参加に由来する分は、オンラインの賭博・ブックメーカーとも粗収益に対して5%に軽減される。実店舗の賭博クラブとブックメーカーがこの活動から得た利益の分配は、利益税の課税対象から除かれている。
プレーヤー側にも課税がある。電子ゲーム口座からの出金額が個人所得税の対象となり、税率は5%である。外国籍プレーヤーの出金と賞金はこの対象から除かれる。
立地による優遇
カジノの許可手数料には地域政策としての免除が組み込まれている。グダウリ特別規制地域、バクリアニ、ツカルトゥボ、シグナギの各地域では許可手数料が免除される。またバトゥミ市、コブレティ、ヘルヴァチャウリで新築される100室以上のホテル、およびズグディディ市のアナクリア村とガンムフリ村で新築される80室以上のホテルの敷地内にカジノを設ける場合は、許可の発給から10年間手数料が免除される。
この仕組みは、賭博をホテル投資の呼び水として使う政策である。黒海沿岸のリゾート開発を語る記事で「カジノ付きのホテル」が繰り返し登場するのは、この免除が背景にある。
参考資料
- 宝くじ、賭博およびその他の賞金付きゲームの実施に関する法律(ジョージア立法報、2026年7月3日版) ↗
- 賭博事業手数料に関する法律(ジョージア立法報) ↗
- ライセンスおよび許可手数料に関する法律(ジョージア立法報) ↗
- 広告に関する法律 第8条の3(ジョージア立法報) ↗
- ジョージア税法 第80条・第81条・第97条・第98条・第309条(ジョージア立法報) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。