解説 · 2026年8月時点
アゼルバイジャン国際銀行(ABB)は、同国最大の銀行である。総資産は136億2,690万マナト(2025年末時点)で、個人顧客は300万人を超える。人口約1,000万人の国で、成人のかなりの部分が口座を持つ計算になる。政府が支配株主である国有銀行だが、2024年9月にバクー証券取引所へ株式を公開し、同国の資本市場史上もっとも大きな案件となった。
| 正式名 | International Bank of Azerbaijan OJSC(ABB、現地名 Azərbaycan Beynəlxalq Bankı) |
|---|---|
| 設立 | 1992年 |
| 本店 | アゼルバイジャン・バクー |
| 事業 | 商業銀行業務(法人・個人) |
| 総資産 | 136億2,690万マナト(2025年末、健全性報告ベース) |
| 顧客預金 | 93億5,240万マナト(2025年末) |
| 貸出金(純額) | 65億1,510万マナト(2025年末) |
| 自己資本 | 22億470万マナト(2025年末)。自己資本比率18.39% |
| 収益性 | 自己資本利益率16.55%、総資産利益率2.31%、資金利ざや6.46%(2025年通期) |
| 顧客数 | 個人304万6,442、法人2万637(2025年末) |
| 店舗・従業員 | サービスセンター85か所(バクー36、地方49)、従業員4,074人 |
| 格付け | フィッチBB(見通しポジティブ)、ムーディーズBa1(安定的) |
| 上場 | 2024年9月にバクー証券取引所へ新規株式公開(IPO) |
沿革と経営危機
1992年、独立直後のアゼルバイジャンで設立された。ソ連の対外貿易銀行の系譜を引き継ぎ、長く同国最大の銀行であり続けている。
同行の歴史で最大の出来事は2017年の債務再編である。不良債権の累積で経営が悪化し、対外債務の再編を実施した。この処理を経て問題資産を切り離し、以後は資産の質の改善と収益力の回復に取り組んできた。2025年通期の不良債権比率や資本の水準を見るかぎり、再編前とは異なる財務基盤に立っている。
2024年のIPO
2024年6月、バクー証券取引所の上場委員会は同行株式をプレミアム市場区分に組み入れることを決め、同年9月17日から24日にかけて新規株式公開が行われた。3万3,000人を超える投資家から約5万件の注文が入り、すべてが約定した。個人株主の数は1,794人から3万5,104人へ増え、民間株主の持ち分は7.8%になった。
この案件は、投資持株会社(AIH)が掲げる国有企業の民営化準備の第一号にあたる。長く名目的な存在だったバクー証券取引所に個人投資家を呼び込んだ点で、市場そのものへの効果が大きかった。
業容と傘下
2025年末時点で、総資産136億2,690万マナト、顧客預金93億5,240万マナト、貸出金(純額)65億1,510万マナト、自己資本22億470万マナトである。自己資本比率は18.39%と規制上の最低水準12.5%を大きく上回る。2025年通期の自己資本利益率は16.55%、総資産利益率は2.31%、資金利ざやは6.46%、経費率は43%だった。法人向け貸出は35億マナトにのぼる。
全額出資の子会社に、ロシアのABBモスクワ、カード決済処理のアゼリカード、IT子会社のABBイノベーション、リース、投資会社などがある。持分では、アゼルバイジャン信用情報機関に12.50%、バクー証券取引所に4.76%を出資する。格付けはフィッチがBB(見通しポジティブ)、ムーディーズがBa1(安定的)である。
参考資料
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。