ロシアとアルメニアの貿易が急速に縮んでいる。ロシアのアレクセイ・オベルチュク副首相は2026年8月6日、記者団に対し、同年の両国間の貿易額が2025年比でおよそ3分の1にまで落ち込み、今後も減少が続くとの見通しを示した。同副首相はこの減少を「劇的」と表現している。タス通信の報道としてARKA通信が伝えた。
アルメニア側は、この事態を経済への実害として捉えている。アルメニア中央銀行のホヴァネス・ハチャトリャン副総裁は8月4日、対ロシア輸出が減少または停止した場合、GDPのおよそ1.5〜2%に相当する部分が危険にさらされうると述べた。中央銀行の幹部が具体的な数字を挙げて言及したこと自体が、事態の深刻さを示す。
原因の説明は、両国で食い違っている。
アルメニア国民議会のルーベン・ルビニャン議長は8月6日、ロシア連邦院のワレンチナ・マトビエンコ議長との電話会談で、アルメニア産品のロシア市場向け輸出に課された「不当な制限」への懸念を伝えた。
これに対しロシア外務省は同日、アルメニア産品の輸出における困難はロシア側の制限によるものではなく、「伝統的な経済関係が断たれつつあることの帰結」だとの見解を示した。制限を課しているのではなく、アルメニアが関係を離れつつあるからだ、という主張である。
数字の全体像も出ている。アルメニア統計委員会によれば、2026年1〜6月の対外・相互貿易額は95億7,094万ドルで、前年同期比0.1%減とほぼ横ばいだった。ARKA通信はこれを「地理の変化を伴う停滞」と表現している。総額が動いていないのに、相手国の構成が入れ替わっているという意味である。
つまりアルメニアは、ロシア向けで失った分を他の市場で埋めつつある。ただし埋め合わせが完全でなければ、中銀副総裁の言うGDP1.5〜2%という数字が現実になる。
農業分野では対応が始まっている。与党「市民契約」のサルギス・ハンダニャン議員は8月13日、政府が農業分野の企業が直面する課題に積極的に取り組んでおり、承認済みの支援計画があると述べた。輸出先の多角化を進めつつ、ロシアとの対話も継続しているという。
アルメニアは内陸国であり、輸送経路が限られる。ロシア市場への依存を減らすには、代替の販路だけでなく、そこへ運ぶ経路も要る。8月に入ってロシア産小麦がアゼルバイジャン領内を通過してアルメニアへ鉄道輸送され始めたことは、その経路の選択肢が広がりつつあることを示している。
