概況 · 2026年8月時点
トルクメニスタンはカスピ海の東岸に位置し、国土の大半をカラクム砂漠が占める。カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、イランと接する。永世中立を掲げ、外交はこの立場を軸に組み立てられている(JICA)。人口は749万人(世界銀行、2024年。国連人口基金の年央推計に基づく)だが、推計には開きがあり、JICAは660万人としている。
経済の柱は天然ガスである。確認埋蔵量は世界4位、石油は世界44位で、上位中所得国という地位はこの資源に支えられている。天然ガス、石油、石油製品を合わせると2024年の総輸出の84.9%を占め、石油ガス部門からの税は同年の予算収入の40.4%にあたる。非国有部門からの税は予算収入の10.8%にとどまる(世界銀行の国別概況、2026年8月時点)。
経済の大半を国家が握っている。国有企業は2023年の総売上高の59.2%を占め、農業は労働力の42.5%を雇用しながら生産性が低く、水不足と土壌の塩害という制約も抱える。世界銀行は、資源の富をより多角的で持続的な成長につなげることが最大の課題であり、統治の質、透明性、マクロ経済データの公表の改善が要ると指摘している。
基本情報
| 正式名称 | トルクメニスタン(Turkmenistan) |
|---|---|
| 首都 | アシガバート |
| 人口 | 749万人(世界銀行、2024年。国連人口基金の年央推計に基づく)。JICAは660万人としており推計に開きがある |
| 名目GDP | 442億ドル(世界銀行、2024年) |
| 一人あたりGDP | 5,904ドル(世界銀行、2024年)。一人あたりGNIは8,250ドル(世界銀行の国別概況) |
| 実質GDP成長率 | 公式値6.3%(2024年、2023年と同じ)。IMFのスタッフ推計では2024年3%、2023年4.5%(世界銀行の国別概況) |
| 消費者物価 | 公式値で前年同月比3.8%(2024年12月)。2023年12月は1.4%(世界銀行) |
| 通貨 | マナト(TMT) |
| 産業構成 | 農業12.2%/工業37.5%/サービス47.5%(付加価値ベース、世界銀行、2024年) |
| 主な輸出 | 天然ガス、石油、石油製品で総輸出の84.9%(2024年、世界銀行)。ほかに肥料、プラスチック、綿、加工食品、野菜 |
| 財政 | 予算収入は対GDP14.5%、歳出13.7%、収支は0.8%の黒字(2024年)。石油ガス部門の税が収入の40.4%(世界銀行) |
| 公的債務 | 対GDP3.6%(2024年。IMFのスタッフ声明にもとづく世界銀行の記載) |
| 加盟する主な枠組み | CAREC。テュルク諸国機構にはオブザーバーとして参加 |
ガスをどこへ売るか
天然ガスの確認埋蔵量は世界4位である。問題はそれをどこへ、どの経路で売るかにある。国営のトルクメンガスが生産を、トルクメンネビトが石油を担い、トルクメンバシ製油所複合体とセイディ製油所が精製を受け持つ。ガラボガズカルバミド、マルイアゾト、ギヤンル・ポリマー工場といった化学プラントは、ガスを付加価値のある製品に変えるための投資である。
2024年の総輸出は8%減った。生産の減少と世界のエネルギー価格の下落が響いた形である。一方で非エネルギーの輸出は伸びており、肥料、プラスチック、加工食品、綿花、そしてトマトを中心とする生鮮の果物・野菜が増えている(世界銀行の国別概況、2026年8月時点)。
内陸国であるため、連結性が多角化の前提になる。世界銀行は、道路網、鉄道、港湾への投資が不可欠だとしつつ、貿易物流そのものの改善が大きく遅れていると指摘する。カスピ海東岸のトルクメンバシ港は、カスピ海を渡ってコーカサス側へ抜ける航路の起点にあたる。
数字が読みにくい国
この国の数字を読むときに避けて通れないのが、統計の制約である。公式のGDP成長率は2024年に6.3%とされる一方、IMFのスタッフは同年を3%と推計しており、二倍の開きがある。人口も、世界銀行が用いる国連人口基金の推計とJICAの記載とで100万人近く違う。
財政の数字は比較的そろっている。2024年の予算収入は9.2%増えて対GDP14.5%、歳出は12.9%増えて13.7%、収支は0.8%の黒字だった(2023年は1.3%の黒字)。公的債務は対GDP5.8%(2023年)から3.6%(2024年)へ下がっている。世界銀行は、歳入の動員と支出の効率にはなお課題が残るとみている。
世界銀行グループの2026〜27年度の関与方針は、地域の枠組みへの参加支援と、経済の開放・近代化に向けた助言・技術支援の二つに絞られている。ADB、EU、イスラム開発銀行、EBRD、国連機関との連携が前提に置かれている。
日本との関係
2022年に日本とトルクメニスタンは外交関係樹立30周年を迎えた。日本語の学習熱が高く、中央アジアで学習者が最も多い国だとJICAは記している。
協力は技術協力が中心である。首都アシガバートの中核病院である心臓病科学・診療センター病院で心血管疾患の画像診断能力を高める事業、トルクメニスタン初の工科大学から教員を筑波大学に受け入れて工学人材の育成を担う教授法と研究能力を強化する研修、統計の作成方法や医療分野の研修などが実施されている。過去には、アシガバートの機関車修理工場への設備導入と鉄道輸送のコンピューターシステム導入を無償資金協力で支援した。
参考資料
- Turkmenistan Overview — 世界銀行(国別概況。埋蔵量の順位、輸出構成、財政、統計の制約) ↗
- Turkmenistan — 世界銀行 Data360(World Development Indicators。人口・GDP・産業構成、2024年) ↗
- トルクメニスタン — JICA ↗
このページの数字は2026年8月時点のものである。新しい統計が公表されしだい更新する。 日々の動きは下の記事一覧で追える。
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イランとタジキスタンが鉄道・道路・空路で協力加速。トルクメニスタンには中国が一帯一路で接近2026.08.16イランとタジキスタンの閣僚がテヘランで会談し、鉄道、道路、航空、港湾、物流の各分野での協力を加速させる必要を確認した。両国間の国際鉄道貨物は2025年に増加している。トルクメニスタンでは中国大使が、一帯一路と同国の大シルクロード復興戦略の整合が共同事業に好条件を生むと述べた。
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