週間まとめ

先週の中央アジア・コーカサス:韓国と中央アジア5か国がソウルで第1回首脳会議、アルメニア中銀が政策金利を6.75%へ引き上げ(9月14日〜20日)

韓国と中央アジア5か国は9月16日、ソウルで第1回首脳会議を開き、2年に1度の開催を宣言に記した。カザフスタンのトカエフ大統領は訪韓中に約190億ドルの商業上の合意が署名されたと述べ、ウズベキスタン大統領府は署名や投資の決定に触れずに約120億ドルの有望プロジェクトが準備されたとしたが、どちらも案件ごとの金額は示されていない。アルメニア中銀は2022年12月以来の利上げで政策金利を6.75%とし、欧州議会は同国産品の従価税を免除する規則で第1読会の立場を採択し、理事会の承認と官報掲載を待つ。

資料写真:トルキスタンの霊廟/Petar Milošević(CC BY-SA 4.0)出典
この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)。点は本文に出てくる場所(アスタナ、カラチャガナク、カラカルパクスタン、トビリシ)。

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は9月16日、ソウルで第1回「中央アジア・韓国」首脳会議を主宰した。カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの大統領が出席し、ソウル宣言が採択され、産業・供給網の協力に関する覚書が結ばれ、産業相の協議体が新設された。宣言によると首脳会議は今後2年に1度開き、カザフスタンが2028年にアスタナで第2回を開く用意を示したことを他の国が支持した。重要鉱物とエネルギーの具体的な協力は「関心を表明した」という書き方で、金額や貿易額の目標は宣言に無い。演説では、カザフスタンのトカエフ大統領が中央アジアと韓国の貿易は昨年初めて100億ドルを超えたと述べ、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領が産業・通商相の会合の場を設ける構想を支持し、こうした措置によって域内諸国と韓国の貿易を2030年までに200億ドルにする目標に届くと述べたが、2人の数字が同じ集計に拠るかは発表に書かれていない。李大統領は14〜16日に5か国の大統領とそれぞれ会談し、トルクメニスタンとは締結を目指してから16年となる投資保障協定に署名し、カザフスタンとは関係を17年ぶりに「未来志向の包括的戦略パートナーシップ」へ格上げし、タジキスタンとは初めて「包括的パートナーシップ」を樹立した。政府間の文書の件数は、タジキスタンとの会談で韓国大統領室が17件、タジキスタン大統領府が15件を挙げるなど、韓国と相手国の発表で食い違う。

カザフスタンとの間では合意の総額が示された。トカエフ大統領は16日のビジネス・サミットで、訪問中に両国の間で約80件・総額約190億ドルの商業上の合意が署名されたと述べた。同じ数字を15日に発表した国家福祉基金サムルク・カズナによると、基金グループが署名した合意は総額約110億ドルだが、110億ドルが190億ドルに含まれるかは書かれておらず、同基金が9月9日に大統領へ報告した2027〜29年の38事業・21兆テンゲの計画との関係も発表に書かれていない。文書ごとの金額は示されておらず、190億ドルが投資額なのか取引額なのかも、どの発表にも書かれていない。同基金が最初に挙げたのは、カラチャガナク油ガス田の原料ガスを年50億立方メートル処理する工場の建設事業でQazaqGazと現代エンジニアリングが結んだ合意だが、現代エンジニアリングによると同社は5月に落札通知書を受け取っており、15日に結んだのは事業の実施に関する合意書である。韓国財政経済部によると、同じ15日には韓国輸出入銀行がフォルテバンクに7,000万ドルの転貸融資の枠を設ける覚書も結ばれた。

ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は9月13〜16日に国賓として韓国を訪れ、14日に李大統領と会談した。同国大統領府は訪問の結果として総額約120億ドルの有望プロジェクトが準備されたと発表したが、署名や投資の決定には触れておらず、内訳も示していない。韓国大統領室によると、両首脳は協定と覚書計13件を交換した。重要鉱物では15日、韓国輸出入銀行、ウズベキスタン復興開発基金、国営企業TMK、アジア開発銀行(ADB)の4者が、加工・製造と供給網の協力プラットフォームの構築に関する覚書に署名した。両国の省どうしは2024年6月にも重要鉱物の協力協定を結んでおり、今回の覚書は金融支援を担う輸出入銀行とADBを当事者に含む。財政経済部によると、高速鉄道車両8編成(56両)の追加導入は、韓国の対外経済協力基金(EDCF)の妥当性調査を2027年上半期まで行い、事業の審査を経て借款を承認するかを決める段階にある。大統領府は15日、大統領が輸出入銀行との総額80億ドルの新たなパートナーシップ・プログラムの「署名を支持した」とも発表したが、署名が済んだのかは書かれておらず、韓国大統領室と財政経済部の発表にこのプログラムは出てこない。

カザフスタンのトカエフ大統領は韓国訪問に先立つ9月13日、ニューデリーでのBRICS首脳会議の「BRICSプラス」形式の全体会合で演説した。大統領府によると、トカエフ氏はBRICS加盟国・パートナー国との2025年の貿易額が約720億ドルに達したと述べたが、どの国を数え、どの統計に拠った数字かは発表に書かれていない。人工知能の分野では「BRICSプラス・パートナーシップ」の立ち上げを提案したが、参加国、資金、時期は示されていない。新開発銀行(NDB)については、カザフスタンを含むすべてのBRICS諸国で採算の取れる事業への融資の可能性を「検討できるのではないか」と述べるにとどまり、NDBの加盟国一覧にカザフスタンは載っていない。通過貨物を長期的に年1億トンにするという目標は、運輸相が6月16日の政府会合で、2040年に1億トンにする計画として示していた数字である。ユーラシア経済連合(EAEU)とインドの自由貿易協定は、ユーラシア経済委員会によると次の全体交渉会合が11月に予定されている。モディ首相との会談の発表に、署名された文書や金額を伴う合意は出てこない。

アルメニアをめぐっては9月15日、金融と通商の両面で動きがあった。中央銀行は政策金利を0.25ポイント引き上げて6.75%とした。利上げは2022年12月13日以来、約3年9か月ぶりで、新金利は9月16日から適用する。投票は総裁と副総裁1人を含む5人が利上げ、もう1人の副総裁を含む3人が据え置きだった。金融政策声明は、第2四半期に6.7%だった成長が長期的に持続可能な水準を上回り、主に建設とサービスが担う成長は超過需要の存在を示すとし、インフレは8月に前年同月比4.4%と目標の3%を上回り続けているとした。中銀が9月9日に行った市場参加者の調査では、今後8回の決定で6.5%が続くとの予想だった。同じ15日、欧州議会は本会議で、アルメニア産品に一時的な貿易自由化措置を導入する規則について第1読会の立場を賛成583・反対49・棄権39で採択した。規則は附属書Iに掲げる産品の従価税を免除し、農産物8品目は関税割当の枠内で従価税を免除する。採択文の前文は、ロシアが2026年5月以降にアルメニアの主要輸出品の輸入と通過に影響する大規模な貿易措置を導入したことを背景に挙げている。欧州委員会が7月2日に提出した規則案について、9月2日にEU理事会が立場を合意し、3日に欧州議会の国際貿易委員会が可決していた。理事会の代表は9月2日付の書簡で議会の立場を承認すると約束しており、理事会が承認すれば規則が成立する。規則は官報掲載の翌日に発効して2年間適用されるが、理事会が承認する日と官報に掲載される日は示されていない。

