解説 · 2026年8月時点
保証基金(ОАО «Гарантийный фонд»)は、担保が足りないために銀行から借りられない中小企業に対し、公的な保証を付けて融資を成立させるキルギスの国有機関である。事業者が銀行と結ぶ融資契約について、基金が書面で履行を引き受ける。担保が不足する分を国が肩代わりする形で、農業、農産物加工、工業、住宅ローン、観光を優先分野に据えている。
同基金の説明によれば、設立から10年で2万2,093の事業者が保証を受け、保証額の累計は208億ソムを超え、これによって639億ソムの融資が実行された。2026年に入ってからは7月31日までに1,173件・30億3,800万ソムの保証を出し、98億ソムの融資を引き出したとしている。資本の9割超をキルギス国立銀行が握るという珍しい構造をとっており、読み手はこの点を念頭に置く必要がある。
| 正式名 | ОАО «Гарантийный фонд»(Guarantee Fund OJSC、略称ГФ) |
|---|---|
| 設立 | 2016年6月23日付政府指令第288-r号により設立。法人登記は2016年9月16日 |
| 本社 | キルギス・ビシケク市チュイ大通り114、4階420号室 |
| 事業 | 中小企業の銀行借入に対する信用保証。住宅ローンの頭金保証、ポートフォリオ保証も扱う |
| 授権資本 | 66億3,200万ソム(額面100ソムの普通株6,632万株) |
| 株主 | キルギス国立銀行91.22%、閣僚会議付属国有財産管理国家庁8.78% |
| 拠点 | 本部のほかバトケン、ジャララバード、ナリン、オシュ、タラス、イシククリの6支店 |
| 従業員 | 114人(2026年6月末時点) |
| 監督 | キルギス国立銀行(2019年の法改正により保証基金の規制・監督機関に) |
| 上場 | キルギス証券取引所(KFB)のカテゴリーB(2022年5月11日に上場) |
沿革
キルギスで保証基金の仕組みが始まったのは2011年である。まずカラ・バルタとジャララバード、続いてカラコルとオシュ州カラスー地区サライ村に、市役所や村役場が出資する地域単位の試験的な基金が4つ置かれた。その後オシュ市とカント市にも設けられ、計6つの基金が動いた。2013年には「キルギス共和国における保証基金について」法が成立して法的基盤が固まり、同年12月12日には全国の保証基金を束ねる協会が発足した。2014年10月からこの協会は欧州連合の保証基金協会に加盟している。
地域基金の実績を踏まえて全国規模の支援を行うため、2016年6月23日付の政府指令第288-r号により公開型株式会社「保証基金」が設立された。当初資本は共和国予算から7,200万ソムが拠出され、これにアジア開発銀行の投資環境改善プログラム(サブプログラム2)から300万ドルが加わって、2016年末の資本は2億8,200万ソムとなった。実務はこのときから始まった。
資本はその後段階的に積み増された。2018年6月25日付の政府指令第217-r号で3億ソムが追加され5億8,200万ソムに、2019年と2020年には国立銀行の資金により41億3,200万ソムまで増資された。2026年8月時点の授権資本は66億3,200万ソムである。
制度上の位置づけ
2019年4月13日、大統領が新しい「保証基金について」法に署名し、キルギス国立銀行が保証基金の規制と監督を行う機関と定められた。同じ日に税法の改正も成立し、保証基金は他の金融信用機関と同様に、積み立てた潜在的損失引当金を総所得から控除できるようになった。この法改正のあと、国立銀行自身が増資の引き受け手となったため、現在の株主は国立銀行91.22%、閣僚会議付属国有財産管理国家庁8.78%という構成になっている。
2022年8月5日には法改正により、国の住宅ローンプログラムの利用者で頭金を用意できない者が同基金の保証を受けられるようになり、あわせて銀行が保証枠のもとで融資を出す「ポートフォリオ保証」が導入された。同年12月13日には保証基金、国家住宅金融公社、RSK銀行(現エルディク銀行)が住宅ローン保証の協定に署名している。
事業と外部資金
保証商品は用途別に細分化されている。若手起業家向けの「ジャシュ・イシケル」、女性起業家向けの「イシケル・アイム」、住宅ローン向けの「ケレチェク」、車両向けの「ウナー」、迅速審査の「ウルダム」などがあり、金融機関向けにも「ゴリゾント」「コーポラティブ」「イジャラ・プリュス」「ベレケ」「GREEN」といった枠組みが用意されている。
外部資金では世界銀行との関係が大きい。2021年9月15日、同基金と経済財務省は世界銀行の「零細・中小企業への緊急支援」プロジェクトに関する代理店契約に署名した。同基金は第2構成要素である「ポートフォリオ・リスク分担メカニズム(МРПР)」の実施を担い、その規模は当初2,400万ドルだったが、2022年6月に3,200万ドルへ引き上げられた(プロジェクト全体も1億ドルから1億5,000万ドルへ拡大)。
2018年にはアジア開発銀行が、キルギス型の保証基金モデルを成功例と認め、中央アジア・コーカサス諸国への導入を推奨したとされる。同基金は2022年2月15日に「キルギスの保証基金モデル」を商標として登録し、2022年6月にはISO 9001:2015の品質マネジメントシステムを導入した。
実績の数字
同基金の2026年7月31日付の発表によれば、2026年初からの実績は保証1,173件、保証額30億3,800万ソム超で、これにより98億ソムの融資が実行された。設立から10年間の累計では、保証を受けた事業者が2万2,093、保証額が208億ソム超、引き出された融資が639億ソムである。
貸倒れの状況、保証の代位弁済率、自己資本比率といった健全性の指標は、四半期ごとの上場目論見書に開示される国立銀行の基準値を除いて、まとまった形では公表されていない。財務諸表は公式サイトの「Финансовые отчеты」欄に置かれている。
参考資料
- История создания — ОАО «Гарантийный фонд»(公式サイト) ↗
- Благодаря ОАО «Гарантийный фонд» предприниматели с начала года привлекли почти 9,8 млрд сомов кредитных средств(公式サイト、2026年7月31日) ↗
- Листинговый проспект ОАО «Гарантийный фонд»(2026年第2四半期、キルギス証券取引所) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。