ORGANIZATION · CENTRAL BANK

アルメニア中央銀行

アルメニアの中央銀行。金融政策のほか、銀行・保険・証券・電子マネー事業者の規制と監督を担う。規則の改正は理事会決定として公表される。

Central Bank of Armenia
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

アルメニア中央銀行(CBA)は、アルメニアの中央銀行であり、独立した金融当局である。物価の安定と金融の安定を主たる目的とし、これらを通じて持続的な経済成長に寄与することを使命とする。本部はエレバンにある。

中核の役割に加え、CBAは金融サービスの規制と監督(銀行、決済サービス提供者、保険会社、証券市場)、通貨ドラムの発行と流通の管理、金融・対外部門統計の作成と公表、資金洗浄・テロ資金供与対策を担う。銀行・保険・証券をひとつの機関が見る統合監督型であり、この点はアゼルバイジャンと共通する。

正式名Central Bank of the Republic of Armenia(CBA)
設立1993年。同年に最初の中央銀行法が採択された
本部アルメニア・エレバン
通貨ドラム(AMD)。1993年11月22日に流通開始(ソ連ルーブル200対ドラム1)
使命物価の安定と金融の安定(2018年4月9日に金融安定が加わった)
金融政策の枠組み柔軟なインフレ目標。2006年1月1日に全面移行
インフレ目標前年同月比3%(変動許容幅は±1.0%ポイント)
政策金利6.50%(2026年8月4日の会合で据え置き)
為替制度1996年以降、自由変動相場制
監督対象銀行、決済サービス提供者、保険会社、証券市場

沿革と金融政策の変遷

CBAは独立とともに独自の金融政策を始め、1993年に最初の中央銀行法が採択された。国民通貨ドラムは1993年11月22日にソ連ルーブル200対ドラム1の比率で導入され、この日はアルメニア・ドラムの日として毎年記念されている。ソ連ルーブル紙幣は1994年3月17日まで並行流通した。

1994年、CBAはマネーサプライ目標を金融政策の戦略として採用し、同年に最初の金融政策プログラムを策定した。1996年には第2次の中央銀行法が採択され、中央銀行の主目的が物価の安定と定められるとともに、運営上の独立性が与えられた。同じ1996年以降、自由変動相場制を採用し現在に至る。

2006年1月1日、CBAは全面的なインフレ目標の枠組みへ移行した。2011年から2012年にかけては政策決定の仕組みを大きく改め、政策の視野を1年から3年に広げ、金利不変を仮定した条件付き予測ではなく、自らの金融政策を織り込んだインフレ予測を示すようになった。2018年4月9日には、主目的が物価の安定に加えて金融の安定を含むよう拡大された。

現在の枠組みは「柔軟なインフレ目標」と呼ばれる。中期(1〜3年)で前年同月比3%のインフレを達成することを点目標とし、法令上は±1.0%ポイントの変動許容幅が認められている。金融政策の効果が伝わるには時間がかかること、短期で目標へ戻そうとすると経済と金融が過度に不安定になること、そして世界の商品市況や食料価格のような供給側のショックは金融政策の及ばない一時的な要因であることが、その理由として説明されている。政策金利は2026年8月4日の会合で6.50%に据え置かれた。

ドラムの歴史

ドラムは1993年11月22日、ソ連ルーブル200対ドラム1の比率で導入された。当初は各種の額面の紙幣が発行され、ソ連ルーブル紙幣は1994年3月17日まで並行して流通した。その後、アルミ貨と高額紙幣が加わって通貨体系が整っていった。

第2次の紙幣シリーズは1998年に導入され、偽造防止技術とデザインが改善された。2001年にはアルメニアのキリスト教国教化1700年を記念する5万ドラム紙幣が発行されている。2003年から2005年にかけて第2次の硬貨シリーズが導入される一方、第1次シリーズの紙幣は順次流通から引き揚げられた。2009年には最高額面となる10万ドラム紙幣が発行された。

第3次シリーズは2018年に導入され、現代的な偽造防止技術と、耐久性を高める複合素材の基材が採用された。2,000ドラムという新しい額面が加わり、シリーズは1,000ドラムから5万ドラムまでで構成される。ドラムは独立国家の象徴のひとつと位置づけられ、11月22日は「アルメニア・ドラムの日」として毎年記念されている。

監督と規制

CBAは、金融制度の安全性・健全性・誠実性を、将来を見据えたリスクベースの監督によって維持することを役割としている。規制の対象は、自己資本要件、流動性管理、リスク管理の実務、企業統治、消費者保護、市場行為の6分野に整理されている。

近年の規制改正では、決済分野の動きが目立つ。2026年8月11日、CBAは電子マネーの発行と利用に関する規制を改めた。理事会決定第177-N号により規則16.02を改正し、記帳口座の開設に銀行口座または決済カードの保有を求める要件を撤廃し、チャージと払戻しを現金でも行えるようにした。銀行口座を持たない層が電子マネーを使えるようにする措置である。

利用者への注意喚起も行う。2026年8月17日には、他人の口座を経由させて犯罪収益を移す「名義貸しの仲介役」の手口について通知を出した。銀行口座に加えて暗号資産の口座や電子ウォレットも対象に挙げ、報酬を受け取らなくても法的な結果は生じうるとしている。

情報の探し方

CBAの資料はアルメニア語版が先に出ることが多く、英語版の更新が遅れる場合がある。理事会決定は個別の番号で公開され、旧サイト(old.cba.am)に掲載された過去の告知も引き続き参照できる。政策金利の決定は、決定そのもの、金融政策の声明、そして判断の根拠となる文書一式が同じ日に公表される。

統計面では、金融部門と対外部門の統計をCBAが作成・公表している。為替レートの履歴も公開されており、機械可読の形で取得できる。

組織と関連機関

CBAは、その目的を果たすために独立した統治機構、法的なものを含む適切な手段、そして必要な財務・人的資源を備えることが求められており、これらはアルメニア共和国中央銀行法で規律されている。

資金洗浄・テロ資金供与対策では、CBAの内部に金融監視センター(Financial Monitoring Center)が置かれ、アルメニアの金融情報機関(FIU)として機能する。2026年には、アルメニアの資金洗浄・テロ資金供与・大量破壊兵器拡散金融対策制度に関する第6次相互審査の報告書が公表された。

消費者保護と金融教育もCBAの業務である。金融サービス利用者の権利保護の枠組みを運用し、金融教育の取り組みを進めている。国会、政府、金融機関、国際機関との連携を通じて任務を果たすという立場を明示している。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

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