BRICSのパートナー国であるカザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は9月13日、インドが議長国を務めるBRICS首脳会議の「BRICSプラス」形式の全体会合で演説した。大統領府が同日、演説とナレンドラ・モディ首相との会談の要旨を公表した。インド外務省によると、第18回となる首脳会議はニューデリーで12〜13日に開かれ、12日が加盟国の会合、13日がパートナー国や招待国を交えた会合だった。
大統領府によると、トカエフ氏はBRICS加盟国・パートナー国との2025年の貿易額が約720億ドルに達したと述べた。どの国を数え、どの統計に拠った数字かは発表に書かれていない。同国の国家統計局が7月27日に公表した2025年の年次の貿易総額は1,446億6,046万ドルで、720億ドルはその約半分に当たる。トカエフ氏は、すべてのBRICS諸国との貿易・投資関係を多角化する意向を示し、エネルギー、重要鉱物、農業の高度加工や、大規模インフラ事業の共同実施に協力の可能性があるとした。
新開発銀行(NDB)については「カザフスタンを含むすべてのBRICS諸国で、商業的に採算の取れる事業への融資の可能性を検討できるのではないか」と述べ、対象となる具体的な事業は挙げていない。露語版とカザフ語版に対し、大統領府の英語版ではこの一文の対象がカザフスタンだけになっている。NDBの加盟国一覧にカザフスタンは載っておらず、中央アジアではウズベキスタンが2026年6月に加盟した。
トカエフ氏は、カザフスタンがユーラシア経済連合(EAEU)の議長国として、インドとの自由貿易協定の締結に向けた作業の推進を支持しているとも述べた。協定はカザフスタン単独のものではなく、EAEUとその加盟国、インドの間で交渉されており、モディ首相との会談でもトカエフ氏は、EAEUとインドの自由貿易圏の創設に向けた交渉を歓迎し、推進に協力する用意があると述べた。ユーラシア経済委員会(EEC)によると、交渉は2025年11月にニューデリーで第1回、2026年6月にモスクワで第2回が開かれた。9月10日にはEECのアンドレイ・スレプネフ貿易担当相とインドのピユシュ・ゴヤル商工相がニューデリーで会い、次の全体交渉会合を11月に開くことで一致している。
輸送では、トカエフ氏によると、昨年カザフスタンを通過した貨物は4,000万トンに迫り、「長期的な目標は年1億トン」だという。1億トンという数字は新しくない。ヌルラン・サウランバエフ運輸相が6月16日の政府会合で、鉄道部門の報告の中で、通過輸送量を2030年に6,700万トン、2040年に1億トンにする計画を示し、過去5年で2,000万トンから3,300万トンに増えたと述べている。演説は1億トンの達成時期を示しておらず、4,000万トンと3,300万トンがそれぞれどの輸送手段を含む数字かは、どちらの発表にも書かれていない。
中国と欧州の間の陸上貨物の「最大85%」をカザフスタンの通過網が担っているとの数字も、トカエフ氏自身が5月20日のカザフスタン・ケニアのビジネスフォーラムで「約85%」として挙げていた。首相府の6月16日の記事は、地の文でこの割合を80%としている。トカエフ氏はまた、インドが提案した物流・サプライチェーン協力のBRICSの枠組みを歓迎した。
人工知能については、この分野の「BRICSプラス・パートナーシップ」の立ち上げを「具体的な一歩」として提案した。各国のAIセンターの連携、研究施設や科学研究事業へのアクセスの提供、多言語の解決策の開発を目的に挙げ、カザフスタンの計算インフラなどを活用する用意があると述べた。参加国、資金、時期は発表に書かれていない。
国際水機関を国連の専門機関として設ける構想は、トカエフ氏が2025年12月12日にアシガバートの国際フォーラムで打ち出したもので、今回はカザフスタンが始めた国際協議への参加をBRICSの加盟国とパートナー国に呼びかけた。
同じ日のモディ首相との会談では、トカエフ氏によると、カザフスタンではインド資本の企業約600社が事業を行い、昨年は約15万人のインド国民が同国を訪れた。大統領府によると、両首脳はエネルギー、デジタル化、教育、観光の協力を話し合い、トカエフ氏はモディ氏に国賓としての訪問を招請した。会談の発表に、署名された文書や金額を伴う合意は出てこない。貿易統合省が9月9日に発表したチェンナイでの企業間の文書は、ビジネスフォーラムを機に交わされたもので、今回の首脳会議とは別件である。
演説で挙がった数字のうち、輸送の1億トンと85%は以前にも政府や大統領自身が示していた。次の日程が決まっているのは、カザフスタンが議長国として推進を支持したEAEUとインドの自由貿易協定の交渉で、EECによると次の全体交渉会合は11月に予定されている。新開発銀行の融資は「検討できるのではないか」という発言にとどまる。