ウズベキスタン中央銀行は9月16日、政策金利を年14%に据え置いた。8月の総合インフレ率は前年同月比6.2%に鈍化し、コアインフレは約5.5%だった。発表文は前回の7月29日と比べ、インフレの評価を「低下のペースが鈍った」から「低下が続く」へ改め、消費・投資需要は活発としつつ総需要の一部の構成要素に安定の兆しを認めたが、2026年のインフレ率と成長率の見通しの数字は示さず、金融環境の緩和に向かう記述も置いていない。発表文が挙げた2027年末までにインフレを目標の5%へ下げるという年限は、2025年10月24日の発表と、同年11月18日に承認された金融政策の基本方針にすでに示されている。中銀はこれに先立つ9月11日、2026〜2030年の外貨オペレーション・介入戦略を公表した。介入は為替取引所でだけ行い、国内の生産者から買った貴金属を国際市場で売って得た外貨の売却と、経済財務省などの顧客向けの外貨の売買は、定めた頻度で事前に公表する日程に沿って行う。為替レートを金融政策の目標にしないことなどは従来の方針を書き込んだもので、承認の有無と日付、適用を始める日、外貨オペレーションの頻度と日程、取引の規模は示されておらず、中銀は9月14日までに外貨オペレーションの日程を公表していない。

ウズベキスタン大統領府は9月18日、カラカルパクスタン共和国で11事業・5億9,200万ドルが稼働し、47事業・70億ドルの建設が始まったと公表した。数字は大統領府が示したもので、70億ドルが何の額かを発表は定義しておらず、投資額か事業費かの区別も資金の出し手も示されていない。金額付きで名指しされたのは稼働と建設開始を合わせて9件だけである。47事業のうち金額が示された6件を足すと52億5,200万ドルで、残る約17億4,800万ドルは何の事業か示されていない。建設開始の側で金額が示された6件のうち最も大きいACWAとの風力1.5ギガワットと系統連系(26億ドル)は、発表の表現が「活発な段階に移る」で、着工とは書かれていない。次に大きい中国のパートナーとのデジタル通貨の生産と人工知能向けのデータセンターの整備(22億8,100万ドル)について、発表は相手企業の名を記していないが、デジタル通貨の生産については、4月17日署名・20日施行の大統領決定PP-143が共和国の全域を区域とする特別マイニングゾーンをすでに設けている。稼働した側で金額が示された3件のうち最大の、タヒアタシュ地区のLinkwiseの計算センター(1億5,000万ドル)は、動いたのが第1期で、この額はセンター全体のものである。計画自体は中国の上海LinkWise Data Intelligence社のものとしてIT Park Uzbekistanが2025年11月4日に公表していたが、22億8,100万ドルの事業との関係は書かれていない。発表に出てくる風力300メガワットも、2025年12月5日に稼働した100メガワットと8月25日の163事業の一斉稼働で動いた200メガワットの合計で、この日に新たに動いた設備ではない。大統領府は2月20日に、今後5年間に工業とサービスの分野で72億ドルの事業を実施する計画を示しており、今回の70億ドルには年数が示されていない。

カザフスタンでは首相府が制度と事業の進捗を相次いで公表した。17日には、税法典導入プロジェクトオフィスの第28回会合で、固体鉱物へのロイヤルティの適用開始を2027年1月1日から2029年1月1日へ移す案を参加者が支持したと発表した。提案したのは産業建設省で、発表が書いているのは会合の結論であり、政府の決定や法改正としては書かれていない。発表によれば、税法典はロイヤルティの対象を、従前に地下資源利用権が与えられていなかった地域に2026年12月31日より後に交付されたライセンスで採掘した鉱物原料と固体鉱物の販売と定めており、発表はすでに交付されている権益の扱いには触れていない。税率の設定などは追加の検討を要する論点とされ、税率も税収の見込みも、期日を動かす手続きと時期も示されていない。18日には、国家プロジェクト「エネルギー・住宅公共サービス部門の近代化」で最初の14施設の工事が完了し、投資額は273億テンゲだったと公表した。組成された事業は347件・8,390億テンゲ、工事・機材調達に着手した事業は77件・1,260億テンゲで、各段階の件数がどう重なるかは書かれていない。8,390億テンゲは8月12日の発表にあった2026年分の7,910億テンゲ(328事業)を更新した値だが、どの期間の事業を指すかは発表に書かれていない。ボズムバエフ副首相によると、7月以降に所管官庁へ約300件の申し立てがあり、EPC業者からの112件が認められたとして、入札書類の準備と発注者側の審査能力に問題があるとした。

キルギスでは、国家統計委員会が9月14日に公表した1〜8月のGDP速報値が1兆3,968億ソム、前年同期比11.0%増だった。伸びは1〜7月の11.1%増とほぼ変わらないが、建設が61.0%増と伸びる一方、鉱工業の物量指数は1〜7月の111.2%から108.8%に下がった。消費者物価は1〜8月に2025年12月比で7.6%上昇し、8月の前年同月比は12.0%だった。内閣は9月14日付の決議No.614で、第三国からの一部の建材の輸入を6か月の期間で一時的に禁止すると決め、16日に公表した。対象は建築用ブロック・れんが、タイル、板ガラス、ケーブル・電線のうち附属書に挙げた品目で、EAEU加盟国の領域から搬入されるものと通過貨物は対象外である。禁止は決議の発効から3日を経て始まるが、始まる日と終わる日は決議にも内閣の発表にも日付では書かれていない。統計委員会の2025年の貿易統計の国別の値を合計すると、板ガラスの輸入877万ドルのうち第三国からは405万ドルで、その85%にあたる346万ドルがウズベキスタン産だった。建材の輸入の一時禁止は2026年4月にも石膏ボードを対象に決議されており、2024年7月と2025年3月にはセメントなどの自動車輸送による輸入を6か月禁止する決議が出たが、どちらも期間の途中で廃止された。

ジョージアでは経済持続可能発展省が9月15日、コバヒゼ首相とクヴリヴィシヴィリ経済持続可能発展相が高層ビル「トランプ・タワー・トビリシ」の発表会に出席したと発表した。開発会社Archi Groupは事業ページで塔を62階建て、高さ280メートルとしており、4月に計画が発表された際の約70階から階数が変わった理由は示されていない。ジョージアの通信社コメルサントによると、首相は発表会で塔が2031年に、地区全体が2033年に完成するとの見通しを示したが、完成時期は開発会社の発表には示されていない。塔を含む6棟の複合開発「ダウンタウン・トビリシ」の総投資額約20億ドルは、Archi Groupが5月に示した見積もりで、誰がいくら出資するかはいずれの発表にも書かれていない。

今後の予定では、カザフスタンのエネルギー・住宅公共サービスの近代化で、違反が確認された場合に自然独占事業体の責任者へ行政上の責任を問うことの検討が国民経済省と地方の行政機関に10月1日まで、調達とオフテイク契約の法令改正が産業建設省に10月15日まで指示されており、進捗報告は今後週次になる。ウズベキスタン中銀の政策金利を検討する次回の理事会は10月28日に予定されている。アルメニア中銀の次回の決定は11月3日(適用は11月4日)である。ウズベキスタンのゲノム・バイオバンク「バイオームセンター」の設立は、2027年下半期まで韓国の対外経済協力基金の妥当性調査が続き、その後の事業の審査を経て借款を承認するかが決まる。日付が示されていないものでは、キルギスの建材の輸入禁止は決議が公式公布の日から7日を経て発効し、その3日後に始まる。アルメニア産品が従価税の免除を受けられるようになるのは規則の発効日からで、その日は理事会の承認と官報掲載の時期で決まる。

この記事の日付 2026年9月22日 は、出典が発表された日です。

本サイトでの初出 2026年9月22日 11:06

更新履歴(2件)
  • 公開
  • 分類・日付を整理
← 記事一覧へ戻る